624話 最強ヒヒは最強なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「ガハハハ。我にそんな攻撃は通用しないぞ」
なんと仁王立ちしている最強ヒヒが声高らかに人語を話したのだ。そして俺たちを見下ろす視線は自信に満ちている。
己の強さを知り尽くしていると言わんばかりだ。
「みんな。攻撃を繰り返すんだ。効いていない訳じゃない」
そうなのだ。
あくまで攻撃に耐性があるだけで無敵という訳ではないのだ。なので繰り返し続ければいつかは致命傷になるはずである。
「わかりましたっ。――ほいっ!」
「わかったわ。――ほにゃら!」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう」
「……アイシクル・ランス……」
――バリバリバリ!
――ドッガーン!
――ヒュンヒュンヒュン!
――ザシュザシュザシュ!
再び4女神たちの総攻撃が続く。激しい衝突音とともに背丈10メートルはありそうな最強ヒヒの巨体が猛煙に包まれ見えなくなる。
「……なんとか効いて欲しいんだが……」
俺は祈る気持ちで視界が効かなくなった先を見つめる。
だが、徐々に煙が晴れていくと望みが潰えたのがわかる。
「ガハハハ。だから効かんと言ったじゃろうが」
そこには無傷の最強ヒヒが立っているのであった。分厚い茶色い毛皮がすべての魔法攻撃を防いでしまうようだ。
「……駄目ですっ。全然効きませんっ」
「そうね。ダメージが入らないわ」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。これは困ったのう」
「……強すぎ……」
女神たちがお手上げとばかりに弱気の発言をする。
すると最強ヒヒがゆっくりと両手を上げた。なにかをするつもりのようだ。
「今度は我からの攻撃じゃ。凌げるかのう?」
そう言い放った最強ヒヒはニヤリとほくそ笑む。すると振り上げた両手のひらから空気が渦を巻き始めたのだった。
「なにかの攻撃だぞ。気をつけろ!」
俺はそう叫ぶ。
今、俺たちの陣営は巨大ヒヒを囲むかのように4女神たちが展開している。近接攻撃しかできない俺は、やはり無力の妖精フローラと離れた位置に立っている。
だが、離れているからこそ戦場の全体が見えているのだ。
俺の言葉に4女神たちは警戒をする。なにか迫って来たら避けられるような態勢になったのだ。
「わかりましたっ」
「了解よ」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう」
「……要警戒……」
そしてそのときだった。
最強ヒヒが展開した空気の渦はだんだんと巨大化し、突然放たれたのだ。
ゴウッと唸りを上げて迫ってきた渦は一気に加速した。なので女神たちは避けるまもなくその渦に巻き込まれてしまったのだ。
「「「「きゃあ~」」」」
女神たちは、くるくると高速回転しながら宙に巻き上げられた。そして10メートルくらいの高さまで持ち上げられる。
だが、そこで空気の渦がいきなり消えた。すると女神たちは勢いよく地面に落下し叩きつけられてしまったのだ。
「だ、大丈夫か!?」
俺はダッシュしてメグミたちの元へと駆けた。
するとメグミ、ロキ、アツメルコ、フセルコが固まった状態で地面に倒れていたのであった。
「……うう。動けないですっ……」
メグミが目を閉じたままそう呟いた。
ロキ、アツメルコ、フセルコを見ると全員大ダメージを受けたようで、まったく動けない状態となってしまっているのであった。
……まずいな。
俺は状況の確認をする。
まず、4女神たちは相当の深手を負ってしまったようで、まったくの戦闘不能状態。だとすると戦えるのは俺だけということだ。
だが、俺は近接戦闘型だ。
長距離攻撃の手段はまったくなく、敵に近づいて”賢者の斧”で叩くしか攻撃できないのだ。
そして敵である最強ヒヒとの距離は20メートルはある。その距離を最強ヒヒの攻撃を避けながら詰められるであろうか……?
まして先程の巨大ヒヒの空気の渦を使って攻撃は死角がない。走りながら左右に避けて接近するという手段は取れないのだ。
だが、やるしかない。
そこで覚悟した俺は改めて最強ヒヒを見る。だがそこで周囲に異変を感じた。先ほどまですっきりとした視界だったのが、視界全体がうっすらと暗くなっているのだ。
そして異変はそれだけじゃなかった。最強ヒヒが動いていない。風も停まっているように感じられる。
……もしかして、時間が停まった?
攻撃が通用しないのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。




