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アリシアへの謝罪1(クリス視点)

結論から言えば、わたしはアリシアに謝罪したし、ライラには「ぎゃふん」と言ってやった。

わたしから謝罪されたとアリシアがライラに報告したらしく、その翌日に半ばおしかけるようにやってきたライラから満面の笑顔を向けられた。何か企むような微笑みではなく、心からの笑顔であった。わたしがアリシアのことを誤解していたことを認めると、嬉しそうに話を聞いていたライラが、わたしへ謝罪してきた。やはり、プリラム草は故意だったそうだ。謝罪を受け入れ、「ぎゃふん」と言ってやると、ライラは一瞬呆然とした後で、声を出して笑い出した。つられるようにわたしも笑ってしまい、思っていたよりずっと、穏やかに時間が過ぎていった。

姉妹との関係は良好なものに戻ったが、しばらくの間、わたしがライラの微笑みに恐怖を感じていたことは秘密だ。以前はあれほど可愛らしいと思っていたライラの微笑みに、今は何も感じない。背筋に寒さを感じることはあっても、頬を染めるような感情を抱くことは二度とないだろう。


ライラに言われた通り、アリシアのことをよく見てみると、確かにアリシアは()()()ではなく、()()()()が多い少女だった。

アリシアを観察してみてはじめに気づいたことは、よく躓くということだった。病気ではないかと心配になるほど、何もないところでよく躓いた。そして、彼女の先には本当に人がいるのだ。必ずといっていいほど、巻き添えになる位置に誰かがいた…。その誰かは、大抵の場合ライラだった。巻き込まれて転んだり、濡れたりしたライラに真っ先に駆け寄るのは、いつもアリシアだった。アリシアは自分が汚れることも厭わずライラを抱き起こしたり、濡れながらライラを抱き締めたりしていた。意図せずライラを巻き添えにしていることはすぐにわかった。


ある時、アリシアがある令嬢のリボンを裂いてしまったらしい出来事があった。何をどうしてそんなことになったのかはわからないが、ライラのいうところのドジと間の悪さで引き起こしたことらしい。

わたしがその出来事を知った時には、すでにアリシアが故意に下級貴族の令嬢に手をかけた噂されていた。

しかし、疑わずに事実を確認してみると違っていたのだった。確かに、ある令嬢はアリシアに髪飾りのリボンを壊されていたのだが、アリシアから謝罪されお詫びとして髪飾りを送られたという。

「アリシア様にいただいたのです。わたしのリボンを壊してしまったお詫びだと…。特に大切にしていたものではないから大丈夫ですと遠慮したのですが『そんなことはおっしゃらないで…。わたくしの不注意で壊してしまって、本当にごめんなさい。大切なものの代わりにはならないとは思うのですけれど、せめて受け取ってちょうだい。貴女に似合うものを…と思って、貴女の瞳の色に合わせて作ってもらったの。気に入らなければ、捨ててもらってかまわないわ。本当にごめんなさい…』そうおっしゃってくださったのです。こんな高価なものをいただいて、かえって申し訳なく思っております…。我が家では正直手が出ないほどの品で…しかも、アリシア様がわたしに似合うと選んでくださったお品…本当に嬉しいのです。大切にします。もちろん、何度も何度も謝ってくださいましたよ?」

令嬢はそう言って大事そうに髪飾りを見せてくれた。

アリシアが故意に傷つけたという噂は聞いたが、身分の低い自分ではアリシアへの誤解を解くことはできない。噂は嘘だらけなのに、どうもできない自分が悔しい…そう言っていた。

調べると、アリシアから被害を被ったほかの令嬢も詫びの品と十分な謝罪を受け取っていた。自分より家格の高い令嬢にはかえって失礼になってしまうからできなかったようだが、家格の低い令嬢には必ず誠意を示して謝罪をしていた。被害を被った令嬢たちは、誰一人としてアリシアを悪く言う者はいなかった。

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