第2話 8
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いずれにしても雪ちゃんの意識が戻って、じっくりと話をしてみないことにはなにもわからない、という結論に達したので、あたし達は着替えをするために宿泊している部屋へ戻ることにした。
男の子たちにも今の状況を説明して、体を温めるためにお風呂へ行ってもらった。
あたし達が雪ちゃんを捜しに会議室を抜け出している間は、研修担当の万歳さんが三崎工場行きの「MoNStEr」達の相手をしていてくれたらしい。後でお礼を言わなくては。
あたし達が着替えを終えて会議室に戻ると、既に夕方の五時をまわっていた。
部屋に取り残された「MoNStEr」達があたしの所へ近寄ってきた。そしてカエルのぴょん吉があたしだけに話があると言って、耳元に顔を近づけてきた。
あたしは首筋に鳥肌を作りながらも、ぴょん吉が真面目な顔(カエルの真面目な顔がどんなのかって?)で、雪ちゃんがおかしくなった原因に心当たりがあると言うので、おとなしく聞き入った。
「このことはSNKが、今は雪ちゃんと呼ばれているが、マキちゃんには絶対秘密にしてくれ、と様子がおかしくなる前に言っていたことなんだぜ。
だけど、今はどうしてもマキちゃんに教えておかないと、雪ちゃんの苦しみが続いていくと思って、三崎工場に行く仲間で話すことに決めたんだぜ」
何か重大な話をしてくれるようだ。
「俺たちは『研究所』で暮らしていたんだぜ。
今回新入社員にモニターされる20体の『MoNStEr』はみんな同じところで、同じ教育を受けていたんだぜ。
そして、新入社員と俺たち『MoNStEr』の組み合わせが考えられたんだぜ。
『MoNStEr』の種類、性質、性格と外部機関で調べられた新入社員の特技、性格、生い立ち等を組み合わせたのは、マキちゃんが一番よく知っている『先生』、つまりマキちゃんの姉さんだぜ。
雪ちゃんがどうしてマキちゃんと組み合わせられたかは、俺は知らないぜ。
雪ちゃんにはマキちゃんのいろいろな情報を渡していたようだぜ」
つまりあたしの情報が雪ちゃんに影響を与えたかもしれない、ということか。でも、一体なにを教えたんだろう?
「雪ちゃんはマキちゃんのことを詳しく知っていて、俺たちにもマキちゃんがなにをしたとか、よく話していたんだぜ。
俺はよく聞いていたから、マキちゃんのことに詳しくなってしまったんだぜ」
えーと、どんなレベルまで知っているのかな?もしかしてお姉ちゃんがあたしの情報を横流ししていたとか?
ふふふ、後でお姉ちゃんに詳しく聞いてみないといけないね!あたしの心にどす黒い感情が芽生えてきた。
でも、雪ちゃんはあたしと話ししたくなさそうだったので、なにを聞いてもおしえてくれないんだろうなぁ。
あたしは雪ちゃんの様子が心配で、一人で雪ちゃんが治療を受けている「検査室」へ向かった。メルちゃんと乱ちゃんにはあらかじめ行き先を告げている。
中は薄暗くて、お姉ちゃんは不在だった。
中央のテーブルの上に横たわっている雪ちゃんだけが検査機器の電子光に照らされている。
あたしはテーブル横の椅子に腰掛けて、薄明かりの中しばらく雪ちゃんを眺めていた。
さっきまで雨の中を走り回っていた疲れが出たのか、知らないうちにうとうとしていた。
『マキちゃんごめんなさい。
やっぱり無理だったよ。
やっぱり迷惑掛けちゃったよ。
わたしが蛇だからかな?
もうこれ以上迷惑掛けたくないよ
ごめんね・・・。』
暗闇の中、かすかに聞こえる声。雪ちゃんが話しかけてくれてるのかな?あたし、夢をみているのかな?これは夢なんだろうな。でも迷惑なんて思ってないよ。あたしはそのままの体勢で翌朝まで寝続けてしまった。
翌朝目覚めたあたしの背中に誰かの手で毛布が掛けられていた。




