616話 セーブポイントがあったのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
草原はかなり広く、抜けるまで数時間かかった。その間に魔物と何回か遭遇した。
出会ったのはジャイアント・ボアなどの弱い群れだったので俺たちは鎧袖一触で蹴散らして先に進むのであった。
やがて草原に終わりが来た。小高い丘の頂上がそれだった。
その下は岩だらけの崖になっており、その向こうには岩肌が剥き出しになった山になっていたのだ。
「どうやら、この崖を降りなくてはならないようだな」
「そうですねっ。でも道がありませんよっ」
そうなのだ。
下を覗き込むと断崖絶壁になっており、高さは20メートルはありそうだった。どうやら飛び降りできる高低差ではなさそうだ。
「私ひとりであれば飛んでいけるのですが、さすがにみなさんをぶら下げて飛ぶのは無理です」
妖精のフローラが残念そうに言う。
確かに体長20センチ程度のフローラでは俺たちを持ち上げて飛ぶのは無理だろう。
「ねえ、あっちの方に傾斜が緩やかになっている場所があるわよ」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。あれなら降りられそうじゃのう」
「……ゆっくりと降りれば……可能……」
そうだった。
ロキたちが指し示す方向を見ると崖の傾斜が確かに緩やかになっており、あれならば両手も使って後ろ向きで降りれば地面に到達することは可能に思える。
「行ってみるか」
「そうですねっ。他に方法も無さそうですしっ」
俺たちは緩やかな傾斜部分に到着した。そして俺を先頭に両手両足を慎重に動かして一歩ずつ傾斜を降りるのであった。
やがて全員無事に地面に到着することができた。
そして改めて進行方向となる山を見上げる。
「もしかしてこの山を登るのか? かなりキツイぞ」
「正直、ロッククライミングと言った方が正しいですっ」
そうなのだ。
眼の前に聳えるのは断崖絶壁の山肌なのである。高さは100メートル以上ありそうだ。これを装備なしに登るのは危険極まりないだろう。
そんなときだった。
「あれ? あっちに洞窟がありますよ」
ふわふわと飛んでいた妖精のフローラが俺たちに向けてそう言ったのだ。言われた方角を見ると確かに背が高い洞窟がぽっかりと開いていたのだ。
「確かに洞窟があるな」
「中は深そうですよっ」
「入ってみる? なんかいかにもって感じな洞窟よね」
俺たちは洞窟に向かって進んだ。
するとあるものを見つけたことで、この洞窟が正解だとわかる。
「セーブポイントがあるな」
そうなのだ。
洞窟の入口に半透明の青白く光る石の柱が建っていたのだ。これはセーブポイントでこの先に進むべき道があることの証明にもなるものだからだ。
「セーブしていきますかっ?」
「そうね。……でももうだいぶ長い時間冒険してきたわよ。この辺りで今日は切り上げるのもいいんじゃない?」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。秀子の提案でいつ切り上げても現実世界では午後7時になっていると言ってもだいぶプレイしたから疲れたのう」
「……確かに……ここで切り上げるのはキリが……いい……」
そうだった。
確かに秀子ちゃんが神力でゲーム内時間を調整してくれたので、どれだけ長時間プレイしても現実世界では午後7時になっているので、まだプレイできると言えばできるのだが、アツメルコの言う通り、確かに少々疲れも感じている。
なのでここでゲーム中断というのも確かにアリだ。
だが、ここで問題もある。
それは妖精のフローラだ。彼女はゲーム世界の住民なので俺たちの現実世界に連れて行くことはできない。
なので事情を説明することが必要だった。
フローラのことが問題なのです。(`・ω・´)∩
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