episode13 『偶然偶然!』
episode13
『偶然偶然!』
[part1]
ノーチェ「(小声で)僕!何故か飛べるスキル持ってるんで……報酬いらないから……依頼見学でき……ない?」
ムツキ「え……?」
しばし沈黙、そしてノーチェは……もう遅い系になった。
ノーチェ「(あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーー!!)」
ノーチェ!過去最大(最大ではない)の失言ッ!!
ノーチェ「(言っちゃった……!!飛行能力って純魔法だから被害でるじゃん!!しかも検証してないし!!)」
ノーチェ「(どうしよ!?どうしよ!!?)」
ノーチェが心の底から絶望している中、ムツキは…………声を上げて笑った。
ムツキ「あっはっはっはっはーー!!ないない!そんな都合の良いスキルは『稀』だってぇーー!!」
ノーチェ「…………アレ?」
ムツキの表情を見る限り、一ミリも信用してなさそうだ。
ノーチェ「(これって……?)」
ノーチェ「(セーフ?)」
ムツキは酒をあおりながら更に続ける。
ムツキ「新人ちゃん!酔っちゃた〜?酒飲んでないよねぇ〜!!?」
ノーチェ「……あー」
ノーチェ「(これセーフパターンだ!)」
ノーチェ「(あぶねー)」
安堵の表情を浮かべる彼女。しかし……。
ノーチェ「(いや……!否!)」
ノーチェ「(……ワンチャン、良質なコネが作れるチャンスかも……!!)」
ノーチェの脳内に砂糖と塩が混ざり合ったような葛藤が始まった。
ノーチェの葛藤
・有名人にはなりたくない。国や魔族に狙われる
・ふつーにレベルを上げて安定収入が欲しい。あと借金の1020Gを返さなければならない
・ムツキの弟子になる気はない(コミュ障なので)
・でもコネが欲しい。理想のスローライフ……異世界ドリーム……を目指す為に!
・でも楽したい!
ノーチェが出した結論……それは。
ノーチェ「(明日の『朝』が勝負だ……ムツキの出発の後を追って……!)」
ノーチェが長考しているとムツキがカウンターテーブルに小さな丸い金属をノーチェの所に置く。
ノーチェ「ん?」
ムツキ「宿代……10G……!あげる!」
それはこの世界の通貨であった。
ノーチェはあまりの衝撃的な出来事で現実を受け入れなかった。なんならコップが少し浮いた。
ノーチェ「(…………これが)」
ノーチェ「(…………これが!!!)」
ノーチェ「(Aランクのチカラかぁぉぁぁーー!!!?)」
ノーチェ「(すっっっげぇぇぇぇへぇぇぇ!!!!)」
ノーチェはムツキに10回ぐらいペコペコしていると彼女ムツキはふらふらしながら2階(宿)に向かった。
ムツキ「がんばってねー」
ノーチェ「がんばる!」
その夜、ノーチェは速攻2階の宿にGOした。
[part2]
朝3:00にノーチェは起きて外出。場所は国立公園に指定されている大きな広場だ。
ノーチェ「爆発は勘弁してくれ……」
ノーチェは箒と魔法陣を生み出し、空中へ飛び立つ!!
ブワァン!!
ローブが大きく揺れ動き、激しく上昇!高度は100m程。
城壁都市『ブルーリバー』の全貌と遠くにある防壁が写し出される。遠くから覗いてもこの街は明かりが少ない。オレンジ色の街灯ぐらいしかなさそうだ。
ノーチェは下を向いて地上を見る。地上に変化は……ない。
ノーチェ「これ?いけるか!?」
期待を込めて地上に着陸。辺りを見渡すと……何も変化がないように見える。
ノーチェ「何もない……いや!」
自然公園の木々の先端部分、葉が全て地面に落ちていた。
ノーチェ「これぐらいなら……いける!!」(←十分被害あり)
そして朝7:00。ギルドホール『AO』の建物……の隣の建物で見張る。するとムツキが眠そうな表情で店を出る。
ノーチェ「(きた!)」
ムツキはあくびをしながら北方向の公道を歩く。ノーチェは人に紛れながらムツキを尾行。
すると2時間ぐらいで防壁までたどり着く。ムツキはギルドカードを門番に見せて……ドアを開けて貰える。もちろんバレないのうにノーチェも尾行。
場所は草原まで歩き続けてムツキは……止まった。地図を取り出したのだ。
ノーチェ「(ここだ!!)」
ノーチェは草陰から飛び出し、ムツキとバッタリ(風)!!
