632話 苗木の正体なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
そしてよく観察する。
その木は苗木と言っても間違いない幼い木だ。枝もまだ少なく、根っこも土の中ではなく露出している。
……ん? 露出?
おかしい。根っこが露出していたら、土から養分が摂れないだろうが……。
「ああっ。あの木の根っこ動いてますよっ」
「ああ。そうだな。なんか様子がおかしいぞ」
「そうですねっ。……それに葉っぱの形がなんか霊木に似ていますっ」
「言われてみるとそうだな。……それに樹肌も似ている気がするぞ」
俺とメグミは互いに顔を見合わせるとひとつ大きく頷いた。そして2人して一気にダッシュしたのだ。
それはもちろん動く苗木を捕まえるためだ。
あの木がなんなのか不明だが、これまでずっと探して見つからない霊木の可能性があるからだ。
俺たちが急に迫って来たことに気づいたのか苗木は根っこをニュルニュルと動かして移動を始めたのであった。
だが、俺たちが追いつく方が早かった。動き出した苗木が加速する前に幹を掴むことに成功したのだ。
「捕まえましたっ」
「鑑定するぞ。――霊木だ! やっと手に入れたぞ」
苗木は霊木であったのだ。説明を読むと霊木は苗木のときに最適の環境に根付くために根っこで移動する習性があるとのことだった。
俺とメグミは満面の笑みを浮かべた。そしてロキたちを呼ぼうと周囲を見回した。
そのときだった。
霊木の苗木が幹を大きく揺らしたのだ。すると俺たちの手をすり抜けてしまったのだ。
「ああっ、逃げたぞ!」
「速いですっ!」
そうだった。
苗木の動きは植物を頭に入れていたから動きが遅いと認識していたのだが、動物のように素早い動きで一気に加速すると俺たちから逃走したのである。
「追うぞ!」
「はいっ!」
俺とメグミは霊木の苗木を追って走り出した。だが、なかなか距離が縮まない。苗木はかなり高速で根っこをニュルニュルと動かして移動しているのだ。
「なにかあったの?」
ふいに前方からロキが顔を見せた。いや、ロキだけじゃない。アツメルコとフセルコも姿を現したのだ
「霊木が見つかった。あれだ!」
「あの素早く逃げている苗木が霊木なのですっ」
俺とメグミは霊木を追いながら、そう説明する。するとロキたちは素早く理解してくれたようで、俺たちとともに苗木を追い始めたのであった。
「あれが苗木が霊木なのかしら?」
「間違いない。触って鑑定した」
ロキの問いに俺はそう答える。するとアツメルコもフセルコも納得顔になって走り続けるのであった。
「ああ。……まずいぞ。森の中に入ってしまうぞ」
「まずいですっ。森の中だと見失ってしまう可能性が高いですっ」
そうなのだ。
霊木の苗木は木々がまばらな、ぽっかりと開けた空間を抜けて森の中に入ってしまったのだ。
木を隠すには森の中、なんてことわざがあるが、まさにそれを実践されてしまうとは思わなかった。
霊木の苗木を見つけたのです。(`・ω・´)∩
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