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弟と間違えて召喚されたので、異世界で小料理屋をはじめます~小料理屋《宵日和》~  作者: HaKo
第4章 異世界でもおいしいものは人を呼びます
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第44話 今日はお休みだそうです


宵日和を開いて、3週間が経った。


最初の一週間が嘘のように、最近では客が一人も来ない日はなくなった。


ダリオが紹介してくれた客が別の客を連れてきたり、通りがかりに店を覗いていた人が入ってきたり。


まだ満席になるほどではない。


それでも昼時にはいくつかの席が埋まり、日和が一人で切り盛りするには、少し忙しいくらいの日も出てきた。


「いらっしゃいませ」


昼を少し過ぎた頃、扉が開く。


「こんにちは、日和様」


聞き覚えのある声に、日和は顔を上げた。


「オスカーさん?」


そこに立っていたのは、侯爵邸の執事だった。


ただし今日は、いつものきっちりとした服装ではない。落ち着いた色の上着を着ていて、ずいぶん印象が違う。


「どうしたんですか?」


「本日は休みをいただいておりまして」


「オスカーさんにも休みってあるんですね」


「もちろんございます」


少しだけ心外そうに返される。


「せっかくの休みですので、昼食をいただこうかと」


「わざわざ来てくれたんですか?」


「日和様のお料理は久しぶりですから」


オスカーは穏やかに笑った。


もちろん、それだけが理由ではない。


このところ、主人の様子が少しおかしい。


仕事に支障があるわけではなかった。書類もいつも通り処理しているし、領主としての仕事も滞りなくこなしている。


ただ、ときどき妙に考え込んでいる。


帰りが遅い日も増えた。


何かを聞こうとして、結局何も言わないこともある。


そして先日、フェルナー商会の名前が出たときには、ほんのわずかに眉間の皺が深くなった。


思い当たることがあるとすれば――。


「オスカーさん?」


「はい」


「何食べます?」


「お任せしても?」


「もちろんです」


日和は嬉しそうに厨房へ向かった。


オスカーは店内を見回す。


以前来たときとは違い、すっかり料理屋らしくなっている。


壁には品書きがあり、使われた器が重ねられている。少し前まで客が座っていたらしい席もあった。


「お店は順調そうですね」


「おかげさまで。最近は少し忙しい日もあるんですよ」


厨房から明るい声が返ってくる。


「それは何よりです」


「ルカさんにも仕入れで色々よくしてもらってますし」


オスカーの眉が、わずかに上がった。


「ルカさん?」


「ルカ・フェルナーさんです」


「……なるほど」


「知ってます?」


「ええ。フェルナー商会は、この辺りでは大きな商会ですから」


「やっぱり有名なんですね」


日和は何でもないことのように答える。


オスカーは少し考えた。


「ずいぶん親しくなられたのですね」


「そうですか?」


「お名前で呼んでいらっしゃるので」


「ああ。そういえば、最近そうなりました」


「なるほど」


オスカーは静かに頷いた。


少なくとも、一つは分かった気がする。


「どうかしました?」


「いいえ、何も」


オスカーはいつもの穏やかな笑みを浮かべる。


今日は休みだ。


せっかく客として来たのだから、まずは久しぶりの日和の料理を楽しもう。


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