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638話 ランダム転移魔法なのです。

基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 そして俺たちはマリーさんの元を辞去し、屋敷の外に出た。

 屋敷の外では妖精のフローラとフローネ、そして霊木の苗木が待っていた。特にマリーさんに用事のないことから外で待機してもらっていたのだ。




 そして俺たちは厩舎に向かい、預けてあった馬車を返却してもらった。馬たちは俺たちを見て嬉しそうにいなないた。

 どうやらすっかり懐いてくれているようだ。




 そして御者席にはアツメルコが座り、俺、メグミ、ロキ、フセルコ、妖精のフローラとフローネ、霊木の苗木は馬車の中に収まった。

 これでようやくヨンバーンメの村へと向かうことが出来る。




 途中で野営や休憩を取りながら馬車は進む。

 道中は特に魔物と遭遇することもなく快調な旅となっていた。




 だが、このスピリット・クエストというゲーム世界に平和は長く続かない。

 なので突然にアクシデントは起こるのであった。




 だからだろう。森の中から突然にゴブリンの群れが現れたのだ。凶悪な表情で手に棍棒を持っている。その数はざっと20匹ほどだ。

 だが距離はまだあるので慌てて対応するほどではない。




「「「「「ギャギャギャギャ」」」」」




 叫び声がここまで聞こえてきたが脅威は感じない。それもそのはずだった。




「……ゴブリンかあ」




「ですねっ。正直、今更倒すのも面倒ですっ」




「そうね。ゴブリンを倒しても落とす銀貨は少ないし……」




 そうだった。

 ゴブリンは弱魔物なので倒しても利点が少ない。落とす銀貨も1匹当たり数枚なので、この群れを全滅させてもコスパが悪いのだ。




 そんなときだった。

 馬車の中を飛び回っている青色のリボンを身に着けている妖精のフローネが話しかけてきたのだ。




「あのお。ゴブリンたちなんですが、倒す必要がないのであれば私が対応しましょうか?」




「対応? 戦ってくれるのか?」




「はい、まあ。……戦うわけではないのですが追っ払うことができます」




 俺は女神たちと顔を見合わせた。するとみなが一斉に頷くのが見えた。




「なら、お願いできますかっ」




「そうね。お願いするわ」




「……依頼する……」




 御者をやっているアツメルコを除く、メグミとロキとフセルコが依頼する。ならば俺も同意だ。




「お願いする。奴らを追っ払ってくれ」




「わかりました。では行ってきます」




 そう告げると馬車からフローネは飛び出した。そしてゴブリンの群れに対峙する位置に到着すると両手を広げるのが見えた。




「なにをするんだろうか?」




「戦うのではなさそうですっ」




「魔法かしら?」




「……魔法だと思う……」




 俺たちはそう言い合いながらフローネを観察する。すると両手が光を放ち始め、やがてそれは霧のように徐々に広がりゴブリンたちの群れ全体を包み込むのであった。

 そして群れはやがて光の中に溶け込むように輪郭が薄くなり、見えなくなるのであった。



 やがて光は霧散した。

 すると今まで大量にいたゴブリンたちが一匹残らず姿が消えていたのであった。




「お待たせしました」




 飛翔して戻ってきたフローネがそう俺たちに告げる。




「いったいどうやってゴブリンの群れを消したんだ?」




 俺が尋ねるとフローネは得意げに胸を張るのであった。




「消したのではありません。遠くに飛ばしたのです」




 フローネの説明によると、これはフローネの得意なランダム転移魔法とのことだ。光の霧に包みこんだ対象を遠くに一斉に飛ばしてしまう魔法らしい。

 ただ、ランダムの名の通り行き先を指定することはできないとのことだった。


フローネの得意魔法なのです。(`・ω・´)∩


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。

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