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優しくされるとそれだけに


家に入ると涼がリビングに降りてきて部屋に来いよと言ってきた。



「わ、私も行っていいの?」


「涼がいいって言うからいいだろ」


「お前ら大分打ち解けたな? 莉華もいるけど別に大丈夫だろ?」


「あー、やっぱいたか。まぁ別に問題なし。 てか2人でいる時邪魔して悪いな、これからもっと迷惑かけそうだから最初に言っておくけど」



そう聞くと涼は昨日で大体わかったし気にすんなと言ってくれた。そして2階に上がり涼の部屋へ入ると莉華は自分の服を着ている恋を見て可愛いと飛び付いた。



「恋ちゃんやっぱり私の服似合うね! あげた甲斐ある」



キャッキャと莉華は恋をクルクル回し嬉しそうにそう呟く。 恋はそんな莉華に少しタジタジだ、でもまぁ莉華は恋と仲良さそうだしな。



「莉華ちゃん貰ってないってば。借りてるだけだよ、でもありがとう」


「まぁどっちでもいいよ、恋ちゃん可愛いからなんでも似合うしね。それで涼から聞いたけど莉華ちゃんも携帯欲しいんでしょ? なら涼に任せといてよ!」


「涼ごめんな、お前にこんな事頼んで。金は毎月俺が払うからさ。いや、俺が払うというか母さんの仕送りでか……」


「いいよ、面倒くさがりなお前がそんな事頼むなんて珍しいから聞いてやってるだけさ。母さんならわかってくれると思うしさ。 けどお前の親にもその内バレるんじゃないか?」



そうなんだよな…… 今は大丈夫かもしんないけどその内バレるよなぁ。でもその間に恋の事もなんとかなるかもしれないし…… いや、それは流石に安直すぎるかな。 でも今は今の事に集中しよう。



「じゃあさ、みんなで母さん達の所へ行こうか?」


「涼の家でダメだったら私のお父さんとお母さんに頼んでみるからね、だから安心して恋ちゃん」


「涼君、莉華ちゃん、ごめんね。 こんなに私に親切にしてくれて……」


「まぁ俺らも春季ほどじゃないけど協力するよ。事情はわかってるんだし」



涼がそう言うと恋は下を向いて唇を噛み締めていた。恋の事だから悪いなって思ってるのかな?



「恋?」


「あっ! ううん。みんなありがとう…… こんなにみんなに親切にしてもらって後で天罰下りそう」


「あはは、天罰なんてそこで使う言葉じゃないでしょ!」



そうして涼達の母さんがいるリビングにみんなで降りて行く。 みんなできたからどうしたの?って顔をしているけどこれから言う事を考えると緊張するな……



「みんなして改まってどうしたのかな?」



涼の母さんがそう言うと涼がまず口を開いた。



「母さん、俺の余ってる携帯ひとつ契約してくれないか?」


「どうして?」


「それは俺から話します。 恋には記憶がありません、 それと行くあても。最初は俺も警察か相談所に行った方がいいと思ったんですけど……」



チラッと恋を見るとそれは嫌と言う顔をやはりしている。 やっぱり何かあるんだなと思ったけどそういうのも今更だしな。 そして俺は話を続ける。



「恋も俺の家にもう慣れちゃって俺と一緒にそこら辺は思い出していこうって言う事になったんですけどここ数日間過ごして携帯がないと何かに不便で…… 俺の親に頼むのが1番なんでしょうけど一人暮らししている上に他人の子を預かってるってなると……」


「ふんふん、なるほどね。 一人暮らしやめさせられて結局恋ちゃんとも離れ離れになるかもって心配してるのね?」



涼の母さんが言わんとしている事を言った。 客観的に聞くと俺ってそんな風に恋の事考えてんの? と思ってしまった、てか言ってて本当に穴だらけで筋違いなお願いだな。 こんなの通用するのだろうか?



「そうだったの、伶奈ちゃん……」



莉華の母さんが涼の母さんを伺うように見る。



「いいんじゃない? なんだか凄く引っかかる所いろいろあるけど。でも春季君立派じゃない? 恋ちゃんの事助けてあげたいんでしょ? 涼もちょっとは春季君を見習ったら? フフッ」



あれ? あんなツッコミどころ満載な説明で大丈夫な感じなのかな? やっぱり涼の母さんは話がわかる!



「今のでよく納得したな……」


「なんか複雑そうなのは私と凛ちゃんの昔みたいで懐かしいから協力してあげたくなっちゃうのよ、春季君はもっとそれっぽい言い訳考えた方がいいわよ」


「は、はぁ。 でもありがとうございます! 金は毎月払うので!」



良かったな恋、とりあえずなんとかなりそうだぞ? と恋に振り返ると恋は涙をポロポロと流していた。 あれ? てっきり喜ぶのかと思ってたけど。



「恋ちゃん大丈夫?」


「…… う、うん。 こんな私の為にここまでしてくれるんだなって思ったら。な、なんか……」



ああ、ちゃんと喜んでるか。 これで当面足りない物はないはずだよな? そこからはトントンと決まって夕方には恋は携帯が使える状態になっていた。 そして帰り道……



「恋、これでいつでも連絡取れるな」


「春季君、どうしてそんなに優しいの?」


「え?」



どうして? 優しい? 俺は恋に優しくしていたのか? 全部成り行きで仕方ないなと思ってやっていたつもりだし…… 恋が記憶喪失でもそうでなくてもいずれはこんな関係成り立たなくなるだろうし。でも俺って恋に優しいのか?



「そんな事聞かれてもよくわかんねぇよ、お前が何か思い出すまで仕方ないなってやってたし」


「そっか、それでも私嬉しいな」


「まぁそれにお前にも彼氏とかいたかもしんないし早く思い出してやれば?」


「え!? いないよ、そんなの! あっ! 私の勝手な想像だけど」



あたふたと取り繕って何をそんなに否定してるんだ? 別にいたって不思議じゃないと思うけど。



「恋は可愛いからいても不思議じゃないけどな」


「外見だけだよ……こんな面倒な私なんて最初だけでポイだよ、でも春季君は……」


「うん?」


「ううん! 春季君は物好きだねって」



その後恋は近くに居るのに俺に電話掛けてきたりした、無駄に金はかかる事だけはやめろよ? と思ったが凄く喜んでる恋を見てまぁいいかと思ってしまった。




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