私っていらない?
いろいろ足りない物だらけでドタバタしていたが恋が来てから大体恋がいる生活のペースが掴め始めていた。
恋が来たのが月曜日、そして今日が金曜日の学校終わり帰り道を歩いていると恋がまたヒョコリと電柱から姿を現した。
あの時だけだったらまだしも昨日も今日もだ。 側から見たらストーカーか? なんて言われそうだぞ……
恋になんで来るの? と聞いたが1人でいるといろいろ考えてソワソワして居ても立ってもいられないそうだ。 俺も周りに誰か知り合いいないか気にしてしまう。
「おかえりなさい!春季君」
恋が待ってましたと言わんばかりに笑顔で俺に言う。 まぁ普通だったらこんな可愛い子がこんな所で自分を待っていたらさぞ嬉しいだろうな。 恋が特殊な子でなければ。
だけど油断していると恋の可愛さにコロッとやられてしまうので気を引き締める。 まぁいつも間違いを犯さないように気を引き締めてるが……
「まだ家にも着いてないけどな」
「私は春季君が居れば帰った気になれるよ? お弁当美味しかった?」
「ああ、莉華も恋の弁当褒めてたぞ」
「えへへ…… 照れちゃうな」
他愛もない会話をしながら帰っていると後ろから声を掛けられた。
「あー! 高坂じゃん。で、そっちが噂の高坂の知り合いの子? 一緒に帰ってるの?」
俺に声を掛けてきたのは澤村 彩奈だった。 同じクラスメイトの女の子だ。 コイツここ通ったっけ?
「お前帰り道ここだっけ?」
「ううん、友達の家に行くとこ」
そうか…… それはタイミングが悪かったなと俺は思った。 なんて言おうかなと考えていると……
「ああ、高坂の知り合いっていうか莉華の友達だったもんね? ふぅん、凄い可愛いじゃん、ビックリ! あたし澤村 彩奈だよ、高坂と同じクラスメイトなの」
「あ、こんにちは、恋です」
「よろしくね! んー? 何恋ちゃん?」
「えっと、あっ、く、楠木恋です」
寸詰まりになりながらも恋は答えた。 即興で考えたのだろうな。 恋は少し警戒しながら俺と澤村をチラチラと見ていた。
「あははッ、なんか思ったより仲良さそうだね? 本当にただの知り合い? 恋ちゃん家どこ?」
「あ、あっちの方です」
恋が明後日の方向を指差して答える。澤村がふぅんといった感じにその方向を見る。
「あ、そうだ。 高坂、来週言おうと思ってたんだけどさ、あんたの事気になってる子いてさ、連絡先知りたいなって言ってたんだよ、それであたしが後で聞いてあげるって言っちゃったから丁度いいから今教えてくんない?」
「え? 随分急だな、ていうか本当かよそれ? 」
「前から好きだったみたいだけど恥ずかしがり屋でさ、それで高坂になんか凄く可愛い女の子の知り合いいるってなったでしょ? それで焦ったんじゃない?」
マジかよ…… 俺にもそんな事ってあるんだな、 俺の事が好きだって? ふ、ふぅん。 生まれて初めての事なので嬉しくないわけがない。 だけど俺の制服の端をクイクイと引っ張られ正気に戻る。
恋だった、凄く複雑そうな顔をして俺に視線を送っていた。
「てことでさ、連絡先教えて?」
恋の視線は気になるが断る理由もないし断ってもなんで? となるのでとりあえず澤村と連絡先を交換した。 そして澤村は後でその子から連絡来るからねと言って去って行った。
そして家に着くまで俺と恋は無言だった。 そして恋はこちらをいつも以上にチラチラと見てくる。 俺が携帯を取り出したりすると尚更だ。 そして……
「さっきの……」
「うん?」
「春季君の事…… 好きだって子の事、春季君はどう思ってるの?」
なんだか恋の表情がだんだんと曇ってきている気がする……
「いや、俺もよくわかんねぇんだよ。 こんな事初めてだし、俺でもそんな風に思われる事あるんだなって」
「…… さっき………… 澤村さんからその子の事聞いてた時春季君嬉しそうな顔してた……」
「そりゃあ嬉しくないって言ったら嘘になるけど。なんせ初めての事だしさ」
「もし…… もし春季君がその子と付き合ったら私って邪魔!? 私はいらない存在!? 居なくなった方がいい? そうだよね、もともと私って迷惑しか掛けてないもん、勝手に転がり込んできた図々しい女だもんね!!」
「お、おい、恋?」
恋はそう言って玄関から出て行こうとしたが恋の腕を掴んでなんとか止めれた。あれ? なんで俺こんな事になってんだ? 考えようとするが恋がなんだかパニックになっているので考えられない。
「離して! 離してよ!」
するとポンッと携帯から間抜けな音がしたので振り向くとその隙に恋は俺の手を振り払い出て行った。
あー、なんでこんな事になるんだよ? クソ! と思いながら携帯を見ると涼からだった。 お前のお陰で恋がどっか行っちまったよ。 探しに行くか…… もう暗くなるし。
俺は家に鍵を掛け恋を探す事にした。 あいつまた着の身着たままでどこ行くつもりだよ?




