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最終話 空の下で
ある晴れた午後、2人は同時に空を見上げた。
エリザベスは孤児院の庭で、子供たちの笑い声に包まれながら、ふと空を見上げた。
セシリアは新設劇場の建設現場を視察した後、馬車の中から空を見上げた。
そして2人は、同じことを考えた。
『あっちの「私」は、今頃どんなことをしているんだろう…』
空は同じ青色で、雲はゆっくりと、ゆっくりと流れていく。
2人は同じ空の下にいて、交わることのない運命を生きていた。
そして、それぞれの一日が本格的に始まる。
今日も聖女になった元悪役令嬢は人を助け(ただし方法は少々風変わり)、悪役令嬢になった元聖女は王国を翻弄する(ただし目的は財政健全化)のであった。
夕暮れ時、2人は再び空を見上げた。
オレンジ色に染まる空の下、エリザベスは子供たちと一緒に笑い、セシリアは今日も一つ城を手中に収めた報告書に満足げに微笑んだ。
時折空を見上げて、もう一人の「自分」に思いを馳せるだけだ。
もしも2人が出会うことがあれば、お互いの境遇に驚き、そしてきっと、大笑いするに違いない。




