episode8『ギルド登録試験(難易度ハードモード)』
episode8
『ギルド登録試験(難易度ハードモード)』
[part1]
プレミアムギルド登録試験、前日の夜。ノーチェはギルドホール(店の名前はAO・アオ)の宿屋でタダで泊まっていた。最初は簡素な宿泊部屋、干からびたベッドだった為、若干キレかけたが今までのブラック環境労働によりはるかに休める環境なだけで心が天へと導きそうになった。
……が試験前日、リアルが襲ってくる。
ノーチェ「レベル8の魔物!?それに指定した武器(剣、槍、弓)だけかよ!」
なぜか魔術師などは項目にない。更にアイテム所持禁止、単純に支給された武器のみで討伐する。
ノーチェ「不正してぇ〜」
もちろん試験官が常に監視を続ける為、ズルは不可能。
ノーチェ「あぁぁ〜レベル1でレベル8とか無理ゲーに決まってるじゃん……それに」
『神魔女の力、通称『純魔法』による攻撃は経験値が手にはいらない』
ノーチェ「何だよなー!!じゃあレベル上げられないじゃん!!意味ねー!!」
ベッドでバタバタする彼女。今さらになってプレミアムギルド登録に後悔する。いくら不死の力だろうが敗北すれば高額な金額が要求させる。文無しなのにこのままじゃ所持金0どころかマイナスに……。
ノーチェ「なんか……楽に……倒せる……あ!チャッ◯ーに聞くぞ!!?」
『質問、
試験楽に攻略できる方法はある?』
『返答、
あなたの現在のレベルでしたら楽は不可能です。ですがこの世界においてステータスはHPと攻撃力だけです。つまり知能はステータスに反映されないのです。前例でも知恵を絞って魔物を討伐できたケースもあります』
『質問、
前例ケースの勝ち方を教えて』
『返答、
魔物は数種類の中から1つ選択されますが、おおよそ3種類です。つまり3種類の魔物の行動を把握するなどの〜〜』
ノーチェは最後まで読まずに質問。
『質問、
でも結局、時間と金だよな?』
『返答、
そうだよ』
ノーチェ「『そうだよ』じゃないだろ!急にタメ口になるな!」
そしてノーチェは考えることをやめた。
……スヤァ。
[part2]
試験場は高低差が少ない平原で行われる。ノーチェと試験監督官1人+ガードマン数人がポツンと佇んでいる。
試験官「武器を選んで」
若干、口調が厳しそうな試験官でノーチェはやや機嫌を損ねる。
ノーチェ「剣」
理由はシンプル、ラクそうだから(ノーチェ完全主観)
試験官は自身のアイテムボックス(異空間)から西洋の剣を取り出す。正直、安物感がにじみ出てる品物で……。
ノーチェ「(100均で買ってそう……)」
やはり維持コストを考えるとそんなもんなのかなぁとノーチェは思った。彼女は剣を取る。軽い……凄く、軽い。振ったら刃の根元から取れそうなくらい。
試験官は話を始める。
試験官「ルールは以前説明した通り、魔物を倒す。ちゃんと討伐だ。そして君は30秒以上戦闘不能状態が続く場合、敗北となる。もちろん命の保証はない」
試験官は真剣な表情でノーチェに問う。
試験官「覚悟はあるか?」
ノーチェ「(ない)」
即答。
しかし実際、金ないので。
ノーチェ「……ある」
なるようになると判断した。
ノーチェの返答と共にガードマンが魔法を展開、魔物を召喚する。魔物の容姿はライオン1.5倍サイズ+黒いモヤが身体中に発している。ノーチェは剣を構える。
試験官「試験開始」
ライオンの魔物は雄叫びを上げて、ノーチェに接近!そのまま体当たりをする!
身体は……問題なく動けた。攻撃を躱す!
ノーチェ「(避けれる……魔力OFFモードでも身体が動く!)」
その理由は単純。彼女は戦闘面では百戦錬磨を渡ってきたので相手への恐怖心などが発生しないからだ。
ノーチェ「(まあ、でも不死身だし。そのせいで死ぬまで(死なない)働かされたけどな!)」
ステータスの影響はHPと攻撃力のみという事実はここで実証された。
攻撃を躱してからの剣で反撃!魔物の腕を軽く刻む。
……しかし、怯まない!レベル8の魔物がレベル1の攻撃ぐらいじゃ痛みを感じてるのかすらわからない。
ザン!
更に剣で胴体を斬りつける!ノーチェの剣の柄から肉を裂いた手応えを感じた。
ノーチェ「(お!いーじゃん!)」
ガキンッ!
滅茶苦茶嫌な音が響いた。
ノーチェ「あっ!!!!」
魔物を斬り裂いたと同時に剣先が……折れた。
ノーチェ「(やっぱりーーー!!)」
と嘆いた瞬間に魔物の鋭利な爪がノーチェに飛びつくように振りかかる!!
