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一歩ずつ  作者: AkiraNox


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2/15

死への一歩


---


夜11時


マルスは家に戻った。


近づくと、奇妙な音が聞こえた。


「何の音だ?」


脇の窓に近づいた。


中を覗いた。


そこには誕生日ケーキがあり、数字の5が立っていた。


ユーリは誕生日の帽子をかぶっていた。


そしてマリアともう一人の女が歌っていた。


「Happy birthday to you... Happy birthday to you...」


マルスの目は見開かれた。


「そうか……今日はユーリの誕生日か」


息子を見た。


ユーリの目は悲しみと失望に満ちていた。


マルスはゆっくりと後ずさった。


そして振り返った。


一歩、また一歩……


立ち去った。



---


夜12時


マルスは家に戻った。


ドアへ進んだ。


ノックした。


「コツ……コツ……コツ」


ドアが開いた。


マリアが現れた。


マルスは手にプレゼントを持っていた。


「マリア、聞いてくれ。すまなかった—」


彼女は平手打ちした。


マルスはその場で固まった。


マリアは泣き始めた。


「なぜ?! なぜあなたなの?!」


そして震える声で言った。


「なぜあなたが父親なの?」


マルスはうつむいた。


「この子は今まで一度も父親の愛を感じたことがないの。今日、誕生日の今日でさえ、幸せなひとときを過ごせなかった。父親に希望を裏切られたから」


マリアは顔に手を当てて泣いた。


マルスは彼女に手を伸ばした。


「マリア……」


彼女は後ずさった。


「やめて……やめてお願い。ただ私たちを放っておいて。行って、お願い……お願い」


マルスは後ずさった。


そして振り返って走り出した。


一歩、また一歩。


後ろから、ユーリが来た。


「お母さん? 大丈夫?」


マリアは彼を抱きしめた。


「大丈夫……大丈夫よ。全部大丈夫」


一方マルスは、走り続けた。


「くそ!」


一歩、また一歩。


「くそ!」


一歩。


「くそ!」


一歩。


そして大声で叫んだ。


「くそおおおお!!!!!」



---


しばらくして


マルスは小さなバーに入った。


バーはほとんど空だった。


カウンターに一人の男だけが座って飲んでいた。


男は振り向かずに言った。


「いらっしゃい。来ると思ってたよ」


マルスは立ち止まった。


「お前は誰だ?!」


「失礼だが、誰なのかは言えない」


そして振り返った。


「だが、お前に役立つかもしれないことを一つ教えてやろう。死にたいと思っているあんたにだ」


一瞬黙った。


「もし自分自身を消すために死にたいのなら……自分を知っている人たちがいる限り、自分自身は消えないってことを覚えておけ」


マルスは彼を見た。


「なら全員先に殺してやる」


男は眉を上げた。


「全員? 息子も妻も殺すってことか?」


マルスはその場で止まった。


男は続けた。


「あれはお前の妻だ。どれだけ人を殺す化け物でも、自分の妻は殺せない。お前は嘘で自分を騙そうとしてる……でも本当は妻と息子を愛してるんだ」


マルスの目は見開かれた。


「だがもし死にたいなら……」


男は武器を取り出し、彼に向けた。


「ここで俺がお前を殺してやろうか?」


発砲!


マルスはギリギリで身を屈めた。


弾は顔の横をかすめ、鼻のあたりを浅く傷つけた。


男は立ち上がり、再び発砲した。


発砲! 発砲! 発砲!


マルスは椅子を持ち上げ、弾の軌道を塞いだ。最後の弾で椅子は粉々に砕けた。


別の椅子を掴んで男に投げつけた。


椅子は男に当たり、後ろへ押しやった。


マルスは彼に向かって突進し、首を掴み、銃を奪って頭に突きつけた。


「誰だ、このクズ野郎は?」


その瞬間、車の近づく音がした。


マルスは発砲した。


男は倒れた。


マルスはバーの裏口へ走った。


ドアから出ると……


そこにはギャングたちが至る所にいた。


走った。


一人が殴りかかってきた。


マルスは頭を殴って倒した。


別の男がナイフを投げた。


マルスは空中でそれを掴んだ。


そして男たちが近づいてきた。


一人、また一人……


一人、また一人……


目の前で倒れていった。


一人だけ残った。


男は武器を捨てて逃げた。


マルスは追いかけた。


一歩、また一歩。


そしてさらに速く。


一歩、また一歩。


一歩……


一歩……


男は建物の間の狭い隙間に入った。


マルスも続いた。


男は反対側に出て、廃墟のような場所に出た。


二つの建設中の建物があり、外側の骨組みだけが残っていた。


男がもう一歩踏み出そうとした時……


発砲!


