629話 最強ヒヒを撃破なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「じゃあ、どうする? 誰が倒すんだ?」
俺は振り返って女神たちを見る。
秀子ちゃんが調整した”気分だけ最強ヒヒ”は、もはや全員で攻撃する必要もないほどの実力しかないからだ。
「ダイキチが倒してくださいっ」
「そうね。それでいいわよ」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう」
「……意義なし……」
なんとも気の抜けた返事があるのであった。
どうやら強敵じゃなくなった気分だけ最強ヒヒに対して戦う意思がなくなってしまったようだ。
こうなっては仕方ない。俺は”賢者の斧”を握りしめてヒヒに向かって歩を進めるのであった。
「戦う前に訊いておこう。どうしてゴバーンメの里の住民を全員女性にしたんだ?」
そうなのだ。
滅ぼすならさっさと滅ぼせばいいのに、この気分だけ最強ヒヒは住民男性を全員女性にするという面倒な手段を取っているのだ。
俺はそれを問わずにはいられなかったのだ。
「もちろん里を滅ぼすためだ。子供が生まれなければ里は自然と滅びるからな。……だが、この後に我が軍団、拳骨ゴリラや悪知恵ヒヒたちを率いて攻め込むつもりだったから、単なる嫌がらせだ」
なるほど。
女性化が嫌がらせで本命はサル軍団で攻め入る予定だったようだ。
まあ、攻め入るにも里に男性がいなければ、いないほうが攻めやすいってのもあったんだろうな。
「わかった。どっちにしろお前は倒さなければならないようだ。覚悟しろ」
「ギャギャギャギャ。返り討ちにしてくれる。我が肉体の強さを知るがいい」
どうやらこの気分だけ最強ヒヒはまだ自分が物理耐性、魔法耐性が強化された最強の魔物だと思い込んでいるようだ。
なので、俺は大きく振りかぶって斧で気分だけ最強ヒヒの胴体を袈裟斬りにするのであった。もちろん効果を上げるため斧には炎をまとらせている。
――グサリッ!
「グギャー……!」
深々と切られて気分だけ最強ヒヒが絶叫を上げる。
「なぜだ? ……我は物理耐性も魔法耐性も強化された肉体なのだぞ。それが斧の一撃でこれほどのダメージを負うとは考えられん……」
「これが勇者の力だ。……と言いたいが理由は違う。単純にお前が弱くなっていることに気が付かないのか?」
「なに? 我が弱くなっただと?」
気分だけ最強ヒヒは驚いた顔になり、自分の手足や胴体を観察する。そしてなにかに気がついたようだ。
「なぜだあぁぁぁぁァ~! 身体が小さくなっているではないか!」
知恵が回るようで実は頭が悪いのだろう。
気分だけ最強ヒヒは自分の体が十分の一のサイズになってしまっていることにやっと気づいたようだった。
俺たちとの視線の高さが先ほどと大幅に異なっているなんて最初に気が付きそうなものだが、そこはやはり知能が低い魔物なのだろう。
「じゃあ、行くぞ!」
「ぐぬぬ。こうなれば我も攻撃だ」
俺は斧を直上に振りかぶり唐竹割りの要領で最強ヒヒの脳天めがける。そして最強ヒヒはその鋭い爪で俺の胴体を引き裂こうと左右から振り抜こうとするのであった。
――スガーンッ!
だが、俺の攻撃の方が速かった。
気分だけ最強ヒヒの爪が俺の身体を引き裂く前に俺の振り下ろした斧が頭蓋を叩き割る。
「ウガアアアア……!」
断末魔の悲鳴を上げて気分だけ最強ヒヒが背後に倒れた。そして細かい光の粒になり、風に粒は流されて最後には大量の銀貨を残すのであった。
「勝ったぞ」
「やりましたっ。これでイベントクリアですっ」
「秀子の調整がうまくいったわね」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。今時点ではこれくらいの強さのボスがバランスが取れていいのう」
「……問題は……ゴバーンメの里。……女体化はどうなった?……」
そうだった。
里に呪いをかけたヒヒは倒した。だが、問題はそれだけではない。呪いで女性にされた男性たちが元の姿に戻っていなければ問題解決にはなっていないのだ。
「……ゴバーンメの里に戻って確認したいが、距離があるよな……」
「そうですねっ。まずはヨンバーンメの村の問題。霊木を見つけた方がいいんじゃないでしょうかっ」
「そうね。確か最強ヒヒの居場所の奥に生えているって話だったわよね」
こうして俺たちはゴバーンメの里の確認を後回しとし、まずは霊木を探すことにしたのであった。
とうとう倒せたのです。(`・ω・´)∩
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