630話 霊木までの距離なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
そして俺たちは遺跡を歩き抜けた。そして遺跡の向こうには大きな木々が生える森があったのだ。
道はどうやらその森の中に続いているようだ。
「なあ、実は前から思っていたことがあるんだ」
「なんですかっ?」
俺が呟くとメグミが問い返してくる。
「……霊木がある場所が最初に聞いた場所とは、えらく離れていると思うんだが……」
「? ……そう言えばそうですねっ。どうしてでしょう?」
「言われてみればそうね。……最初にヨンバーンメの村で聞いたときは麓の森って話だったわよね。それからもうずいぶんと進んでいるわよね」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。ゴバーンメの里のマリーさんから聞いた話では里の奥って話じゃったのう。もう里の奥など、とうの昔に通り過ぎてしまったのう」
「……聞かされた話より……遥かに遠く……もう別世界……」
そうなのだ。
ヨンバーンメの村長から聞かされた霊木の生えている場所も、ゴバーンメの里のマリーさんから聞かされた場所も、とうに通り過ぎているのだ。
今はそれらの場所よりも遥か先に俺たちは現在いるのだ。
「ひょっとしたらなのですがっ……」
「……そうね。それしか考えられないわね」
メグミとロキが互いに顔を見合わせた。なにか思いついたようだ。
「なんだ? なにかに気がついたのなら教えてくれないか?」
俺が尋ねるとメグミとロキは同時に頷いた。
「私が思うにですねっ、これは秀子ちゃんの仕業だと思うんですっ」
「そうね。秀子がシナリオを書き換えたのだと思うわ」
すると納得顔で手のひらをポンと叩くアツメルコがいた。
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。すぐに霊木が手に入るとゲーム的に面白くないと考えた可能性があるのう」
「……それは……的を射ている考え……」
なるほど。
確かに霊木の採取を依頼されたヨンバーンメの村で麓に降りてすぐに見つかれば簡単過ぎると途中で判断したのかもしれない。
なので、秀子ちゃんはゲームのシナリオを改定してもっと込み入った内容にしたと考えると腑に落ちる。
「なるほどな。それは考えられるな」
秀子ちゃんのことだ。ゲームにかける情熱は半端ない。なので逐次介入して、あれこれいじっている可能性は高い。
いや、むしろそれが正解と言うべきだろう。
そんなこんなとみなでゲーム考察をしながら歩いていたときだった。
頭上を覆っていた深い森が突然に途切れたのだ。
するとそこには、ぽっかりと開けた空間があり、頭上遥か高く聳える一本の巨樹が待ち構えていたのだ。
「ずいぶんと大きいですっ。あれが霊木じゃないですかっ?」
「その可能性はあるわね」
俺たちは互いに顔を見合わせて大きく頷いた。そして一斉に足を運ぶ。もちろん行き先は聳える巨樹だ。
あまりにも大きな巨木なので、眼の前に見えているのに到着するまで5分くらいもかかった。
「それにしても大きな木ですねっ」
「樹高は100メートルはありそうよ」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。幹周りは10メートルは軽く越えるのう」
「……とんでもない……巨樹……神聖さを感じる」
俺たちはその後しばらく無言になり頭上に立つ巨樹を見上げるのであった。
「鑑定してみるぞ」
俺はそう宣言すると右手でゴツゴツとした樹肌に触れるのであった。
距離が遠すぎるのです。(`・ω・´)∩
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