恋side ごめんなさい春季君
いつものように私は部屋に1人で居られず今日も春季君を迎えに行く事にした。
春季君になんで来るの? なんて言われるとやっぱり来たら迷惑なのかな?って思っちゃうけど落ち着かないし……
私はまた電柱の陰で春季君を待っていると春季君が見えたので電柱の陰から出た。 春季君を見るとやっぱりかという顔をしている。 また来てるよみたいな顔されると少し傷付くなぁ。
でもいっか、春季君の顔見ると私の居場所みたいな感じで安心するし。 私って面倒な部類の女かもしれない。かもしれないじゃないや、間違いなくそのカテゴリーだ。
春季君の前で泣いたりしたり何より嘘をついてるんだもん。 こんな自分って本当に嫌になるなぁ……
そんな帰り道春季君を呼ぶ声が聞こえたので春季君と私が振り返ると女の子だった。 なんなんだろう? って思うとその子は私にも話し掛けてきたので結構言いにくい事をグイグイと聞かれた。
何恋ちゃん? なんて聞かれた時はどうしよう、なんて苗字って焦ってついつい本当の苗字言っちゃうし家なんか適当にあっちの方ですなんて答えちゃった。
でもそんな事はそれから聞く事の前ではどうでもよくなるような事だった。 春季君の事を好きな人が居て春季君と付き合おうとしている。
そして春季君を覗くとなんだか嬉しそう。 その時私はなんか嫌だなって思った。嘘をついて迷惑を掛けてる私が何を言ってるの? って思ったけどそれでも嫌だって思った……
だから嬉しそうにしている春季君の制服の後ろを引っ張って私に意識を向けさせた。 だけど春季君結局連絡先交換しちゃった。
そしてその後の私は物凄く落ち込んでいた。 付き合ってる人なんかいたら私なんか泊めないよ。 そう前に春季君は言っていた。
私は怖くなった。 私捨てられるの? せっかく春季君と一緒にこのまま居られると思ったのに…… これって嘘ついた天罰なのかな?
そもそも私がこんな風に思っていいわけない。 だって春季君の事体よく私は利用してるんだもん。 だって春季君は何も悪くない。 春季君の事を好きになった子がいたってどうしてその事で私に何か言う権利ある? 嫌だなって思う権利もない。
仮に春季君に誰か好きな人が出来たからって私がとやかく言う事じゃない。 私の事で春季君を縛っちゃいけないんだ。春季君は私のせいで不幸になるもん。
そんな風に思ってはいるんだけど…… 思っているけど私の口からは勝手な事ばかり言っていた。
あろう事か春季君にそれをぶつけるなんて…… そしてそんな事言った私を止めてくれた春季君の手を振り払うなんて。
バカだ私は。 後から後悔してる…… ああ、だから後悔かなんて意味のない事を考えても全然気が紛れない。
気付くとまた私は春季君を初めて見た公園の遊具の中に居た。 なんでまたここに来たんだろう? 私の避難場所なのかなこの遊具……
心臓の鼓動が速くなる、凄く落ち着かない。 春季君と居た時は凄く安心して落ち着いていられた。お父さんから強引に逃げてきた時だってこんな落ち着かない気分にはならなかった。
ダメ、謝ろう春季君に。 私は重い足取りで遊具から出て春季君の家に戻る。はぁ、どう言って謝ろう? と考えていると鍵が掛かっていた。
嘘? なんで? 私春季君に嫌われちゃった? インターホンを鳴らしても出てこない。 私の目からは涙が出ていた。 嫌われちゃった? 今更だよ、寧ろなんで今まで嫌われなかったか不思議なくらい。
「ごめんなさい、春季君ごめんなさい! 私の事許して……」
春季君の家の玄関の前でそう言ったけどやっぱり出てきてくれない。完全に嫌われたんだ、愛想を尽かしたんだ。 自分勝手な事ばかりの私だもんね。
私はまた重い足取りで公園に戻った。 春季君と出会う前に戻っちゃった、何も持たず服だけ着てひとりぼっち……
「うぅ…… 寂しいよ、凄く寂しいよ」
助けて欲しい……
また誰でもいいから優しくしてくれる人に縋り付くの? ズルい女だね、だから結局最後にお前は捨てられるんだ。お前なんか誰も愛してくれない、必要とさえしてくれないよ。
邪魔者のお前を追い出せて春季君は清々してるよ。 戻って来ないように鍵まで掛けてたんだよ? よっぽど邪魔だったんだね。 嘘つきで自分中心のお前にはこういう仕打ちがお似合いだ。
私の中で私の中の私に責められる。 いいんだ、罰なんだこれは。 私はこんなに苦しい思いをする為に生まれてきたのかな? お父さんから逃げるべきじゃなかった?
あの時の私も今の私もそんな選択は出来ないだろう。 だって私弱虫だし意気地なしだし甘えん坊なんだ。
何が春季君に好きになってもらおうだ、こんな汚い私の事を好きになってもらえるわけない。 だって好きになってもらったら捨てられないって考えでそう思ってたもん。
春季君の事が好きな子にとって私は悪い虫だ。 私みたいなのと付き合うと不幸になるって言うんだよね。こんなネガティヴだし。
でも……でも許して欲しいよ春季君
公園の遊具の中で丸くなって泣いているとピカッと明るい光が差す。 警察かな? 補導されてお父さんの所へ戻されると思った私は更に身を丸め体を包む腕に力を込めた。
すると肩を優しく叩かれ今1番聞きたい人の声が聞こえた。
「恋……」
私をそう呼んでくれる人は春季君だ、そう思ってゆっくりと顔を上げると汗をかいて心配そうに私を見る春季君の顔があった。
ドキンとした。 そして春季君の顔を見た瞬間更に涙が溢れてきた。 こんな私を探しに来てくれたの? 嫌われたっておかしくないのに。 嫌われたって思ってた。 捨てられたって思ってた。 だけど春季君は私の事探しに来てくれた。
私は思わず春季君に抱きついていた。
「ごめんなさい! ごめんなさい春季君! うわぁぁぁん」
「まったく随分探したぞ? 危ないじゃないかこんな所に1人なんて」
そんな優しい彼の言葉が嬉しくて嬉しくて私はもっと泣いてしまった。 本当にごめんなさい春季君……




