第12話 湖の街 アルデガン
およそ百年前から湖の近くに滅んだ国から逃げた人々が移住し始め、発展した街。
歴史が浅い為か新しい為か新しい建物が多く、また湖を観光名所にしている為に道は綺麗に整備され経済、政治も発達。
今では湖を中心に沢山の建物が連なる、地方都市にまで成長しそうな街だ。
ピリオは宿屋の食料を買うために『3日もかけて』この街を訪れる事があった。
それが今、朝宿屋から出発して夕方にはアルデガンに到着している…。
少しずつ沈む夕陽を見ながら、ピリオは一言呟いた。
「…僕、本当は弾丸より早く走る能力を持っている…訳無いよね、ダンクさん!
さっき僕が走っている時何か魔法かけてたよね!?
僕に一体何したの!?」
「はははっダイジョブダイジョブー。
ナーンニモシンパイイラナイアルヨー」
「何その怪しいカタコト言葉!?」
「ま、まあ明日足が筋肉痛になるだけだから心配いらないアルヨー」
ダンクは包帯でも分かる位ニヤニヤ笑いながら話す。どうやらアルヨーという言葉が気に入ったようだ。
対してピリオは苛々しながらダンクを睨み付けていた。
「3日かける分を1日ですませた時点で絶対危ないよ!
うわー明日どうしよー!」
「ダイジョブダイジョブ、また魔法を使えばすぐ走れるようになるアルヨー」
「魔法濫用、ダメ、絶対!
…っと、早く宿屋探さないと!
ダンク、急ごう!」
「また魔法使うか?」
「いらない!さっさと走る!」
そう言いながらピリオは街の中を走り出す。
綺麗に整備された道は走りやすく、それが更にピリオの足を動かした。
それにつられてダンクも走るが、一瞬チラリと湖の方を見たが、建物と林に遮られ湖は見えない。
ダンクは真面目な顔で湖を睨み付けたまま一言呟いた。
「…アルヨーアルヨー、怪物や怨霊の匂いが一杯アルヨー…」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
宿屋『ボーンヘッド』。
不気味な名前の割りに綺麗な作りの宿屋でダンクとピリオは夕食を食べていた。
ピリオは小麦粉を麺にして作った『スパゲッティ』という料理、ダンクは現地の魚を焼いて作った魚の生焼き。
二人は美味しそうに食べながら、宿屋の店主スカルと話をしていた。
「スカルさん、この麺美味しいです。
今日は泊めてくれてありがとうです」
「フフフ、女の子から褒められると嬉しいネ。
精一杯作った甲斐があるヨ」
「あの、僕、男…」
「ダイジョブダイジョブ、君みたいな可愛い女の子が悪い奴に襲われないよう男のフリをしてるの良くアルヨ。 だからダイジョブダイジョブネ」
(ち、違うのに…)
ピリオは顔で笑って心で泣く。フォローするようにダンクが割って入る。
「何だ?この街悪い奴が多いのか?
親父、そこんとこ詳しく聞きたいんだが」
「イイヨイイヨー。君も十分怪しいけどオシエチャウ。
この街最近治安が悪くてネー、特に夜は危険なんだヨ。
昔は皆夜の綺麗な湖を見ていたノニ、いきなり襲われる事件が多くなって出られないノ。
悲しい話ヨ、ヨ・ヨ・ヨ・ヨ」
そう言いながらハンカチを取り出し、泣いたフリしながらハンカチを噛むスカルさん(男、33歳)。
ダンクはそうか、と軽く答えると食事に没頭した。
湖で取れた魚はとても大きく丸々と太っていた。
注・作中の街はMFさんが書いた小説の街を元に書いています。
また、設定もMFさんと話し合って決めました。




