妹の策略
翌日、クローディアに手紙が届いた。
「リーデルファイト伯爵から手紙?」
公爵が答える。
「ああ、それがすぐに辺境へと来て欲しいとの事だ。」
「?何故かしら?」
リーデルファイト伯爵はクローディアが懇意にしている伯爵家の伯爵である。幼なじみである為に良く見知った仲だ。
「それが、理由は言えないからとにかく来て欲しいそうだ。」
「……怪しくないかしら?」
「そうだな。だが、この封蝋のマークは……」
「確かにリーデルファイト伯爵のものだわ。」
クローディアは悩んだが行ってみることにした。ミィディーはそれを盗み聞きしてほくそ笑んだ。クローディアが出発する直前になってミィディーが珍しく出てきた。
「ミィディー!見送りにきてくれたの?」
「そうよ。だから何?」
「ありがとう!ミィディー。」
「あ、お姉様にこれを」
「へ?」
ミィディーはいきなり香水をクローディアにかけた。
「何するのよ!?」
「大丈夫、ただの香水だから。旅のお守りよ。」
「……ありがとう!」
少し怪しいと思ったがクローディアはそのまま行くことにした。
こうしてクローディアは辺境に辿りつくのだが、待ち合わせの場所に誰の姿もなかった。
「おかしいわね……」
ドシンっ
「へ?」
どこからか地響きがなった。振り返るとそこには……。
「きゃーーー?!」
大型の魔獣がいた。クローディアは逃げる。使用人達も散り散りに逃げた。魔獣は喋る。
「ふひひひっ!人間がいい匂いを撒き散らしよって……ひひひひ。」
「匂い?」
その瞬間ミィディーの香水を思い出した。
「そうか、これは魔獣をおびき出す匂い!?」
「ふへへへ、美味そうだ。」
「いやーー!!」
逃げるクローディア。だが、気がつけば追い込まれていた。
「いや!助けて!!」
「…………お前、いい声だな?」
「へ?」
「決めた、お前は食わない。」
「たす、かった……?」
「お前の歌声をいただく!!」
「きゃーー!」
「けっへへ!いただいたぞ!ついでにお前を食べる!」
「食べないっていったはずじゃ!?」
「いただきまー……」
「きゃー……!?」
クローディアが気がつくと目の前に人が現れる。
「はあっ!」
彼は魔剣を魔獣へと振り下ろした。
「ぐあっ?!……魔剣使い?!」
「…………逃げろ!」
「え、ええ!!」
逃げようとするが魔獣がそれを許さない。
「逃がすかぁ!!」
魔獣の手がクローディアへと伸びる。
「いやぁあああっ!」
「!」
気がつくと魔剣使いは魔剣で手を切り刻んでいた。
「す、凄い……!」
「右へいけ!」
「は、はい!」
クローディアが右側へと逃げると別の女性の魔剣使いが現れた。
「こっちです!」
その女性がクローディアを保護した。魔獣はそのまま切り刻まれていく。女性魔剣使いが魔剣使いの男に声を掛けた。
「リーダー!単独行動しないでください!」
「…………」
「もー!いつもこれなんだからぁ!」
みるみるうちに魔剣使いの男は魔獣を捌き、ついに骨だけにしてしまった。
「……任務完了。」
男の蒼い目が光る。
「どうしてこんな所にいた?」
「あの、私は、友人に会いに……」
「ここは立ち入り禁止地区だ。」
「ごめんなさ……」
そこで心労が祟ったクローディアの意識は途絶えた。
意識が戻ると白い天井があった。
「大丈夫ですか?!」
「ここ、は?」
「ここは病院です。」
「病院……?そうだ、私、魔獣に襲われて……」
「はい、魔剣使いの方達が貴方をこの病院へ連れてきてくださいました。でも、どこも悪くなさそうでなによりです。」
「ええ、そうみたいね……!」
クローディアはその瞬間に歌声の事が頭を過ぎる。
「…………」
その瞬間クローディアは絶句した。
「?どうかされましたか?」
そこに公爵と夫人もはいってくる。
「「クローディア!」」
「…………歌えないの。」
「「「?!」」」
「歌えない……!」




