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魔剣使いの悪役令嬢。  作者: ユキア
第1章 戦闘女の恋心

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ななの過去

 「ここまでくれば……はあ、はあ。」


 ななが来た場所は複数の魔獣が闊歩する危険地帯だった。ななは思う。もう死のうと……。


 「最後に会いたかったかも……」


 もちろん心に浮かぶのはクラウスその人である。


 「あの日、出会わなければ、良かった、……」


 クラウスとななが出会ったのは7年前である。まだこの地区が危険地域ではなかった時である。ななは普通の農民の少女だった。


 「ママ!」


 「なな。」


 「見てみて!魔獣ごっこ!どしんっどしんっ!」


 「こら!そんな事してたら本当に魔獣が出てきちゃうわよ?」


 「大丈夫だよ!魔剣使いが助けてくれるもん!」



 「そうかもしれないけど……」


 「ははっ!ななは魔剣使いが大好きだな!」



 「パパ!」


 「ななは怖いものしらずだな!将来いい魔剣使いになるさ!」


 「えへへ!」


 なんてどこにでもある魔剣使(ヒーロー)いに憧れるただの少女だった。

 そんな彼女の運命が反転するのはなな10歳の時である。そいつはきた。どしんっどしんっと地響きが鳴る。


 「ぐああああ!!」


 雄叫びと共に現れたのは魔獣だ。ななの住んでいる地区まで魔獣の魔の手が迫る。その理由は簡単だった。より強い魔獣が現れ、縄張り争いが始まり、そして、ななの住んでいる地区まで魔獣が縄張りを求め、闊歩するようになってしまったのだ。その日は来る。


 「ママー!パパー!……どこ?」


 どしんっ。


 「はっ!?」



 ななは咄嗟に小屋に隠れた。 そいつは真っ赤だった。村人達の血で真っ赤に染まっていた。ななは息を殺す。


 「助けて……」


 そう願う。その時である。何かがみえた。



 「まま……?」


 髪の長い死体を魔獣が食っていた。


 「嘘だ……」


 ななは嘘だと思いたかった。嫌だ嫌だ嫌だ!誰か!魔獣使いが助けてくれる!そう思った。だが、魔剣使い達は直ぐにこなかった。別の地区に魔獣狩りに行っていた為だった。魔獣は死体をバリバリと食べる。ななの目から涙がこぼれた。そして、逃げ遅れた男性がなんとか逃げようと走り回っていた。


 「ぱ……ぱ?」


 それは父親だった。父親は母親とななの名を叫びながら探して逃げていた。

 「ぱっ……」


 遅かった。父親は魔獣に踏みつぶされる。


 「ぱ…………」


 どうして、どうして誰も助けてくれないの?!魔剣使いは?!ななは絶望していた。そして、遂に、ななの隠れていた小屋に魔獣の足が向かってくる。ななは死を覚悟した。グシャと音がした。


 「あ、ああ……」


 「逃げろ、小娘。」


 そこに現れたのはクラウスだった。クラウスは魔剣で魔獣の眼を潰していたのだ。しかし、魔獣には逃げられた。


 「ま、剣……使い?」


 なんとか保護されて助かったなな。だが、そのショックは大きかった。そんな、ななを助けたクラウスに出会った瞬間彼女は恋をした。彼女にとって彼は救いの神であり一目惚れした相手だったのだ。故に、故に今会いたいと思うなな。だが、同時にあの日、出会いたくはなかった。そう、平和だったなら出会うことは無かったからだ。


 「ここで、死ねるなら……」


 そこは故郷だった。ななは最後の場所を故郷で迎えようとしていた。


 「クラウスに嫌われちゃったし、生きてても仕方ないし……」


 ななは魔剣を手に取った。


 「死に場所にはちょうどいい!」


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