わたしと殿下3
殿下が真剣に話を聞き、振り返ってくださるとおっしゃったので、わたしは殿下に説明しました。お姉様が、両親からさえ誤解されるような天然、ドジ、間が悪いのトリプルコンボであることを…です。
「殿下は、お姉様のことを誤解されています。わたしがわざと殿下にプリラム草を渡したとしたら、それが許せなかったのです。お姉様を誤解して傷つけて泣かせた…それが許せなかった…。大好きなお姉様を泣かせた殿下を『ぎゃふん』と言わせたかったのです」
わたしはこれまでのことを一つ一つ殿下に説明しました。全てが、うっかりドジでつまずいた結果であったり、優しさや気遣いからくるものであったり、ただ間が悪いだけであることを、具体的に説明しました。
殿下は、少し疑わしげな表情をされていましたが、口を挟まず聞いてくださいました。
「まさか…そこまで…?…」
お姉様のエピソードを聞きながら、殿下の口からそんな言葉が漏れ聞こえます。
「わたしの言葉をそのまま鵜呑みにして信じてくださいとは申しません。けれど、偏見や思い込みなく、お姉様をご覧になってくださいませ。観察なさってみていただきたいです。わたしの言葉が本当か嘘か、殿下の目で確めてください。お願いいたします」
殿下に頭を下げました。しばらくして頭をあげると、はじめは悩むような表情をされておられた殿下が、ゆっくりと頷かれます。
「ライラがアリシアを想う気持ちはよくわかった。…わかった。アリシアのことは気をつけて見させてもらう」
そうおっしゃってくださいました。
わたしはほっとして、思わず表情が緩みます。そして、殿下にもう一つ伝えたいことがあったので、殿下に向けてにっこり微笑みました。わたしの微笑みを見た殿下がビクッとします。心当たりはありすぎますが、女の子の笑顔を見て怯えた表情をするなんて、失礼ではないかしら…。
「殿下、もう一つお願い?があります」
「……なんだ…?」
「もし、わたしの申し上げたことが本当だとご理解いただけた時は、お姉様に謝っていただきたいのです。泣かせたことを、謝ってくださいませ」
「…わかった。ライラの言ったことが本当なら、誤解して傷つけたのだから、もちろんアリシアに謝罪しよう」
「それと、もう一つ。あれ…お願いが二つになってしまいますわね…」
チラッと殿下に視線を送ると、ため息をつかれました。
「…言ってごらん」
殿下が許可をくださいました。
「わたしに『ぎゃふん』とおっしゃってください」
わたしは、殿下に向けて、にっこり微笑みました。