狙撃手の弾が頭を撃ち抜き、男は倒れた。


マルスは立ち止まった。


あらゆる方向を見た。


誰も見えなかった。


突然……


発砲!


マルスはギリギリで弾道を外した。


弾は浅くかすった。


素早く走り、壁の後ろに隠れた。


四方八方から弾が降り注ぎ始めた。


「狙撃手が二人? 各建物に一人か?」


少し頭を上げた。


「本当に二人なのか?」


階段を駆け上がり始めた。


弾が追ってくる。


右から……


左から……


後ろから……


登り続け、屋上に辿り着いた。


静寂が訪れた。


周囲を見回した。


「逃げたのか?」


突然後ろから仮面を被った男が現れ、首を掴んだ。


マルスは抵抗し、押し返した。


二人は取っ組み合いの喧嘩を始めた。


右のパンチ。


左のパンチ。


防御。


回避。


蹴り。


マルスは後ずさった。


男が飛びかかり、顔を殴った。


マルスはよろめいたが、体勢を立て直した。


戦いが再開した。


右。


左。


右。


左。


連続の打撃と素早い防御。


互いに相手の動きを、打撃が届く前に読んでいた。


マルスは相手の腹を殴り、男は端まで後退した。


反対側では、狙撃手が二人の速い動きのせいで狙いを定めるのに苦労していた。


男が再び攻撃してきた。


速い一撃!


マルスはかわした。


二撃目!


腕で防いだ。


三撃目!


マルスは身を屈めて潜った。


男はナイフを取り出し、マルスの左腕を切りつけた。


「くそ!」


マルスは手首を掴んだ。


ナイフを遠くへ押しやった。


そして押し倒して押さえつけた。


銃を拾い、頭に向けた。


そのとき……


発砲!


弾がナイフを弾き飛ばした。


男はその隙をつき、マルスを足で蹴った。


マルスは後ろへ飛ばされ、端から落ちそうになった。


ギリギリで端を掴んだ。


男が近づき、首を掴んだ。


マルスは押し返した。


二人は端でもみ合った。


マルスは男を掴んで落とそうとした。


マルスが言った。


「覚悟はできてるか?」


男が答えた。


「いつでもな」


男はマルスの手を掴んだ。


そして飛んだ!


「くそ!」


二人は空中に落ちた。


落ちる途中、マルスは狙撃手が自分に照準を合わせているのに気づいた。


男を遠ざけようとした。


ギリギリのところでマルスは自分を押し離し、建物の窓の縁を掴んだ。


中に入った。


弾が横をかすめた。


狙撃手は素早く階段を降りた。


一歩、また一歩。


そして外に出て、バイクに跨った。


その間、マルスは建物から出てきた。


両腕はひどく負傷し、関節はひどく脱臼していた。


周囲を見た。


最初の狙撃手は見つからなかった。


二人目の狙撃手は、地面に倒れていた。


マルスは彼に近づいた。


一歩、また一歩。


手をまともに動かせなかった。


突然……


エンジン音が聞こえた。


顔を上げた。


狙撃手がバイクに乗って、猛スピードでこちらへ向かってくるのが見えた。


マルスの目は見開かれた。


ギリギリで飛び退いた。


バイクが横を通り過ぎた。


狙撃手も飛び降りた。


マルスは地面に倒れた。


狙撃手は彼に飛びかかり、押さえつけた。


ナイフを取り出し、頭に向けて突き立てようとした。


マルスは手を上げてナイフを遠ざけた。


男は再び刺そうとした。


マルスはかわした。


一撃!


