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エクソシスト:オリジンズ  作者: Syntax


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12/15

裁判が始まる

ついに舞台は整った。


集まったのは、それぞれの理由で「強さ」を求める者たち。

流派も、経験も、背負っているものも違う。


だが、この場所では関係ない。


残るのは――

誰が「立ち続けられるか」だけだ。


これは、生き残りの試練。


最後に立っているのは、誰か。


ぜひ最後まで見届けてください。

その場所は――

歓迎するための空間ではなかった。


選別するための空間だった。


カイトが足を踏み入れた瞬間、それを理解した。言葉としてではない。もっと直接的な感覚として。空気が重い。音が逃げない。観客のざわめきも、足音も、アナウンスの声も、すべてが層のように重なり合い、空間そのものに押し付けられている。


逃げ場がない。


見られている。


それだけで十分だった。


「……これが、試合か」


カイトは足元の水のケースを軽く押しながら、小さく呟く。


「固まるなよ、水係」


背後からリョウの声。いつもの調子で、もう一本ボトルを勝手に取っていく。


「お前もチームの一員なんだからな。大事なポジションだぞ」


「もう一回言ってみろ」


振り向きもせずに返すカイト。


「聞こえてただろ?」


メイは腕を組んだまま、視線をリングに向けている。


「……完全に間違ってるわけじゃないわね」


「……はあ」


カイトは息を吐く。


「もっと行けたはずなんだけどな」


「負けたじゃん」


即答するリョウ。


「……そうだな」


わずかに、メイの口元が動いた。


笑ったわけじゃない。ただ――少しだけ緩んだ。


タカシは少し離れた場所で、静かに肩を回していた。無駄のない動き。呼吸も安定している。


カイトは横目で見る。


「……準備いいのか?」


タカシは一瞬だけ視線を向けて――


「もう終わってるよ」


と、言った。


「……は?」


「どうなるか、もう分かってる」


その言い方は、自信とは違った。


結論だった。


カイトは眉をひそめる。


「……先のことが見えるみたいに言うな」


タカシはリングへ視線を戻す。


「見えてるわけじゃない」


一拍。


「決まってるだけ」


胸の奥に、わずかな違和感が残った。


理由は分からない。


だが、消えない。



---


「ようこそォォォッ!!」



---


アナウンサーの声が空間を切り裂いた。


「本日!二十四名の選手が出場します!」


歓声が爆発する。


「そのうち八名はシード通過!」


「残る十六名でトーナメントを開始!」


「十六から八!八から四!四から二!」


「そして――」


一瞬、間が落ちる。


「最後に残るのは――ただ一人!」


観客席が揺れる。


「武器使用禁止!致命打禁止!勝敗はノックダウン、もしくは降参!」


「――開始!!」



---


空気が変わった。


一気に。



---


メイ 第一試合



---


相手は距離の支配者だった。


長い脚。軽い重心。完全なテコンドースタイル。


開始と同時に――動く。


上段回し蹴り。


空気を裂く音が、遅れて届く。


メイはわずかに後ろへ体を逃がす。


ギリギリ。


当たっていない。


だが――余裕ではない。


二撃目がすぐに来る。


中段。


今度は掠めた。


衝撃が浅く伝わる。


呼吸が一瞬乱れる。


(速い……)


止まらない。


回転。


連撃。


リズムが形成される。


後退。


一歩。


もう一歩。


(このままだと削られる)


メイは踏み込んだ。


間合いの内側へ。


蹴りを――受けない。


入り込む。


肩が相手の軸に触れる。


その瞬間、バランスが崩れる。


完全ではない。


だが十分。


脚を払う。


崩す。


落とす。


鈍い音。


「止め!」


メイは距離を取る。


呼吸は整っている。


だが、指先がわずかに震えていた。



---


リョウ 第一試合



---


「よし」


軽く首を鳴らして入る。


相手は低い。


組み技主体。


危険なのは距離ゼロ。


「始め!」


一瞬で距離が消える。


タックル。


脚を取られる。


視界が反転する。


背中が叩きつけられ、肺の空気が強制的に抜ける。


「――っ!」


重さが乗る。


逃げ場がない。


腕を取られる。


関節が嫌な方向へ引かれる。


(やば――)


肘を叩き込む。


一度。


反応なし。


二度。


呼吸が揺れる。


その瞬間を逃さない。


ねじる。


抜ける。


立つ。


「はぁ……」


今度は自分から入る。


腹へ打つ。


沈む。


もう一発。


詰める。


相手が距離を戻そうとする前に――


足払い。


落ちる。


「止め!」


「……嫌いだ、ああいうの」


肩で息をしながらぼやく。



---


⚔️ タカシ 第一試合



---


静かに立つ。


動かない。


相手が先に動く。


直線の拳。


速い。


正確。


――当たらない。


タカシはすでに外にいる。


二発目。


三発目。


全部、空を切る。


(なんだ……?)


