ダメって思ってるのに…… とられたくない!
朝っぱらから恋にからかわれ朝食を食べる。 嘘でもコイツに好きですって言われると破壊力あるな。 眠気が吹っ飛んでしまった。 まぁコイツには何があるかわからないからな、手を出すのはマズイだろ……
そんな仲になってもいつかは破綻しそうなこの関係、お先は真っ暗だなと思っていると恋と目が合う。
「ん? 味薄かった?」
「いや、別に…… 俺も好きだよって思ってさ、なんちゃっ…… え?」
「エホッ、ゲホッ!? …… もう!春季君にご飯吹き出す所だったじゃない!」
癪に触るからからかい返してやったけどコイツもリアクション派手だな…… コイツはよく考えないで好きとか言ってそうだな。 お前みたいなのにそんな事言われると意識してしまうんだぞ?
わかってんのかよ? って俺も好きって言っちゃったけどまぁ俺から言われても大した事ないはずだ。
「そういえば澤村さんの事……」
「ああ、あいつな。 あいつは俺の事好きだって言うけど俺はもともとそんな風に認識してなかったしあいつもそれがわかった上でだからさ。 確かに澤村はこの前遊んだ時いい子なんだってわかったけどそれだけで好きになったかって言われるとわかんねぇし。 それに言ったろ? お前の事放っておいて澤村と付き合う気はないって」
「えへへ、なんか私邪魔者だけど大事にされてるってわかるよ」
「何言ってんだよ……」
顔を洗い歯を磨いて制服に着替え玄関に向かう。 あれ? 鞄どこだ? と思ったら恋が持ってきてくれた。
「はい、これでしょ? お弁当入れたからね」
「ああ、ありがとう。 ん? え? またついてくる気?」
「うん、なんかついていないと物足りなくなってきちゃった」
ええ…… なんだよそれ? 携帯の意味は? って言っても時間ないからこんな所でごちゃごちゃ言っても仕方ないし空気だと思って行くしかないか。
「行ってきます」
「え? 春季君待って待って!」
急ぎ足で学校へ行く俺に恋も急いでついてくる。トテトテと小走りになり俺の横に並ぶ。 つうかこの光景誰かに見られてたんだよな、クラスでもつっこまれたし。
「どうしたの? そんなにキョロキョロして」
「お前といる所見られたって言ったろ? クラスで彼女? とか言われるから一応警戒してるんだよ」
「いいんじゃない?」
「はぁ?」
「私だったら春季君とならそう見られてもいいかなぁなんてね! でも春季君はそう思われたくないって事は好きな人でもいるの?」
恋は冗談を言いながら好きな人いるの? と問い掛ける時はなんだか俺の反応を鋭く観察しているようでなんか圧倒される。 いや、圧力あってなんか怖いよ……
「別にそんなのいないけど俺にとっては面倒な質疑応答みたいなのされるの嫌なだけだよ」
「ふぅん、ほんとかな?」
「大体恋に関係あるのかよ? 仮に好きな奴居てもお前の事放っておいて付き合わないって言っただろ?」
「そうだったね、でも私の事清算できたらとして好きな人いる?」
この質問に何の意味があるんだろ? 恋の事清算できたらもう関係はなくなるから恋にとっても俺の事なんかどうでもいいんじゃないのか?
だけど恋は笑っているけど目は笑っていない。 何を聞き出したいんだ?
「特に今の所はいないかなぁ」
「……へぇ、私の事はこれっぽっちもなんとも思わない? 」
「え?」
「春季君って私に何も感じるものはない? そりゃ春季君は優しくしてくれるけどそこには何もない? ちょっとは私を好きだと思ってくれてる?」
「は?」
「春季君が私を好きだと思ってくれてるなら…… 私は、それなら私は……」
その瞬間少し離れた所から澤村が現れた。 え? なんでここに澤村までいるの? 逆方向だよな?
「おはよう、高坂! ってまた恋ちゃんも一緒? 」
「おはよう。 澤村こそどうしてこんな所に居るんだよ? 学校スルーしてここまで来たのか?」
「だって高坂の事よく知るにはね! それに高坂も私の事よく知れるでしょ? で恋ちゃんはどうして今日も一緒なの?」
ああ、そうだよな。 前も一緒に居たの見られてたし……
「恋とはよくそこで会ってさ、ついでだから話してた」
「はぁ、なるほどねぇ……」
高坂は怪訝な顔で俺と恋を交互に見つめる。 完全に怪しまれている、そりゃあそうだよな……
「恋ちゃん、そういえばこの前聞いてたと思うけどさ、高坂の事好きな人いるって言ったじゃん?」
「え? あ、うん……」
「それって実はあたしなの」
「え?」
澤村は恋の反応を確かめるようにそう言った。 だが澤村、恋もその事については知っているんだ、知っているけど知らない事になっているから恋は驚いてるフリをしているだけだ。
「でね、あたしこれから高坂にあたしの事好きになってもらえるようにいっぱいアピールしようと思ってるんだ」
「あ、アピールって何?」
「高坂といっぱい遊んで学校でももっと仲良くしようかなって」
「どうして私にそんな事言うの?」
確かになんで恋にわざわざそんな事言う必要あるんだ?
「ううん、ただ恋ちゃんも春季君と知り合いなんだから知っててもらった方がいいかなって思っただけだよ」
「そっか。そうだよね……」
その後3人で学校の方へ向かうが澤村と俺が話すのを黙って恋は聞いていた。 だけど澤村の事を注意深く見ているようだった。 そして学校が見え始めた頃、ここで恋はいつも引き返す辺りだよな?
だけど恋は引き返すつもりがないのかそのままついてくる。 そしてそのまま学校の校門までついてきてしまった。 生徒も多く恋の可愛さもあって注目されてしまう……
こうなるからみんなに見られる前に退散して欲しかったのになんで今日に限って澤村も来るし恋もここまでついてきてしまうんだ!?
「春季君、学校頑張ってね!」
恋はそう言うと小走りで帰っていった。
「ほほう、やっぱりね……」
澤村が恋の後ろ姿を見て何か含みのあるような言い方で俺の反応も伺うようにそう言う。
「何が?」
「ううん、なんでもないよ。ていうか高坂ってさ、恋ちゃんの事どう思ってるわけ?」
「どうって? うーん、あいつはいろいろ大変で手が掛かるけど根はいい奴だしって…… って何言わせんだよ?」
「ううん、別に。さ、教室行こう?」
澤村はニッコリと笑い俺の腕を取って引っ張るように昇降口へと向かった。




