支度
「まず俺たちの存在を世界に伝えないといけない。そこでだ。
2人でもできる話題性のある行動をする」
広場のソファーでゴロゴロしながら会議をする。
と言ってもゴロゴロしているのは僕だけだ。
「っつーと?」
「青森にある巨大倉庫から物資を奪って地下街に物資を撒き散らす」
ホロで地図を出して言う。
確かにただの倉庫なら能力者もいないだろう。
「あ、そこ前に総理代理みたいな感じで行ったことあるかも。
結構最近だから内装まあまあ覚えてるよ」
そう言ってメモ帳を開き、指先で倉庫の内装を書いていく。
案外覚えてるもんだな。
「じゃこれをもとに侵入ルートを考えよう」
しばらく話し合い、最終ルートが決定した。
そして実行は明日の夜。ここを出発するのは昼ごろだ。
「今の服じゃすぐ俺たちだってバレるから着替えたほうがいい。あとこれも」
そう言って服1式と棒を渡してきた。
「剣?」
見た感じ長いのでそうかなと思う。
「いや、言うなら弓矢的な感じだな。
この取手を右手で持って、残りの部分を左手で挟み込んで先っぽまできたら離すんだ」
手が離れると先から矢っぽいものが出てきて、的に刺さった。数秒経つと消えた。
「なるほど、ありがとう」
そう言って服とその武器を受け取り、部屋に戻った。
あとで練習しておこう。
服の色は黒と緑で、上はダボダボのジャケット、下はぴったりのズボンだ。
ジャケットのフードの裏には緑色のビニールが付いていて、それを引っ張ると目を隠せるみたいだ。
そのビニールには僕のAIも搭載されていた。いつの間に。
それにしてもシムって服なんかも作れたのか。
その器用さが羨ましい。
「まだ起きてたのか」
広場で武器の練習をしていたらシムが声をかけてきた。
「シムこそ」
そう言って武器を下ろす。
「今ニュースでお前のことやってるよ。4時間の番組の1時間半はお前のこと。
俺が攫ったってことになってるらしくてな。とんだ飛ばっちりだよ」
大々的に報じられてたのか。あいつは秘密主義のはずだったが。
「僕を取り戻したいってことなんだろうね。
弟の方がよっぽど総理に向いてると思うけど」
僕の弟はあいつを敬愛している。なので全く馬が合わない。
「そうかもな。じゃあ俺は寝るよ。
お前もちゃんと寝とけよ。見張ってる時うたた寝して落ちてきても受け止めねぇぞ」
そう言って自分の部屋に入っていった。
「うん、おやすみ」
それを見送り、ソファーにストンと座り込んだ。




