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セバスこぼれ話 絵本1

セバス視点です。

お嬢様方がまだ幼かった頃のことでございます。

「ライラと一緒に寝るから準備をお願い」

お嬢様方の夜の仕度を指示しておりましたところ、アリシアお嬢様からそう告げられました。理由(わけ)をお聞きしたところ、ライラお嬢様がある絵本を見てしまい、怯えているのだと教えてくださいました。

あの絵本ですか…。

納得でございます。あの絵本は本当にお子様向けなのでしょうか…。アリシアお嬢様のお優しい気遣いを

無駄にしないよう、お嬢様方が一緒にお休みになる準備をすすめながら、アリシアお嬢様が今よりお小さい頃のことを思い出しておりました。


あの絵本は、屋敷に出入りする商人が持ってきたものでした。お話は間違いなくお子様向けです。しかし、お子様向けにしては、ずいぶん不気味な絵が描かれた絵本でした。その当時、若いお嬢さんたちの間で「ブサかわ」「キモかわ」というものが流行っていると聞きましたので、それでしょうか…と思いましたが、アリシアお嬢様の反応をうかがう限り、違ったようでございます。

アリシアお嬢様はお小さい頃から、感情を表に出す方ではなく表情もほとんど変わらない方でした。ですから、あの絵本をお読みした日も、お嬢様が恐がっていらしたことに気づけなかったのです。


夜、侍女がアリシアお嬢様の部屋に様子を見にうかがったところ、お嬢様の姿がないと報告がきました。もちろん大騒ぎとなり、使用人を集めて屋敷中を捜す準備を進めていたところ、ライラお嬢様の乳母からアリシアお嬢様がライラ様の部屋にいると連絡がきました。

急ぎライラお嬢様の部屋へ向かうと、アリシアお嬢様がライラお嬢様の手を握って寝ておられました。

ライラ様がようやく立ち上がれるようになった頃のことでございます。しっかり繋いだお二人の手を離すのがはばかられるので、その日はそのままお休みいただきました。

翌朝アリシアお嬢様に話を聞くと、

夜に目が覚めたのだが、あの絵本を思い出して眠れなくなった。恐くて眠れないと我が儘を言えば、侍女を困らせてしまう。どうしようかと思っていたところ、絵本の内容を思い出して、急にライラのことが心配になった。ライラの部屋に行くと、ちょうど乳母が席をはずしていて、ライラがお化けにさらわれないか心配で側にいた。そして、そのまま寝てしまった…

と、教えてくださいました。

聞き分けがよく、我が儘をおっしゃらないアリシアお嬢様です。こちらから、「今日もライラお嬢様と一緒に休まれますか?」とおうかがいすると、「いいの?」と聞き返されます。お嬢様が望まれるなら大丈夫だとお伝えすると、「ありがとう」と微笑まれました。そして、数日お二人一緒に休まれたのでした。


自分も恐い思いをされた絵本ですから、アリシアお嬢様はライラお嬢様のお気持ちがわかるのでしょう。

アリシアお嬢様がライラお嬢様を心配されております。

わたくしたちは、お嬢様方が健やかに過ごせるようにお手伝いさせていただきます。

翌日も、ライラお嬢様を気遣ったアリシアお嬢様に、ライラと一緒に寝たいと申し付けられました。

もちろん是でございますので、喜んで準備をさせていただきました。

お二人が並んで寝るお姿を拝見し、癒されるのは役得でございます…。


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