私ってドジです……
ちょっとした日常回でした。
「はぁ〜ッ」
恋が大きくため息を吐いていた。 まぁさっき素っ裸になりかけて俺に危うく見られそうになった事でも思っているんだろうな。 フォローしてやるか。 でも一応彼女だし見てもいいんじゃね? と思ったけど俺にはまだ刺激が強すぎるわ……
「私ってドジで間抜けで本当に恥ずかしいッ!」
「いや、そんな事はないぞ? 良いとこだってあるよ」
「た、例えば? か、可愛いとか言って誤魔化さないでね!」
「…………」
「ほ、ほらぁ…… なにもなし。 す、少し期待していたのに」
本当に俺に何か言ってくれると期待していたようだが俺の言わんとした事は恋に最初にバッサリと断たれてしまった。 えーと、なんだ? 手が掛かる所? いや、良い事なのか? 放っておけない所? これもよくわからない……
あ! 家事が出来る、恋が当然のようにこなしていたから全くもって気付かなかったけどこれは立派な長所だよな? 俺には恋ほど手際よく出来ないし、第一やる気が起きないし……
うぅーんと考えていると恋がプルプルして俺を見ている。 あれ? 今度は少し怒ってらっしゃる?
「そ、そんなに考えなきゃいけないほど私ってダメダメだったんだ…… いえ、わかってましたけど」
「あ、いや。 考えてたのは確かだけど、ほら! そのお陰で恋の良い所見つかったぞ」
「え? 何々?」
「家事が出来る!」
そう言った途端見つかったと言った時はパァッと明るい笑顔になった恋はあ、それか…… みたいな顔になってしまった。え? これって不正解? な、なんかあんまり慣れない会話に眩暈がしてきたぞ……
「か、家事は…… 私くらいの家事はお手伝いさんにだって出来るもん! 」
そんな身も蓋もない事を言っては終わりじゃないか…… 女心ってめんどくせぇと思ってしまう。 でも俺達まだ付き合い始めたばかりだし恋の気持ちにもようやく向き合い始めたばかりの俺にそんな恋の気持ちを察してやる事は結構難しかった。
「春季君とせっかく恋人になれたのに私って春季君が自慢の出来るような彼女になれてないような気がする…… 」
「だって俺だって別に恋が自慢出来るような彼氏じゃないだろ? だらしないし取り分けイケメンでもないしさ、家事だってほとんど恋に任せっきりじゃん?」
「春季君は私を助けてくれたし優しくて嘘つきな私でも許してくれたし頼りになるし私にとって自慢の彼氏です!」
自分で言ってて恋は彼氏って言っちゃったと照れている。 なんだコイツは…… さっきまでムスッとしてたのにな。
「と、とりあえず春季君が私って居てくれて良かったって思えるような彼女になりたい!」
「なんか嬉しいけど頑張りすぎるなよ?」
「頑張るもん! 私は春季君の良い所すぐ言えるけど春季君は私の良いなって思う所即答出来なかったしそれってやっぱりそういう事なのかなって思ったから春季君を見返してあげるんだから!」
その後の恋はいつにも増して気合が入りそしてその分空回りしていた。 俺が飲み物を飲んでいて飲み終わると恋はすぐに入れ直し俺に渡そうとすればタイミングが合わず俺の手とコップがぶつかり溢してしまい、得意なはずの料理でも指を包丁で切ってしまい、その他いろいろと失敗しまくっていた。
気負い過ぎて更に恋は落ち込む事となった。 だから頑張りすぎるなよと言ったのに手が掛かる奴だなぁ…… でも俺そういう所も嫌いじゃないけど恋はマイナスに捉えてしまうからな。
「ど、どうしよう…… 褒めてもらおうと思ったのに怒られるような事しかしてない……」
自分で自分の頭をポカスカ殴り気合を入れ直しているようだけどどうせまた落ち込む結果になりそうだなと思い、そろそろいつもの恋に戻ってもらいたいなと思ったのでガックリと肩を落としている恋の目の前に座った。
「春季君ごめんなさい、いつにも増して私失敗してばかりで…… お、汚名返上すぐするから!」
「待った」
「んあッ!」
立ち上がろうとする恋の腕を掴みそのまま座らせた。
「俺が恋の良い所すぐ言えなかったのも悪かったけどさ、そうやって無理してると空回るだけだぞ?」
「だって……」
「恋の良い所はさ、俺が恋と居て良かったって思わせようとして頑張って、でもそれで失敗して落ち込んで迷惑かけてると思ってるようだけどそんな所も俺好きなんだ。 手が掛かる程可愛いって言うだろ? アレと似たようなもんだ」
「そ、それだと私ってなんか……」
「それにもう結構前から目的達成してるよ?」
「へ?」
「恋が居てくれて本当に良かったと思ってるよ、恋が居ると賑やかだしそんな恋を見てるのも楽しいしさ。 だから無理しないでそのままの恋で居てくれよ?」
「そ、そうだったんだ…… うん、春季君がそう思ってくれてるならドジで間抜けな私でもいいのかな?」
いいよ、今のままでと優しく頭を撫でると恋ははにかんで笑った。 ようやく落ち着いてくれたな。 その後はちゃんといつも通り多少はドジだがいつもの恋に戻ったようだ。




