仲直り(クリス視点)
わたしは、アリシアと相談した上でライラを呼び出した。直接姉妹で話をさせた方が早いと判断したのと、アリシアのあの話をわたしから伝えた後のライラの反応を予想すると恐すぎた…。
いつもより奥の、茂みに一部隠れる場所にテーブルと椅子を準備させた。予定通り、アリシアを隠れる位置に座らせ、呼び出したライラの訪れを待った。
やって来たライラをエスコートすると、アリシアの姿を見た途端にライラがエスコートの手を離した。
「お姉様がいるなら帰ります」
踵を返そうとするライラの手にアリシアがすがった。
「ライラ!ライラ…待って!お願い。お願い…話を聞いてちょうだい」
アリシアに一度視線を向けたが、それでも歩き出そうとするライラに、アリシアが告げる。
「話を聞いてくれないなら、髪を切って修道院へ行くわ」
アリシアのその言葉に、ライラが動きを止めた。
振り返りアリシアの頬に涙が伝うのを見て、ライラは顔を歪ませた。ハンカチを取り出すとアリシアの涙を拭き、彼女にハンカチを握らせる。そして、そのまま無言で用意していた椅子に座った。
ライラは無表情で視線は合わせないが、ひとまず姉妹を同じ席に着かせることには成功した。わたしは、アリシアを支えるようにして椅子に座らせ、自分も席に着いた。
お茶を用意させた後でアリシアを促し、あの話を語らせた。途中、何度かお茶を飲んだライラが、珍しく茶器で音を立てた。
ライラの表情をうかがうが、無表情のままだ。しかし、背筋に悪寒が走る。冷気というか、黒い何かというか…とにかくライラから何か流れ出ている感じがする。
話し終わったアリシアがハンカチで涙を拭く。すると、珍しくライラがアリシアへ向けて低い声を出した。
「お姉様」
「はいっ」
アリシアがビクッとして、居住いを正す。
「お姉様。わたくし、いつもお姉様はお言葉が足りないとお伝えしていると思いますが。いつも、言葉が足りないと誤解を招きますよ、とお伝えしておりますよね?」
「はい…」
「今回は、お姉様のお言葉が足りなさすぎます。わたくしが対応できないなんて、よっぽどでしてよ?
突然変なことをおっしゃらず、酷いことを言われたから聞いてほしいと言ってくださればよかったのです。わたくしはお姉様が一番大切だ。お姉様が大好きだと常々申しておりますわよね?」
「はい…」
ライラは立ち上がるとアリシアに近づき、優しく頬を撫でた。アリシアの頭を胸に抱き締めると、そっと頭を撫でる。ライラが顔を近づけて何かを囁くと、アリシアは泣き出した。堪えきれない嗚咽が漏れる。
ライラはアリシアが泣いている間ずっと、頭を撫で続け、時々何かを囁いていた。
しばらく泣き続けたアリシアだったが、ようやく泣き止むとライラに連れて行かれた。
どうしたのか聞くと「お姉様の泣き顔は殿下には見せられません」とのことだった。
化粧が崩れたところを見せたくない乙女心を察しろとライラに怒られた。
アリシアと二人で話をしたようで、ライラは通常運転に戻っていた。「傷ついたから、わたくしに慰めてほしかったのですって。言ってくれればデロデロに甘やかして差し上げましたのに」と「わたくしに」を強調してくるあたり、もう心配はいらないようだ。
「よかったな」
そう返すと、「はい」と満面の笑みが返ってきた。
「いろいろご尽力くださり、ありがとうございます」
ライラから、珍しく素直に感謝された。
ちなみに、ライラが何を囁いていたのか尋ねるといつものお姉様愛を語っていたらしい…。
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はじめは天然お姉様とライラの、ドジっ子うっかりな日々のほんわか徒然日記になるはずだったんですが…ライラのお姉様愛による仕返し日記になっております。これからも、ライラの仕返しが続く予定です…。悩んでいますが、タイトル変えるかもしれません…。今はまだこれだというタイトルを思い付けていませんが…。
タイトル変えるかも…というご報告でした。
少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。
これからもよろしくお願いいたします。




