雨師の国
雨師の国へベルディ王国はその通り名の通り、雨師の姫宮を選出する国である。雨師の姫宮は歌を歌い雨を降らせる力を持つ。そんなへベルディ国王一の歌い手を選出する為の大会があった。この物語の悪役令嬢、クローディア・ルシュカもまた歌姫の大会に出る予定だった1人である。雨師の家系に生まれた彼女はいずれ主人公の前に立ち塞がる強大なライバルになるはずだった。だが、とある事件を機にその運命は狂ってしまう。彼女が何故悪役令嬢かと言うと、それはこの世界が乙女ゲームの世界だからである。それを知るのは主人公の転生者のみである。そして、悪役令嬢クローディアはその日も歌っていた。
「ラーラー……」
「クローディア、今日も精が出るね。」
声の方に振り返る。クローディアの後ろに立っていたのは父のルシュカ公爵だった。
「お父様!」
優しい父と母の元に生まれたクローディア。父が大好きだった。
「あら、クローディア、また歌っていたのね。」
母も練習部屋へやって来るとクローディアに優しく微笑んだ。
「お母様!今日の歌声はどう?」
「ええ、素敵よ!」
「これなら次の歌姫はクローディアに決まりだな!」
「もう、お父様ったら!まだ分からないわよ?」
そんな2人に囲まれて、クローディアは幸せの絶頂だった。父と母の為に次の雨師の姫君に必ずなって見せるとクローディアは張り切っていた。部屋にノックしてメイドが入ってくる。
「ご主人様、奥様、お嬢様、お食事のご用意ができました。」
「そうか、じゃあ行こうか、クローディア。マドリーヌ」
「「ええ。」」
そして、クローディアは妹を呼んで来ると言った。
「私、ミィディーを呼んで参りますわ。」
「ああ、そうしなさい。」
「慌てないでいくのよ?」
「はーい!」
クローディアが部屋から去ると公爵は愚痴をこぼした。
「全く、クローディアは本当によく出来た子だよ。それに比べて……」
「ええ、ミィディーはダメね……」
クローディアは幸せだった。可愛い妹を呼んでこようと張り切る。クローディアはミィディーの部屋の前に来るとノックした。
「ミィディー!食事よ!」
「…………いりませんわ!」
「まあ、そう言わずに……」
「黙れ!!」
「!?」
ミィディーに怒鳴られたクローディアはミィディーの元を去った。
「ミィディーったら……もう!」
部屋からは何か書く音がしていた。
「クローディア、死ね!クローディア死ね!!クローディア死ね!!!!」
ミィディーはその言葉を必死にノートに書いていたのだ。
「なんで、あの女ばかり……!」
クローディアはその歌声から両親から気にいられていた。だが、ミィディーは音痴で歌えなかったのだ。そして2人の扱いに差が出来てしまっていた。そして、ミィディーはクローディアを恨むようになっていた。そしてあることを思いつく。
「あの女さえ……そうだ!そうすれば!!」
それこそがクローディアを地獄に突き落とす策略だったのである。




