表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大好きだった彼女に浮気され、地獄に落とすまで。  作者: くまたに


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/61

第58話:龍生復活&龍生父、取り調べを受ける

 退院日、スマホが鬱陶しいほどに通知を鳴らしていた。

 サッカー部のグループチャットだ。

 まったく、俺が苦しんでいるというのに、病人も敬えないクズ野郎しかいねぇのか?

 しかし、スマホを開くと、サッカー部員に対する怒りは消え失せ、代わりに不安が込み上げてくる。


「嘘……だ、ろ…………」


 思わず、俺の口から掠れた声がこぼれ落ちた。

 グループチャットでは、『日向議員、違法薬物所持の疑い』と書かれたネットニュースの画像に加え、部員たちがその真偽について勝手に討論していた。


『日向議員って龍生の親父さんだよな?』

『違法薬物って何したの』

『そんなことより、龍生はどうなんだよ』

『知らねぇよ。最近学校にも来てないようだけど、アイツも捕まってんじゃねぇの?』

『ふざけんなよ。秋の新人戦まで、もう2ヶ月をきってんだぞ?面倒事に巻き込むんじゃねぇよ』


 彼らの間では、俺も同罪で捕まっていることになっているらしい。

 俺抜きでは一回戦も勝てないクセに、何言ってんだよ。

 平野響といい連携を取ってた飯塚零もダメだ。俺の言うことを聞かないし、プレーはそこそこだな。

 次の大会、アイツらに出番は回ってこない。

 一年生(同学年)のヤツらも、先輩も、全員俺のプレーを指をくわえて見てろよ。

 俺は未来のプロサッカー選手なんだ。

 なぜか、笑みが止まらなくなった。


 親父のネットニュースのことなど、少しも覚えていなかった。



     ◇



 学校に着くと、なぜか騒がしかった。

 ずっと休んでいた龍生が、ようやく登校してきたらしい。

 廊下にいる憎たらしい顔を睨みながら、俺は様子を伺う。

 女子たちは黄色い声を上げ、逆に男子たちは悔しそうに顔を顰めていた。

 日向議員の一件は既に風化しており、龍生を心配する声があちらこちらから聞こえてくる。


「龍生くん、おかえり……」

「よかった……。龍生くん、捕まっちゃったと思ってた……」

「そんなわけねぇよ。ちょっと間入院してただけだよ」

「入院!? それは……大丈夫なの?」

「平気平気。すぐに処置をして貰えたから、なんとか後遺症も残らなかった」


 その声に、安堵するため息が聞こえる。


「チッ──」


 舌打ちが、俺にだけ聞こえた。

 サッカー部の……先輩? 俺が中学の頃に、同じチームだったから、辛うじて覚えている。

 結構強い選手だったけど、今では龍生の方が強いと、風の噂で聞いたことがある。

 今までは龍生の味方ばかりに意識が向いて、絶望的な気持ちになっていたが、視野を広げてみると、案外そうでもない人もいるらしい。


(これは、使える)


 龍生に復讐する上で、どうしても俺と妃菜だけではできないことがある。

 だが、彼らを使えば、最高のシナリオだって書けるかもしれない。



     ◇



「だからやっていないッ!」


 机を叩き、俺の怒鳴り声が取調室に響いた。


「まあまあ落ち着いて。カツ丼あげるからさ、罪を認めなよ。今認めたら、罪を軽くしてあげるから、さ?」

「だから俺は──」

「でも、ねぇ……? 日向議員、キミの鞄からは麻薬が見つかった。そして、書斎には市場には出回っていない睡眠薬が置いてあった──」

「全て、俺に恨みを持った誰かが、貶めようとしたに違いない! お前ら警察は、真犯人を見つけることもまともに出来ないのかッ!」


 このジジィ……

 どうしても、俺を犯人に仕立てあげたいらしい。

 でも、お前の人生は終わりだ。

 法律で、不当な誘導は禁じられている。取り調べが終わったら、すぐに弁護士に訴えてやる。


「困ったねぇ……」

「だから俺は──」

「じゃあ。裏金の話は、どう言い訳をするつもりだ?」


 突然ジジィの声色が変わり、思わず固唾を飲んだ。

 なんだよ。なんなんだよ。

 たしかに、裏金の件については心当たりがあるが、どうしてそれもバレてんだよ。

 証拠は一つも残してないはず。


「う、裏金……? ははっ、冗談やめてくださいよ」

「瞬きの回数が増えた。どうやら、薬物の件は白だが、こっちの件については、真っ黒のようだ」

「ち、違っ──俺は何も──!」

「取引には、いつも暴力団を間に挟んでいたようだね」

「…………は」


 それ以上、言葉が出なかった。


「暴力団も色々やらかしてるから、キミと一緒に捕まえられて、一石二鳥だよ」


 俺は、目の前で冷たく笑うジジィから、目が離せなくなってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