コントラバス
今更な事だが、私はコントラバスが好きだ。
マイナス面としては、立ち上がりは鈍く、遅れやすい。速いパッセージが苦手(第九の四楽章は、ヴァイオリンがやるのと同じような事をやっていて、泣きそうになる)。弦を押さえていると指が痛くなる。
旋律を担当する事は少なく、伴奏が多い(でも、吹奏楽曲よりは明らかに旋律をやる機会が多いが)。いつも美味しい所をかっさらっているチェロ、いつも主役のヴァイオリン、印象的なソロが多いオーボエ等が、たまに羨ましくなる。
だけど。私はそれでも、コントラバスが大好きだ。私にとっては、一番の楽器。
深く、心の奥底まで響くような低音。それが、私にとっては心地よい。弾いた時、腹に伝わる振動。目で見て分かる弦の振動。他の弦楽器よりも長く響き渡るピッチカート(指で弦を弾く奏法の事)。
伴奏が多くたっていいではないか。コントラバスが音楽の土台となり、皆を支える。だから、皆のメロディーが一層際立つ。この感覚が、なんか良い。
これだから、喩えメロディーが無くとも、指が痛くなろうとも、コントラバスは止められない。
吹奏楽時代からコントラバスは好きだったけど、本当にコントラバスの魅力に気付いたのは、オーケストラに入ってからだった。
やはり、オーケストラの方が、コントラバスが必要とされているから。そしてオケ曲は、作曲者が、本当にコントラバスが必要な所に音を書いているって事が分かるから。
吹奏楽でコントラバスを弾いている皆さん、一度はオーケストラで弾いてみるのをお勧めします。オケで弾いた経験は、そのままオケに居座るにしても吹奏楽に戻るにしても、これからのコンバス人生で、絶対に役立つから。
とはいえ、吹奏楽のコントラバスを否定するつもりは全くない。ちゃんとした奏者が弾くコントラバスは、吹奏楽でも埋もれる事なく、際立つ。
ホールで聴けば分かる。弾いている本人は自分の音が聞こえなかったとしても、観客席では、コントラバスの音が響いているから。 (ちゃんとした奏者が弾く)コントラバスがいるバンドの低音は、深みがある。そういう意味では、吹奏楽のコントラバスもバカには出来ないし、むしろ重要な存在だと思う。
生憎、私はちゃんとした奏者とは言い難かったので(特に音程面は酷かった)、音が観客席まで届いていたのかといえば、微妙だ。もしまた、吹奏楽で弾く機会があったならば、リベンジしたいなあと思っている。
……段々話が逸れてしまった感があるが、気のせいだ(と信じたい)。
大学を卒業してしまったら、下手したら、もうコントラバスを弾く機会が無くなる。
万が一、弾ける機会があったとしても、きっと、弾く時間が無い。頑張って週一、週二だろうか。今は週五日程コントラバスを弾いている。貴重な時間だ。
上の文章を書いていて、私は、今、沢山弾けているこの時間を大切にしようと思えるようになった。
卒業まで後二年少し。残り少ない。残された期間を有意義に活用しよう。大好きなコントラバスを、思う存分弾こう。