主人公
汗を流しながら1人の少女が農作業をしていた。するとどこからともなく声がする。
「おーい!リリス!」
「はーい!」
リリスはこの世界の主人公である。そして、転生者でもあった。乙女ゲーム『レイン・プリンセス』の主人公に転生したリリス。リリスは貧しいながらも幸せに暮らしていた。
「お父さん、どうしたの?」
「食事の準備ができたぞぉ!」
「今行くー!」
リリスは汗を拭いながらボヤく。
「はぁ、転生者生活も楽じゃないなぁ……」
でも、父も母もいい人達で良かったと思うリリス。そして食事へと向かう。
「リリス。おかえり!いつもありがとうね!」
「お母さん!これぐらいどうってことないよ!」
「無理しないでね?リリス。」
「そうだぞ、リリス。お前にはお前の道があるだから農作業なんてたまには休んでいいんだぞ?」
「そんな訳にはいかないよ!でも、ありがとう!2人とも!」
食事が終わるとリリスは部屋へと向かう。そこで歌を歌っていた。
「ラーラー……」
リリスが歌い始めると雨が降り出す。その歌声は父と母にも聞こえていた。
「リリスは本当にいい子だね。」
「そうね!歌もこんなに上手いんだもの!」
「リリスは本当は大会に出たいんじゃないか?」
「……そうね。なのに出たいって言わないのよね。」
「町まで行くのに費用がかかる事を気にしてるんだよ!」
「そうね、なんとかしてあげたいけど……」
「……なんとかしよう!!」
「あなた、なんとかって?」
「私に任せなさい!」
こうして、父と母はリリスを大会に出させる事にしていた。リリスもそれを知っていた。転生者故に。
「お父さんもお母さんも本当にいい人だなぁ。」
リリスは2人の会話を聞いてそう呟いた。翌朝父は切り出した。
「おはよう、リリス!大会にでたいんだろ?」
「う、うん。でも……」
「お金ならなんとかするさ!だから行ってきなさい!」
「お父さん……でも……」
「いいのよ!リリス!行ってきなさい!」
「お父さん!お母さん!ありがとう!」
こうして主人公リリスは大会に出る事になった。リリスはお金を受け取ると、城下町に行くことになった。旅立ちの日の朝。
「リリス、頑張るのよ?」
「うん!お母さん!ありがとう!」
「リリス!全力で頑張りなさい!」
「うん!お父さんありがとう!」
抱き合った3人は手を振って別れる。こうして町に行くことになったリリス。そんなリリスは町につく前に引ったくりにあってしまう。困り果てたリリスは偶然メイド募集を見つける。
「メイド募集中……?」
そして、少しでも滞在費を手に入れようとメイドとしてクローディア宅にメイドとして働く事になったのだった。リリスはクローディア宅だと知らないまま面接に行って受かってしまった。住み込みでの働きぐちである為、宿泊費用が浮いた。
「本日より働く事になったリリスです。よろしくお願いします!」
こうして、クローディアとリリスの道は交わってゆく。




