血に染まる東京
一日後
東京
港区
中央には巨大なビルがそびえ立ち、その周囲には死体が散乱していた。
その内部では――
六人の警備員が辺りを歩き回りながら、話していた。
「で、あの子とはどうなったんだ?教えてくれよ」
「何のことだ?」
「とぼけるなよ。お前が最近話してた、あの女の子だよ」
顔を赤らめて。「やめろ、その話はするなって」
うつむきながら。「最後に連絡してからもう随分経つ。幸い、彼女は東京の外に住んでる」
「だな。じゃないと今頃ゾンビになってたぜ」
「やめろって」
HAHAHA
別の者たちは――
「お前のインスタのアカウント、どうしたんだ?」
「アカウント?中学の時のやつと話してたんだ」
「中学?お前、ガキと話してんのかよ」
「向こうからメッセージ送ってきたんだ。うざかったから言い返してやった」
「なんて?」
「『黙れ、ガキ』ってな」
「相手は何て言ったんだ?」
「『冷めないうちにお茶飲めよ』ってさ」
「Hahahahah、マジかよ、腹いてぇ!で、その後は?」
「『自転車売るか?』ってさ。俺自転車なんて持ってないのに。あと『ほらほら行けよ、無職と話してる暇なんてねぇんだ』って。こっちはこの仕事を得るためにどんだけ苦労したと思ってんだ」
「今時のガキはほんとしょうもねぇな。まあ気にするな」
「そういえば聞いてくれよ、この間散歩しててさ――」
BOOOOOM! 突然、警備員たちの目の前の壁が爆発した。
彼らは素早く武器を取り出し、その場所へ銃口を向ける。
「誰だ!?」
「何が起きた!?」
煙の向こうに、誰かが歩いてくるのが見えた。
「誰だ!?早く答えろ!」
煙の中から一人の男が現れる。それは……ライガだった。
ライガ「おいおい、叫ぶなよ。聞こえてるって」
警備員はライガに銃口を向ける。
「その汚ねぇ膝で地に伏せろ、さもないと――」
次の瞬間、ライガは瞬きする間に目の前まで迫り、その頭に手を置いていた。
「聞こえてるって言っただろ。叫ぶ必要はない」
ライガはその頭を地面に叩きつけた。
頭が凄惨な音を立てて弾け飛ぶ。
他の者たちが照準を合わせて一斉に発砲する。ライガは弾丸を素早くかわし、背後から殴りかかってきた男の拳を避け、その腕に自分の腕を絡める。力を込めると腕が折れ、膝が逆方向に曲がる。
警備員は意識が朦朧とする。
「AH――」
顔面を殴りつけ、後方へと吹き飛ばす。
他の者たちが襲いかかる。左からの攻撃、右からの攻撃を素早くかわす。
ライガが動き、二人を同時に殴りつける。上から飛び蹴りを放ってきた男の足を、空中で掴み、別の男へと投げ飛ばす。
ライガは地面に落ちていた鉄パイプを拾う。
他の者たちが機関銃で撃ちまくる。
ライガは歩きながら、鉄パイプで弾丸を弾いていく。
一歩、また一歩。
そして目の前から消え、次の瞬間、彼らの真下に現れる。
悲鳴を上げようとする男の口を掴み、力任せに握り潰す。口から血が噴き出し、地面に叩きつける。男の両目は互い違いの方向を向いていた。
二人目の腹を殴ると、手が背中から突き抜ける。手を抜くと男は地面に崩れ落ちる。背後で物音がする。
振り向くと、数十人の警備員がいた。
「動くな!」
ライガは赤いボタンを取り出し、押した。
BOOOOOM!
辺りが爆発し、数人の警備員が死に、残りは立ったまま銃を構える。
ライガは全速力で駆け出す。
「気をつけろ!!」
煙の中から殴りかかる。最初の一人の頭を殴りつけ、即死させる。
背後から三人が来る。鉄パイプの一振りで、三人まとめて貫く。
下から誰かが掴みかかってくる。
目の前から男たちが殴りかかろうとするが、ライガは目の前から消える。
彼らが下を見ると、ライガを掴んでいた男の頭と両腕が無くなっていた。
後ろを振り向くと――
ライガが警備員の生首を投げ捨てる。
「これを探してたのか?」
彼らは掴む。次の瞬間、その中に手榴弾が仕込まれていることに気づく。
BOOOOOM!