レベル1の限界を感じた瞬間だった。
ノーチェの身体に爪が食い込み、吹き飛ばされる。黒いローブが赤く染まった。
ノーチェ「(うわぁ……)」
彼女は魔女なので痛点はほとんどなく、自分の状況を客観的に見つめていた。傷口から止まらない液体を見て……こう思った。
ノーチェ「(やっぱレベル1かぁぁぁーー!!)」
HP……それは致命傷を回避させる能力、もしくは痛みの鈍化を数値化したもの。ノーチェはHP1なので一撃で致命を負ってしまった。
ノーチェ「(クソ!なんで折れるんだよ!!)」
チラッと試験官を見ると……彼は目を逸らしている。『あーしくじったなー』みたいな感じでだ。
30秒。それまでに動かなければ敗北。いや、魔物が更に追撃をされて敗北を加速させる可能性もある。
ノーチェ「(そうだ!……さっきの対応……ミスだ!)」
ノーチェ「(剣の耐久性が低いなら……壊れづらい鋭利な刃の部位……つまり突き!)」
ノーチェ「(魔物の柔らかい部分……目を突いて……トドメに心臓を的確に突き刺す必要があったんだ!)」
ノーチェはため息をする。
ノーチェ「(わかるか!そんなコト!!)」
しかし文句の1つの余裕もない。あと数十秒で『敗北金』が請求されてしまう。
ノーチェ「(……しょうがない)」
彼女は決意する。
ノーチェ「(……ゴネるか!!)」
ノーチェ、ゴネ確定ッ!
まず魔物が接近!重厚な腕を振り下ろす瞬間!
彼女は魔力ONモードに変更!傷口と服が瞬時に再生し、折れた剣に魔力を付与させて……突き刺した!!!
…………衝撃波は避けられなかった。
試験官、ガードマン達は盛大に倒れたがなんとか立ち上がる。魔物は……消滅。
ノーチェは必死に言い訳を創造中。そして……。
試験官「……どういうことだ?」
ガードマンA「爆発……?魔物は?……いない……」
ガードマンB「いやしかし!彼女はアイテムを所持していない……それは確認している」
ノーチェ「あーー」
試験官「レベルは……!?いや、彼女のレベル……」
試験官はノーチェを解析する。
試験官「レベル1のまま……」
ノーチェ、怒涛の言い訳タイム。
ノーチェ「いやぁ……前にもあって……さぁ〜……えーと……なんか……突然…………そう!『爆発』する!!剣を刺しただけなんだけどぉ〜!!」
試験官は首を傾げる。正直何を言ってんだ状況。
ノーチェは更に言い訳。
ノーチェ「あと、そもそも謎の爆発……過去に……見たことあって〜!!空を見てたら爆発してたり……だから……なんか……この世界……不吉なことが……起きてるんじゃね?」
ガードマンがノーチェの身体を見る。
ガードマン「ん?傷は?」
ノーチェ「え?…………『受けてない』けど」
試験官「そんなはずないだろう……」
試験官は戦闘跡を確認する。
……確かに血痕はない。神魔女は再生と共に痕跡も消えるからだ。
ノーチェ「受けてないってー」
ノーチェはゴリ押す。記録を残すような行為を行ってない試験の弱点であった。
ガードマンA「勘違いか……」
ノーチェ「それより、レベル……上がってないんだけど……」
試験官「あー」
試験官は完全にイレギュラーな状態に追われて困惑している。
ノーチェ「まさか……再試験?」
試験官は黙り込む。なぜなら魔物の召喚はコストがかかる。迂闊に利用するものではないからだ。
ノーチェの更に追撃。それは。
ノーチェ「………………」
無言の圧力。
敢えて言わない。あくまでも爆発はノーチェ側が被害者と主張するためだ。
試験官は重い口を開いた。
試験官「『例外措置』をとろう」
ノーチェ「……『例外措置』?」
試験官「この現象は初めてだ。これは再び発生しないように調査する必要が我々にある。だから君は……」
試験官「合格にしよう」
ノーチェ「(おっ!!キタ!!)え?!」
試験官「そのかわりに……君はある場所に来てほしい」
ノーチェ「場所?」
試験官「レベル5まで増やせる部屋、『例外措置』だからな」
[part3]
連れてかれたのは謎の施設のとある部屋。そこには何も物が置かれてない。
黒服「ここです」
ノーチェ「ここ?」
黒服は説明する。
黒服「ここに1体ずつ、魔物のスライムが出現します。間隔は5分に1匹ですね」
ノーチェ「なんでこんな仕組みの部屋が?」
黒服はしーっとポーズを取る。
黒服「『例外措置』だからです」
黒服は続ける。
黒服「武器を大量に用意します。修理キットも、ポーションも。なのであなたはレベル5になるまでスライムを倒し続けてください」
ノーチェ「え?……いや、何体?」
黒服「10+20+30+40……100体です」
ノーチェ「100!!?5分に1匹だとしたら!?」
黒服「500分……つまり、休憩を挟んで約10時間です」
ノーチェ「…………」
ノーチェ「それで……レベル5になれる?」
黒服「はい……それと」
黒服「『例外措置』代として期間1ヶ月以内に1000Gの支払いをお願いします。それでは」
episode8
END




