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紡宵のエイカシア(ぼうしょうのエイカシア)  作者: 琴欐


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5/10

影を落とした色づき


 道端にポツンと、一輪の花が咲いていた。



 「物珍しい花だな……」


 青々とした茂みに加わるその一輪の花は、花だけでなく、茎や葉までが灰色で、一目で異質さを理解できるが、同時に、目を惹く存在でもあった。



 花は風が吹いても靡かず、陽の光に照り付けられても、影を落としたままでいる。


 ルクノウは図らずも、その花にそっと触れる。


 花は、そこにあるのに、ここにはないようで、触れることはできても、まるですり抜けてしまいそうな感触だった。




 ちょうどそこに通りかかった男性に、ルクノウは一つ尋ねる。


「あの、すいません。この花のこと何かご存知ありませんか?」


「ん? 花? あー、それは“終末花(しゅうまつか)”だな。ここも終わりが近いんだろう」


(終末花……初めて聞く名前だけど、()()()のカノン村の森の木々と少し似ているような)


「この辺りでは稀に見かけるんだが……兄ちゃんはひょっとすると旅人かい?」


 ルクノウの身なりを一瞥(いちべつ)した男性は、理解したように問う。


「はい。この辺りに来たのは初めてでして」


「そうかいそうかい。終末花は名前こそアレだが、歴とした縁起物だからな。きっといいことがあるさ。ま、俺と出会ったことで使い果たしちまったかもしれないが」


「それは勿体無いことをしましたね」


「お、言うねえ」


 二人はしばし談笑にふける。



「でも、寂しいものですね。終末花」


「なに、始まりがあれば終わりがあるものさ。代わりに俺たちに恵んでくれるありがたい存在なんだよ」


「そういうものですかね」


「そういうものさ。じゃ、気をつけてな」


「はい、ありがとうございました」


 二人は背を向けて歩き出した。


 世界の色づきもまた、綻び、紡いでいくのである。

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