リズムを崩す。


変則。


フェイント。


それでも――届かない。


(先に動いてる……?)


一瞬だけ、当たる。


肩。


軽い接触。


(いける――)


次の瞬間。


打たれる。


短い一撃。


呼吸が止まる。


肺が動かない。


遅れて痛みが来る。


深い。


(なんでこんなに……)


体が言うことを聞かない。


遅れる。


ずれる。


二発目。


三発目。


崩れる。


「止め!」


倒れたまま、天井を見る。


(……おかしい)



---


その様子を、師範は見ていた。


「……今のは」


小さく呟く。


「……重すぎる」



---


休憩中



---


「ねえ」


軽い声。


三人組。


メイの前に立つ。


「さっきの動き、よかったよ」


「ちょっと教えてくれない?」


距離が近い。


踏み込みすぎている。


メイは何も言わない。


「終わったあと――」


動く。


蹴り。


一点。


急所。


「――っ!?」


一人が崩れ落ちる。


メイは瞬きをする。


「あ、ごめん」


声色が変わる。


柔らかい。


「で、何?」


残りの二人は後退る。


「……なんでもない」


「そう」


背を向ける。


その手は――強く握られていた。



---


第二試合



---


メイ


組み合い。


崩れない相手。


重い。


投げ。


耐える。


二度目。


崩れる。


叩きつけられる。


息が抜ける。


動けない。


抑え込まれる。


(まだ――)


届かない。


「止め」


負け。


立つ。


戻る。


座る。


何も言わない。


指が掌に食い込む。


わずかに震える。


口を開きかけて――閉じる。



---


リョウ


速い相手。


打撃。


当たる。


視界が揺れる。


二発。


崩れる。


(ちっ……)


読む。


三発目。


止める。


中に入る。


打つ。


沈む。


足払い。


終わり。



---


タカシ


最初から速い。


相手が攻める。


すべて――外れる。


(なんで……)


一撃当たる。


確信。


次の瞬間。


深い痛み。


内側から崩れるような。


(これ……普通じゃない)


タカシが踏み込む。


終わる。


「止め!」



---


師範が目を細める。


「……技じゃないな」



---


結果



---


四人。


その中に――メイはいない。



---


ベンチ。


メイは座っている。


静かに。


手が強く握られている。


跡が残るほどに。


カイトが近づく。


「……大丈夫か?」


「大丈夫じゃない」


即答。


リョウが困ったように笑う。


「いや、惜しかったって」


「惜しいは負けよ」


沈黙。


タカシが来る。


「悪くなかったよ」


メイは見ない。


「そう?」


「今日は足りなかっただけ」


カイトの視線が変わる。


「……それ、今言うか?」


タカシは首を傾ける。


「間違ってる?」


静かすぎる。


感情が乗っていない。


「……お前、変だぞ」


カイトが言う。


タカシは笑う。


「そう?」



---




---


帰り道。


リョウが無理に話す。


「飯行くか?」


返事なし。


「じゃあ……トレーニングは――いや、それはダメか」


カイトが小さく息を吐く。


「……なんとかする」


後ろ。


タカシは歩きながら紙に何かを書いている。


「……あと一つ」


折る。


「今日で終わりだ」



---


最後



---


暗い道。


一人で歩く。


見つける。


子供。


迷っている。


タカシは笑う。


ゆっくりと。


「見つけた」


近づく。


「ねえ」


子供が顔を上げる。


「遊ばない?」


頷く。


タカシは背を向ける。


細い路地へ。


光が届かない場所。


子供はついていく。


影が重なる。


そして――


消える。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。


第12章では、試合という“表の戦い”の中に、少しずつ“違和感”が混ざり始めました。勝敗だけでは測れないもの、そして確実に何かがズレていく感覚――それが今後、物語を大きく動かしていきます。


もし今回の戦闘シーンやキャラクターの変化が少しでも印象に残ったなら、ぜひ評価やブックマークで応援していただけると嬉しいです。あなたの一つの反応が、この物語を次へ進める力になります。


また、「ここが良かった」「このシーンが好き」「ここもっと見たい」など、どんな短い感想でも大歓迎です。すべてしっかり読んで、今後の展開に活かしていきます。


そして、もし気に入っていただけたなら、ぜひお友達にもこの作品を紹介してみてください。少しずつでも、この物語が広がっていくのが何より嬉しいです。


次章からはさらに緊張感が増していきます。


――試練は、まだ始まったばかりです。


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