634話 苗木の習性なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
霊木の苗木が使った魔法は土魔法のようだ。まあ、地面の土を利用して攻撃したのだから間違いないだろう。
「追うぞ」
「わかりましたっ」
とは言ったものの。あまり近づくとまた攻撃を受けてしまうので距離を取った方がいいだろう。
なので俺たちは今の距離を保って追跡することにした。
すると霊木の苗木も俺たちが猛追している状態じゃないことがわかったから、逃亡する速度が緩む。
なので俺たちは結果、徒歩で追うことになっているのであった。
「……しかし、なんで逃げるんだろうな?」
「私たちが追っかけるからじゃないですか?」
「それとも捕獲されて嫌な待遇にされてしまうと思ったからかもよ」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。食われると思ったからかもしれんのう」
「……バラバラにされて薪にされる……と、思ったのかも……」
なるほど。
だとしたら俺たちがいきなり捕まえようとしたのは失敗だったのかもしれない。
それからしばらくしたときだった。
俺たちは相変わらずゆっくりとした徒歩で霊木の苗木を追っている。間隔はかなり広くなっており、遠目に苗木が見えている距離になっている。
そこで俺はある考えに気がついた。そして口にする。
「これだけ距離を取っているのに、更に歩いているということは苗木はなにか目的地があって進んでいる可能性はないか?」
俺がそう問いかけると一同は考え顔になった。
するとメグミがなにか得心を得た表情になる。
「なるほどですっ。私たちが捕まえようとしたから逃げ始めたけれど、実は行き先がちゃんとあって今はそこに向かって進んでいるってことですよねっ」
「そうね。ずっと進み続けていることから考えても、行き先はちゃんとありそうよね」
ロキも同じ結論を出したようだ。
アツメルコの顔を見ても、フセルコの顔を見ても同意の様子である。
「じゃあ、俺たちはしばらく様子見で追跡するか」
「そうですねっ。そうしましょうっ」
なので俺たちはゆっくりと歩き、霊木の苗木を追跡することにしたのであった。
すると俺に横をふわふわと飛んでいる妖精のフローラがおずおずと口を開く。
「……あのお。……妖精の里で以前に聞いた話なんですが霊木の苗木は霊木から生まれ落ちると旅をするらしいんです」
なんか重要な情報だった。
なので俺たちは思わず互いに顔を見合わせてしまい、足が停まってしまう。
「フローラ。それは本当の話なのか?」
「はい。長老たちの話していたものなのですが、苗木は生まれ落ちると自分が暮らしやすい場所を求めて移動するようなんです」
これは驚いた。
だとするとあの苗木は生まれ落ちたばかりなのだろうか。
「……じゃあ、あの苗木はあの巨樹の霊木から生まれ落ちて、今、旅をしているってことになるな」
「そうですねっ。だとすると今の状態に合点がいきますっ」
「じゃあ、今は暮らしやすい土地を目指しているってことよね」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。そうなるのう」
「……でも、……それは困る……」
フセルコの言葉に全員が頷いた。
そうなのだ。俺たちはヨンバーンメの村に依頼されて霊木を探しているのだ。だが今、霊木の苗木が向かっている方角は全然逆方向なのである。
苗木には目的があるのです。(`・ω・´)∩
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