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弟と間違えて召喚されたので、異世界で小料理屋をはじめます~小料理屋《宵日和》~  作者: HaKo
第4章 異世界でもおいしいものは人を呼びます
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第48話 お隣さんと仕入れ屋さん


「……そちらは?」


ルカに聞かれ、日和は隣を見る。


「あ、紹介しますね。エリオさんです。家の隣に住んでるんです」


「隣?」


ルカの表情が、ほんの少し変わった。


「少し前に引っ越してきたんです」


「へえ……隣なんだ」


ルカの視線がエリオへ向く。


「ルカ・フェルナーです。日和の店に食材を卸してます」


「エリオです。よろしくお願いします」


「こちらこそ」


二人は笑顔で挨拶を交わす。


けれど、ルカはどこか探るようにエリオを見ていた。


「今、一緒に帰ってたんですか?」


「はい。家が同じ方向なので」


「同じ方向というか、隣ですからね」


エリオが付け加える。


「……そうでしたね」


ルカが笑う。


日和は二人を交互に見た。


初対面だから、少し固いのだろうか。


「あ、そうだ。日和」


「はい?」


「今日、珍しい調味料が入ったんだけど、興味ある?」


「調味料?」


日和が食いついた。


「南の方から来たやつ。俺も今日初めて見た」


「どんな味ですか?」


「それが説明しにくいんだよな。少し塩気があって、香りも強い」


「発酵してる?」


「たぶん」


「見たいです」


即答だった。


ルカが笑う。


「やっぱりそう言うと思った。荷車に積んでるから、見に来る?」


「行きます」


日和が一歩踏み出す。


その瞬間、手首を掴まれた。


「え?」


振り返る。


エリオだった。


日和の手首を掴んだまま、エリオ自身も一瞬動きを止めている。


「エリオさん?」


「……すみません」


すぐに手は離れた。


「もう遅いので」


「でも、すぐそこですよね?」


日和がルカを見る。


「うん。少し行ったところに荷車を置いてる」


「じゃあ――」


「日和さん」


エリオに呼ばれ、日和は振り返る。


「調味料は明日でも見られるのでは?」


「明日もある?」


「取り置きしとくよ」


ルカが答える。


「じゃあ明日でもいいか」


日和はあっさり納得した。


エリオがわずかに息を吐く。


その様子を、ルカはじっと見ていた。


「ずいぶん心配してくれる隣人なんだな」


「そうなんですよ」


日和が先に答えた。


「たぶん夜だから心配してくれてるんですよね?」


「……ええ」


少し遅れて、エリオが頷く。


「そういうことです」


「へえ」


ルカの視線が、エリオへ向く。


エリオも静かに見返す。


「じゃあ、日和」


先に視線を外したのはルカだった。


「調味料、明日店に持っていくよ」


「お願いします」


「気に入ったら仕入れに入れよう」


「楽しみにしてます」


ルカは笑って手を上げた。


「じゃあ、おやすみ」


「おやすみなさい、ルカ」


ルカが去っていく。


日和はその背中を見送ってから、エリオを見る。


「楽しみですね、調味料」


「……そうですね」


「どんな味だろう」


すでに頭の中は明日の調味料でいっぱいだった。


「日和さん」


「はい?」


「帰りましょう」


「あ、そうでした」


エリオが歩き出す。


日和もその隣に並んだ。


「エリオさんは、発酵した調味料って食べたことあります?」


「さあ。どうでしょう」


「もし使えそうだったら、何か作りますね」


「それは楽しみです」


二人は並んで夜道を歩いていく。


少し離れたところで、ルカが一度だけ振り返った。


並んで歩く二人の背中を見て、わずかに目を細める。


隣人。


日和はそう言っていた。


「……隣人、ね」


ルカは小さく呟いて、再び歩き出した。


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