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弟と間違えて召喚されたので、異世界で小料理屋をはじめます~小料理屋《宵日和》~  作者: HaKo
第7章 異世界でも穏やかには暮らせないようです
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第96話 姉を迎えに行くことにしました【湊Side】


姉が、この世界にいる。


そう聞かされても、すぐにすべてを信じることはできなかった。


「……証拠は?」


湊が尋ねても、セドリックは表情を変えない。


「当然の疑問でしょう」


「姉の名前を知ってるだけじゃ信じられません。なんでここにいるんですか。いつから?」


「日和様が召喚されたのは、あなたより少し前のことです。本来、我々がお呼びするはずだったのはあなたでした」


「……俺?」


セドリックによれば、召喚術は別の世界から必要な資質を持つ者を探し出す術らしい。そして術式が示したのが、穂積湊だった。


けれど、実際に現れたのは日和。


時期も、姉が突然いなくなった頃と重なる。


「なんで姉が俺の代わりに?」


「それは現在も調査中です。ただ、血縁が術式に影響した可能性があると聞いております」


湊は拳を握った。


自分を呼ぶための術で、姉が消えた。


「……姉は、今どこにいるんですか」


「北部です」


「なら会わせてください。場所が分かってるなら、今すぐ」


しかし、セドリックはすぐには答えなかった。


「それが、簡単ではないのです」


「どういう意味ですか」


「日和様は召喚されたものの、我々が必要としていた力を持っておられませんでした」


「それで?」


「本来であれば、我々の術に巻き込んでしまった方です。当然、国の責任で保護するつもりでした」


元の世界へ戻る方法が見つかるまで、安全な場所を用意し、生活も国が保障する予定だった。


そう説明したあと、セドリックはわずかに間を置いた。


「ですが、エリアス・フォン・レーヴェンという男が介入しました」


「誰ですか」


「北部を治める侯爵です。日和様を自ら引き取ると主張し、そのまま北部へ連れていきました」


湊の眉が寄る。


「ちょっと待ってください。姉は納得して行ったんですか?」


「突然この世界へ召喚された直後です。ひどく混乱されていたでしょう」


「そうじゃなくて」


湊の声が低くなる。


「姉本人が、その人についていきたいって言ったんですか」


セドリックはすぐには答えなかった。


「少なくとも、我々には日和様と十分に話し合う時間がありませんでした。その後も接触を試みましたが、彼の領内へ入ってからは自由に会うことが難しくなっています」


「……それ、捕まってるのと何が違うんですか」


「断言はできません」


セドリックは静かに答える。


「我々も、現在の日和様がどのような状況に置かれているのか、正確には把握できていないのです」


湊は黙り込んだ。


ようやく見つかった姉が、知らない男の領地にいる。


しかも自由に会うことさえできないという。


「会わせてください」


「湊様」


「本人に聞けば分かります。姉が自分でそこにいたいって言うなら、俺は無理に連れて帰ったりしません」


ただ、直接話したい。


生きている顔を見て、本当に無事なのか確かめたい。


「今すぐ姉のところへ行きたいです」


「お気持ちは分かります。しかし現在、それも難しい」


「なんでですか」


「西部を中心に、魔物の活動が急激に活発化しています」


「……魔物?」


「人を襲う異形の生物です。すでに被害が出ており、多くの兵が討伐へ向かっています」


「それが俺と何の関係があるんですか」


セドリックは湊を見た。


「あなたが召喚された理由です」


意味を理解して、湊の表情が変わる。


「……俺に、その魔物を倒せってことですか」


「強制するつもりはありません。ただ、あなたには魔物に対抗し得る高い資質がある」


「勝手に呼んでおいて、強制じゃないって言われても」


「ごもっともです」


セドリックは否定しなかった。


出来すぎている。


突然知らない世界へ呼ばれ、姉がいると教えられた。その姉には今すぐ会えないと言われ、自分には魔物を倒せる力があるという。


全部を信じるつもりはない。


それでも、姉が生きているという話だけは確かめたい。


「……魔物をどうにかしたら」


湊はセドリックを見る。


「姉に会わせてもらえますか」


「事態が収束すれば、我々も北部へ動くことができます。日和様との再会のため、可能な限りの手を尽くすとお約束しましょう」


曖昧な答えだった。


けれど今の湊には、他に姉へ辿り着く方法がない。


「分かりました」


「湊様」


「やります」


セドリックがわずかに目を細める。


「魔物でも何でも倒します。だから、そのあと姉のところへ連れていってください」


今までずっと、姉に助けられる側だった。


困ったときは先に気づいてくれて、何かあれば自分より湊を優先する。


姉ちゃんは大丈夫。


いつの間にか、そう思い込んでいた。


でも、もう違う。


今度は自分が行く。


「待ってて、姉ちゃん」


湊は小さく呟いた。


「今度は俺が助けるから」


若干不穏な匂いが…


次は17:00となりますφ(・ω・`)

(きゅんを書きたい…キュン…)

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