狙撃手はかわした。


マルスは男の手を噛んだ。


狙撃手は叫んだ。


頭を激しく殴られ、皮膚が裂けた。


マルスは叫んだ。


狙撃手は立ち上がったが、マルスは突進して頭突きを食らわせた。


男は後ずさった。


狙撃手は背中を殴った。


マルスは叫んだ。


「両手がなくたって……必ず殺してやる! 必ずだ!」


マルスは足で蹴り、地面に倒した。


そして上に立ち、頭を踏みつけた。


圧力が増していった。


仮面が割れ始めた。


鼻と口から血が出てきた。


狙撃手はマルスの足を掴んでどけようとした。


やっとのことで押しのけることができた。


狙撃手は立ち上がった。


二人は向かい合って立った。


突然……


パトカーのサイレンが聞こえた。


マルスは周囲を見た。


「まずいな」


狙撃手の方を振り向いた……


だが、彼は消えていた。


「くそ……今どこへ行けばいいんだ?」


マルスはバイクと男の仮面に気づいた。


警察が現場に到着した。


「こっちで音がしたぞ!」


パトカーが入り口を包囲していた。


「そこの者! 早く出てこい!」


突然……


バイクのエンジン音が響いた。


マルスは仮面を被り、バイクに跨って猛スピードで走り出した。


警察は銃を向けた。


「止まれ!」


だが彼は止まらなかった。


真ん中を突っ切って包囲を突破した。


「追え!」


「第二、第三、第四班、追跡しろ!」


「第一班は地域全体を捜索しろ!」


マルスは全速力で走った。


後ろではパトカーが追ってきていた。


車や乗り物をかろうじてかわしながら、長い距離の追跡が続いた。



---


一時間後


マルスは谷の上の壊れた橋に辿り着いた。


バイクのエンジンが止まった。


しばらくして、警察が四方から包囲した。


一人の警官が銃を構えた。


「自首しろ!」


マルスは後ろを見た。


端に立っていた。


橋の下には深い湖があった。


「こっちに来い、マルス!」


マルスは少し手を上げた。


「悪いな……でも無駄足だったな」


そして飛び降りた。


「待て!」


体は水の中に消えた。


「湖に落ちたぞ!」


「死んだな」


「戻れ。明日探しに来よう」



---


しばらくして……


マルスは湖から出てきた。


息を切らしていた。


「痛い……痛い……痛い……」


両手は完全に腫れ上がっていた。


地面に横たわった。


そしてバーの男の言葉を思い出した。


叫んだ。


「くそおおおお!」



---


翌日


マルスは病院にいた。


両手は包帯で覆われ、体のあちこちにも包帯が巻かれていた。


隣には長身で痩せた、過剰ではないがはっきりとした筋肉を持つ男が座っていた。ハンサムだったが、顔立ちは鋭く疲れていて、目は恐ろしく冷たく空虚だった。暗い髪は少し乱れ、目の近くにははっきりとした傷跡があり、手や首には小さな傷跡がいくつかあった。


この男がライガ氏だった。


ライガが言った。


「失敗したな、マルス」


マルスはうつむいた。


「すみません、ライガさん」


「とにかく、一人は仕留めたが、もう一人は逃げたということだな?」


「はい、そうです」


「では、連中が何者か突き止めたのか?」


「いや、まだです。三日ほど追加で必要です。でも、競合だと思います」


「競合? アマギ製薬のことか?」


「はい、そうだと思います。何年も前から競合していますが、我々を追い越せていない。我々を潰すのに必死ですから、こんなことをしてもおかしくないと思います」


ライガは立ち上がった。


「とにかく、治療に専念しろ。お前が必要なんだ」


「わかりました」



---


三ヶ月後


マルスの家で……


マリアは外で植物用のスプレーで花に水をやっていた。


遠くからマルスがやって来た。


家に向かって歩いていた。


一歩、また一歩。


彼女のところへ辿り着いた。


両手にはまだ軽い包帯が巻かれていた。


マリアは彼を見た。


立ち止まった。


植物用のスプレーが手から落ちた。


マルスは近づいた。


そして彼女の前に立った。


二人は何も話さなかった。


しばらくして……


二人は互いを抱きしめた。


そしてあの日から、九年間、二人は長く語り合うことはなかった。


それから九年。


二人の間に、長い沈黙が続いた。


言葉を交わすことはなくても、二人は離れることなく、同じ時間を生き続けた。


だが、その九年間は決して平穏なものではなかった。


マルスの中には、あの夜から消えることのない問いが残っていた。


――自分は、なぜ生きているのか。


そして九年後。


その答えを知ることになる日が、少しずつ近づいていた。

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