春季君怪しいです!
恋と恋人になってから早2週間、俺と恋は前よりはグッと仲良くなったけど恋人らしい事をしているかと言われればうぅん? どうだろう? 前に恋に1度キスをされたくらいか?
まぁそんな中で少し気になる事があった。 恋はまだ全部を解決するという覚悟はまだ出来てはいない。 だけど俺はその暁までには下調べくらいはしておくべきだろうと思った。
なんせ、よし! 一気に解決するぞ! なんて言ってノープランじゃな…… まぁ俺が勝手に動いたからと言ってどうなるわけでもないけど恋の家くらいは調べておいた方が良いかなと思っていた。 恋が本当の事を話した時家の場所とかも聞いてたし楠木なんて苗字はここらじゃあまり聞かないし。
だけど恋は俺と離れようとしないから単独で行動し難いんだよな。 俺が動くとついてくる癖でもあるんだろうか? どうしたもんか…… 莉華や彩奈に頼んで恋を連れてって遊んでてもらった方がいいのかな? 恋の家には隣町だから1時間半くらいは掛かるが電車で行けばそんなに時間はかからない。
「春季君、最近悩み事? 私話し掛けてるのに上の空だよ?」
「…………」
うーん、何かいい手はないものか…… そうだ! 莉華や彩奈の家に行くんじゃなくて俺の家に呼べばいいか。彩奈の家は行ったことないし。 涼にはそういう事だから莉華を貸してくれと言ってみるか。
「は・る・き・君!!」
「ああ、なんだ。 恋隣にいたのか……」
「春季君なんだか私が春季君の家に来た時みたいに考え事しちゃってどうしたの? 私心配だよ、何か私に言えない事?」
うん、言えないな…… 恋の家に行ってみるなんて。 ただ正直に言ったら恋は絶対嫌がるだろう。 まだ恋には楽しい思いをいっぱいさせてやりたいし困ったなぁ。 しかもそんな態度に俺がなっているのを恋に気付かれるなんて。
「えっとさ、また莉華と彩奈呼んで遊ぼうかなって思ってさ!」
「春季君が? どうして?」
「え? 俺が言うとなんでそんな不思議そうな顔してるんだ?」
「だって春季君今まで自分から誰かと遊ぶとか言った事なかったから……」
そうだった、面倒くさがりな俺が積極的に誰かと遊ぼうなんておかしいよな、いつも誰かから誘われて面倒だけど仕方なくみたいな感じだったから…… これは内緒で行動だな。
「そういえばさ、明日放課後迎えに来なくていいよ?」
「え? どうして?」
「委員会の仕事でさ、結構遅くなるから恋1人だと危ないから」
「春季君そんな事してたっけ?」
「サボってた分しわ寄せ来ちゃってさ、どうしてもやらなきゃいけない事になってさ……」
「私待ってる」
「へ?」
「春季君がどんなに遅くなっても私待ってる」
「いや、危ないし……」
「待ってるもん! 絶対絶対待ってる!」
全く譲るつもりないのか…… しかも恋が怒ってきているような気がしてきた。 ますます単独行動出来ないパターンになってきているような……
「春季君私に何か隠し事してる!」
恋が俺にズビッと人差し指を向けそう言ってきた。 鋭い、今日の恋は鋭いぞ。
「な、何を?」
「私自慢できる事じゃないけど春季君に本当の事隠してる時そんな落ち着かないようなソワソワしてたもん! だからなんとなくわかる!」
ああ、なるほど! って納得してる時じゃない。
「春季君、もしかして私を遠ざけようとしてる? 嫌いになった? こういうのも春季君からしたら嫌?」
恋は泣きそうになりこちらを見つめる。いや、違うんだ。 誤解だ、だけど一時的に遠ざけるのは当たってるな。 ってそんな事より誤解を解かないとどんどん変な方向へ行ってしまう……
「そ、それとも他に好きな人でも出来ちゃった? 私春季君の学校の生活何も知らないし委員会とか言って夜遅くまで何するつもりなの?」
ヤバい…… 違う意味でヤバくなってきた、当初の目的を完全に違う方へ勘違いされている。
「私明日は雨が降ろうと雪が降ろうと嵐だろうと絶対ずっと春季君が来るまで待ってるから!」
どないしよう…… 委員会なんてのも即興で考えた嘘だし明日学校にただ居るのか? 恋に言った通り夜遅くまで? てかそんなに恋を待たせられるわけないだろ。 もっとマシな嘘つけば良かった……
あ、こんな時こそ彩奈の出番だ、彩奈に事情を話して上手く合わせてもらうしかない。 ごめんよ、彩奈。 なんか申し訳ない……
日を改めるしかない、チャンスはいずれ回ってくるだろう…… 恋との父さんの事もあるがそれよりまず最初に恋から怪しまれないように1人にならない事から始めなくてはいけないとは……
その日は怪しい俺にずっと恋の目が光り携帯をいじる時でさえ視線を感じ、そのまま次の日も恋は俺の行動を観察しながら登校し、やっと学校で解放された。
彩奈に話すとドジだねぇと笑われたが恋の為でもあるのでしっかりと話を合わせてくれる事になった。 そして俺は放課後彩奈と一緒に校門に向かうと恋が駆け寄ってきた。
「彩奈ちゃん? 春季君委員会は?」
恋は俺と彩奈を怪しく睨む。 めちゃくちゃ疑ってる……
「春季は私と同じ委員会入っててさ、恋ちゃんのお迎えもあるし春季を残らせたら恋ちゃん可哀想だなって思ってさ、私が引き受ける事にしたからさ! 春季、これ貸しだからね! 覚えときなさいよ」
そう言って彩奈は校舎へ戻って行った。 済まん彩奈、感謝するよ。
「てことでさ、普段通りに帰れる事になったから帰ろうぜ?」
「うーん、わかった」
なんか納得がいかない、そんな表情の恋だけどこの場は凌いだ。 でも改めて後日上手い手を考えて恋の家の下見は行った方がいいだろう。




