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637話 魔女専用の長杖なのです。

基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いいたします。


 

「どうやら元に戻ったようね。ちゃんと男子の人がいるわ」




「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。半分は男になっているのう」




「……里長に報告と確認……」




 そうなのだ。

 俺たちはヒヒ討伐の報告を里長のマリーさんに報告しなければならないのだ。

 なので、俺たちは里に入るとマリーさんの屋敷へと向かうのであった。




「ヒヒの討伐に感謝致します。本当にありがとうございました」




 屋敷に入るとマリーさんがそう頭を下げてきた。どうやら女性化された男性が急に元に戻ったことから、俺たちがヒヒを倒して呪いを解いたことがわかったようだ。




「お礼にみなさんにお渡ししたいものがあります」




 そう言ったマリーさんは奥の棚から布で包まれた長い棒のようなものを持ってきたのだ。そして包を解くとそこには神秘的な黒色の木でできた長杖があった。




「これはなんですか?」




 俺が問うとマリーさんは重々しい表情となった。




「これは里に代々伝わる杖です。魔法が強力になる杖なのですが……。あなたがたに使えるかどうかが不明なのです」




 なんか曰く付きなのだろうか。




「どういうことでしょうかっ?」




 メグミが尋ねるとマリーさんが難しい顔になる。やはりなにかあるのだろう。




「その杖は魔女専用なのです」




「魔女専用っ? ……魔法使いでは駄目なのですかっ?」




「はい。魔女にしか使いこなせないと言い伝えられています」




「う~ん。魔女と魔法使いはなにが違うのでしょうかっ」




「わかりません。ただ聞いた話では魔法使いは魔法が使えるただの人間であるのに対して、魔女は人間とは異なる特別の存在らしいのです……」




 するとメグミが首を傾げて少し考え込んだあと、再び口を開く。




「試してみてもいいですかっ?」




「はい。構いません」




 マリーさんから許可をもらったメグミは”魔女専用長杖”を手に持つと部屋の窓を開けた。そして空に向けて長杖を掲げる。




「行きますっ。――ほいっ!」




 すると長杖に変化が起きた。

 杖の先端が光り始めたのだ。そしてその光はやがて巨大な雷光となり大空に向かって稲妻が飛び出したのだ。




 ――バリバリバリ!




 それは今までのメグミの稲妻魔法と比べても初見で違いがわかるほどの威力があった。これなら”最強ヒヒ”の弱体化前の完璧な状態でもダメージが入るかもしれないほどだったのだ。




「使えましたっ。どうやら私は村娘じゃなくて”魔女”だったようですっ」




 どうやらメグミのこのゲーム内での職業は”魔女”だったようだ。魔女は人間とは異なる特別の存在とのことだが、なんせ正体は女神なので人間とは違って当たり前なのだろう。



「驚きました。貴方様は魔女様だったのですね」




 マリーさんは相当驚いたようだったが、それは俺たちも同じこと。俺もロキもアツメルコもフセルコもメグミが杖を使えたことも、その魔法の威力にも目を丸くしたくらいだ。




「この杖は私が使ってもいいですかっ?」




「俺は構わないが、みんなはどうなんだ?」




「私はすでに秀子主催の魔物討伐競争で手に入れた、この”聖女の錫杖”があるからいらないわ。それに私は神官であって魔女じゃないもの」




「ふぉふぉふぉ。儂も神官じゃし、第一、杖は使わんしのう」




「……私も不要。杖はいらない……」




 こうしてヨンバーンメの里で入手したアイテム”魔女専用長杖”はメグミのものとなるのであった。

メグミは魔女だったのです。(`・ω・´)∩


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。

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