ノーチェ「アレー?ムツキじゃないかー?まさかーここでー会うとはー(棒)」
ムツキ「新人ちゃん……?」
ノーチェ「ノーチェだよ」
ノーチェはざーとらしくヘラヘラする。
ノーチェ「いやぁ〜『偶然偶然!』こんなめぐり逢いもあるんだなー(棒)」
ノーチェは畳み掛けるように続ける。
ノーチェ「いやぁ〜せっかくの出会いだし〜……あと昨日、宿代奢ってくれたし〜!!!あ!そうそう!なんかお返ししたいな〜と思って!」
ムツキは黙っている。ノーチェをしっかり見つめている。
ノーチェ「何か手伝えること……したい……なー?(チラチラ)」
ムツキ「……ノーチェちゃん」
ノーチェ「……んー?」
ムツキ「尾行してたよね?」
バレてる。
ノーチェは急に顔が青くなっていく。
ノーチェ「し……てない……」
ムツキ「ウッソ下手ァ〜!!」
ムツキはケラケラ笑う。
ムツキ「そんで……どうするー?」
ノーチェ「……あ……あー」
ノーチェは箒を生み出しムツキの地図を覗く。
ノーチェ「僕が……ムツキを飛行能力で遺跡のダンジョンまで送り……たい」
ノーチェの声がどんどん小さくなる。
ムツキはノーチェの箒に注視する。
ムツキ「箒?」
ノーチェ「そう!僕さぁ……固有スキルで飛行能力を持ってるんだ!ソレ以外何もないけど……」
ムツキは聞いている。
ノーチェ「あー世間には公表してなくて……だってレベル低いし、ランクも低いし……あと……あんまり人目につく生活をしたくなくて……」
ムツキは腰に手を当てる。彼女は思う。正直、この子は何を言ってるのか理解不能であった。
ノーチェ「とにかく恩を返したいな〜って……」
ムツキ「…………」
ムツキ「ノーチェちゃん?箒は……」
ムツキ「掃除する為の道具だよ?」
ノーチェ「へ?」
ノーチェの目が丸くなる。
ムツキ「普通、メイジ(魔法職)なら杖を持つけど……」
ノーチェはフリーズする。
ノーチェ「だって魔女……あ!い、いや!魔法使いは箒が普通だと……!」
ムツキはニコニコと笑う。ちょっと対応に困っている。
ムツキ「どうしよっかなー?」
ムツキは顎に手を当てて考える。そして大人の対応だと判断した行動をとる。
ムツキ「ノーチェちゃん。そしたら……その能力、見せてー?」
ノーチェ「(おっ?)」
ムツキ「私、箒に乗るからー使ってみてー?」
ノーチェ「……まかせろ!」
ムツキはノーチェの生み出した箒の端に腰掛ける。ノーチェは箒の先頭部に乗り込む。そしてノーチェは念じて純魔法を解放。
ブワァン!!
瞬時に上空100mほど上昇!目の前には青空が広がる!
ノーチェ「ムツキ!!これなら!!?」
ノーチェは振り返る。ムツキは……いない。
ノーチェ「アレ?」
遠くを見渡すとムツキがポーンと彼方へと飛び立ち、強制スカイダイビング状態になった。
ノーチェ「やばッッ!!」
マッハ相当のスピードでムツキを空中で拾う!
ムツキ「(アレー?私、空を飛んでるー?なんでー?)」
ムツキはギリギリ意識を保ったままだった。
そしてノーチェはムツキを回収して地上に着陸!
ノーチェ「危うく前科持ちになるとこだった……」
episode13
END




