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歩き続ける者達  作者: C・トベルト
第2章 湖の街で
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第15話 湖の街は今日も栄える。


『湖の底にある魔力を手に入れるのを諦めろだと?

ふざけているのか?』


リーダー格の魔物…頭に角が生えた筋肉隆々の青年は、ダンクを睨んだ。ダンクもまた青年を睨み返す。


『そうだ、あの湖の洞窟の底にある強力な魔力の源…それを手に入れれば、確かに貴様等低級魔物でも安心して暮らせるだけの力を手に入れられるな』


ダンクは冷静な口調で魔物の考えを当てて見せる。

青年は拳を震わせながらダンクの推理に対して頷いた。


『そうだ、我々低級魔物が安全に暮らすにはあの湖の洞窟の底にある魔力の源は必要なのだ!

だが湖には聖なる施しが有る上にこの街には大量の人間が居る…弱い我等は人間に殺されてしまう!

だから』


それからの話はだいたいダンクの想像通りだった。

彼等は人間によって住処を奪われ、新しい故郷として湖の洞窟の底にある大きな魔力が存在するこの湖に来たのだ。

洞窟の底にある魔力を全て頂けば、自分が弱くとも人間から仲間を守る事ができる。

強い魔物達や人間から怯える生活をしなくて済む…そこまで話した所で、ダンクはこう言った。


『下らないな。

全然ダメだ』

『…何だと!?』

『それじゃ結局人間に殺されるだけだぜ?

良いかよく聞け、これから俺が話す通りにすればお前達は誰一人死なずに済むし、誰も住処を奪われずに済む…いいか、まずは』




〜朝方・宿屋『ボーンヘッド』食堂〜


宿屋の息子であるピリオの朝は早い。顔を洗い髪型を整えローブを着て部屋を出て食堂に向かうが父の奇声は聞こえない。

それだけでもピリオにとっては旅に出た甲斐があったと言うものだ。


「昨日は朝から1日中走らされたり酷い目にばかり合ったし、足は痛いけど…頑張るぞ!」


そう自分に言い聞かせながら食堂に入ると、もうダンクが食堂でご飯を食べていた。

ダンクが食べている机の隣には、皿の塔が出来ている。


「なにこの量!?幾ら食べたのダンク!」

「お、ピリオおはよ。

何かお腹がすいちゃってしょうがなくてさ」

「だからってこれは無いよ!?

10段以上あるよ!?」

「親父、お代わりー」

「何事も無いよーにお代わりするな!」

「フフフ…素晴らしい食べッぷりネ、アナタ。

俄然頑張っちゃうヨ!」

「まだまだ俺の腹は膨れんぞ!

もっとだ…もっとお代わりを!」 「ハラショー!ブラボー!ビューティフォー!」


ガツガツと食べるダンクに、ジャンじゃん作る店主スカル。

二人をしばらく見比べた後、ピリオは突っ込みをするのを諦めた。


それからダンクは「図書館に行く」と行って暫くの間図書館に引き籠った。

ピリオは暫くの間筋肉痛で動けず結果として数日アルデガンで滞在する事になる。


ダンクは図書館でアルデガンの詳しい歴史を知り一時期は「俺ここで暮らす!」と言っていたが、この近くの街、ノダリアで大食い大会がやっている事を知ると「さあ行こう世界が俺を待っている!」と包帯でも分かる程楽しそうな表情をしていた。

ピリオはもう少し湖の事を深く知りたかったのだが筋肉痛が治るまで外に出られず、結局最後まで湖を見る事は出来なかった。


「始めての街だから色々見たかったな」

「また来るさ、この街には面白い歴史がわんさかあるんだからな。

さあ早く行こうぜ、大食い大会が俺を待っている!」


そしてダンクとピリオがアルデガンの街を去ったのと同時期、ある一団が街の外れで農業を始めた。

はじめは失敗が多く大変な道のりだったが、湖の水を直接引いて作られた野菜や果物はとても美味しく、アルデガンの新しい名物の一つとなった。

また、同時期に漁業も発展し湖の街アルデガンは更に発展していく事になる。

今日もリーダー格の青年が土を耕しながらあの日の事を思い返している。




ダンク『いいかお前達、お前達はこれから人間のふりをして街で農業や漁業をして暮らすんだ。

湖から直接引いて水と土で育てた野菜や果物、魚には洞窟の底から漏れた魔力が含まれている。

それを毎日食べれば低級魔物でありながら強力な力を得られる。

今回のように人間と戦う羽目になっても負けないだろう。

同時にお前達は人間に認められた状態で住処を得る事になる。

そうなれば、人間も魔物も被害0のまま平和に生活できるわけだ』

『だが我等には変身魔法なんて高等な術を使える者はいない。

人間のフリなんて』

『それならこのダンクに任せな、俺がありったけの魔力あげるし、変身魔法のやり方も教えてやる』

『…いいのか?』

『良いんだ、なぜって俺には住処なんて何処にもないからな』


ダンクとの会話を思い出した青年は、今も何処かを歩き続ける旅人に一言呟く。


『・・・永遠の旅人よ。

 いずれお前も、良き居場所が見つかると良いな』


その言葉は誰の耳にも届かず、風と共に消えていく。

 青年は仲間と共に、街の中で暮らしていく。

己の居場所を確かめながら。踏みしめながら。


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