ライガは走り、鉄パイプで全ての警備員を殴り、弾く。
即死。
突然、一人の男が手榴弾のピンを抜いてライガに投げつける。ライガは素早くそれを掴み、背後にいた者たちへ投げ返し、十人以上が死ぬ。
男の元へ戻り、逃げようとするその頭を拳で貫く。
二人が別方向から襲いかかる。
ライガは跳び上がり、二人を同時に両足で蹴り飛ばす。
ライガは立ち上がり、服についた埃を払う。
「さて、それで――もっと踊りたい奴はいるか?」周りを見渡す。
残っていた者たちは逃げ出した。
爆発の影響で瓦礫が地面に散乱し、ライガの周りには血と死体が広がっていた。
「まったく退屈な奴らだ。早く任務を終わらせないとな」
真上、ビルの屋上には――
首相と警護の者たちがいた。
「閣下、ヘリの準備が整いました。今すぐ脱出すべきです」
首相「分かった、今行こう。だが一つ聞かせてくれ、さっきの揺れと爆発音は何だったんだ?」
「正直に申し上げて……申し訳ありませんが、まだ把握できておりません。警備員を向かわせましたが、まだ誰も戻ってきておりません」
「そうか……分かった、今行こう」
「お気をつけて、閣下」
首相は屋上にあるヘリへ向かい、急いで乗り込む。パイロットは既に搭乗していた。
「よし、今すぐ発進する」
プロペラが高速で回転し始める。
突然、扉が勢いよく開く音が響いた。
それは屋上の扉だった。
一人の警備員「おい、どこへ行くつもりだと思ってやがる?」
首相はライガの姿を認める。
ライガは警備員の頭を掴み、強く握り潰す。警備員の頭が弾ける。
首相の目が見開かれる。「な、なんだと……!?」
残りの警備員たちが襲いかかってくる。
ライガは瞬く間に彼らを殺す。
「早く飛ばせ!」
「は、はい閣下」
ライガは扉の横の窓を叩き割り、鋭いガラスの破片を掴む。
それを投げる。破片は真っ直ぐヘリへ向かい、
パイロットの頭を貫く。即死。
ヘリのプロペラが徐々に速度を落としていく。
ライガが近づいてくる。
一歩、また一歩。
首相「ま、待ってくれ、頼む、殺さないでくれ、何でもするから」
一歩、また一歩。
「金が欲しいのか?そうだ、金ならここにある、一生遊んで暮らせるほどの金だ、だからそれを持って見逃してくれ」
一歩、また一歩。
「頼む」
ライガが目の前に辿り着く。「怖がるな、殺しはしない」
首相「ほ、本当か……?」
「今はな」
「え……?」
別の場所で、
ライガが首相官邸を襲撃してから数時間後、
千代田区大手町、NOXAR製薬会社、
最上階の一つ下のフロア、爆発の影響で最上階とその下の階が崩落していた。
内部、瓦礫の中から――
何かが動く音、岩が上下に揺れる。
突然、大きな岩が遠くへ投げ飛ばされる。
その下から現れたのは――
マース。左半身は地獄の業火から生還した人間の残骸のようだった。左腕はほとんど消失し、皮膚のあちこちは黒く炭化した塊と化し、別の場所では焼け爛れた筋肉や組織が剥き出しになっていた。乾いた血が暗い層となって体の所々を覆い、髪も衣服も同じ側だけが焼け落ちていた。一方で右半身は比較的無傷のままで、その対比が彼の姿をより一層恐ろしいものにしていた。半分は普通の人間、もう半分は人とは呼べない何か。
マースは唇の半分で呟いた。
「殺してやる……!」
瓦礫の中で、マースはゆっくりと立ち上がった。
焼け爛れた左半身から、乾いた血がぽろぽろと崩れ落ちる。
それでも、彼は倒れなかった。
残された右目が、憎悪に満ちた光を宿す。
「……ライガ……」
その名を呟いた瞬間、マースの拳が強く握り締められた。
「必ず……殺してやる」
瓦礫の向こうで、東京の夜が静かに燃えていた。
そして――二人の死闘は、まだ始まったばかりだった。




