第12話 神の栄光と称するファッション革命
教会の荘厳な執務室で、老司教は書類の山を前に頭を抱えていた。
「セシリア様、今月の寄付金の使途についてですが……『聖女の衣装刷新基金』として全額使われているとありますが、これはどういうことですか?」
セシリアは真珠のイヤリングを弄りながら、涼しい顔で答えた。
「ええ、その通りよ。司教様、あなたもご存じでしょう? 外見の威厳は内面の信仰を反映するものだって。ぼろぼろの修道服で信者を導こうなんて、神への冒涜だわ」
「ですが、この『ダイヤモンド付き聖冠』の請求書は……」
「あら、あれは必須よ!」
彼女は熱心に身を乗り出した。
「太陽の光を反射させれば、暗い教会の中でも私の説教に集中できるじゃない。
それに、貧しい信者たちに『神の国にはこんなに素晴らしい宝石があるのよ』と希望を与えられるわ。これは教育的投資よ」
司教はため息をついた。
「それと、先週の慈善市で集まった資金が、あなたの新しい馬車の内装に使われたとも聞きましたが……」
「移動中の祈りも重要だわ」
セシリアはきっぱりと言い切った。
「揺れる安馬車ではちゃんと祈れない。でも、シルクのクッションと魔法で安定化された車内なら、神との対話に集中できる。これも信仰の質の向上よ」
司教は何も言えず、ただ蒼白な顔で帳簿を見つめるしかなかった。




