担任の先生はシスコンの敵でした排除しまーす☆
逃げ場はなかったが、人生最大の窮地を救う一手は窓からやってきた。
唐突にガシャン、という音が部屋に響き渡る。
音源の方を見れば、風が吹き抜ける窓と床に散らばった破片、窓をガラス片にしたらしい石が見えた。
「こらー!相賀先輩何やってんですかー!」
「……っち、愛鷹てめぇ何窓割ってんだよ」
「正義のためには仕方ありません!それより早く千歳さんを解放してあげてください!思わず緊急通報で110番しちゃいそうです!」
……とりあえず助かったのだろうか。状況が読み込めない。相賀「先輩」?同僚なら先生と付けるものなのではないだろうか。
っていうかこの人どうやってここまで来たんだ?ここは確か3階だった気がするのだが。
「千歳さん大丈夫!?この変態になにかされてない!?」
どうやら鍵がかかってなかったらしい窓(としてはもう機能を失っているが)を乱暴に開けて、土足のまま俺が転がされているソファまで駆け寄ってくる。
「まだしてねえよ」
「まだ!?まだって何ですか!!……あっ!?ちょ、千歳さん腕縛られてるじゃん!靴脱がされてるじゃん!つか服はだけてるじゃん!もうすでに犯罪成立するじゃないですかああああ!!」
「うるっせ……」
愛鷹と呼ばれた、多分担任(相賀という名前は判明したが面倒なので担任呼びのままで)よりちょっと若い先生が、急いで腕を縛るネクタイを解く。
担任はもう諦めたのか、特に止めもせずに自分の机に仕舞われていた椅子に座っていた。
「はい、大丈夫?」
「あ、ありがとうございます……」
大丈夫といえるかどうかは微妙だが、とりあえず助かったことにほっとする。
どうやら処女(?)喪失は免れたようだ。
「ちっ、もう少しだったってのに……」
「未遂が付かなくなるとこまでってことですか!?うわー俺ほんと先輩のこと見損ないました!」
「うるせえなー。ちょっとこいつがじゃじゃ馬で言うこと聞きそうにねえから大人しくしてもらおうとしただけだろー?」
「は!?先輩、それ教師が言うことじゃないですよ!つーか千歳さんが聞けないようなこと言う方が悪いです!」
「つかこいつ深月じゃねえし」
さらっとバラされた!?
「え?……なるほど、先輩とうとう頭おかしくなりましたね?最近なにか思い詰めてるようでしたし、思い詰めすぎて爆発したんですね……。もう何も聞きませんから、一緒に保健室行きましょう」
「よしお前あとで覚えてやがれ」
まあそりゃあそういう反応になるよな……。
担任はこめかみに青筋を立てつつ、気を静めるようにふー、と溜め息を吐く。
「愛鷹、よく聞け。こいつは本当に深月じゃねえんだよ。耳貸せ」
貸せ、と言いつつぐいっと愛鷹先生の耳を引っ張り、何かを囁く。その瞬間、愛鷹先生が物凄い勢いでこっちを振り向き凝視する。
え、俺何か深月と違うところでもあっただろうか……?
考えてみるものの、今朝鏡を見た限りではほぼ深月をトレースしていたし、見た瞬間にわかることなどないはずだ。
愛鷹先生の視線にたじろぐと、愛鷹先生ははっとした顔で担任に向き直る。
「まさか、本当に千歳さん……深月さんじゃないんですか?」
「ああ。従妹と入れ替わったらしい。前に深月が言ってた従妹の名前と一致するから従妹なのは本当だろう」
うわ適当に偽名とか答えなくてよかったー!!
しかし、本当に何で俺が深月でないと判断したのだろうか。
「でも何でわざわざあんなことしてたんです?普通に犯罪ですよ?」
「ああ?そりゃ自分の恋人が別の奴になってたら焦るだろーが」
「「……は?」」
「あ、やべ」
恋人……。
「恋人ぉぉおおおお!?!?てっめ、何高校生に手ぇ出してんだよ!!あっまさか深月にも強引に迫ったんじゃねえだろうな!?!?」
「告ってきたの深月だし、卒業までは手を出さねえって約束で付き合ってるっつーの。つーかお前、女なんだからもう少し喋り方どうにかしたらどーよ」
「うるっせええ!!おま、お前……っ、み、深月に……!!」
こんな短期間で姉2人ともに彼氏がいた事実を突き付けられる弟の身にもなれよ!若干シスコン気味なことは自覚している!
びっくりするほど発表の準備に追われてますウケるー。
特に書き溜めとかもしてないんで予想外の発表順の早さに予定狂いまくりです発表怖い。
もう希望的観測で予定言うのはやめようと思いました。




