615話 妖精の立ち位置なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
そしてである。
一通りの自己紹介が終わったときにメグミから念話が俺に届いたのだ。
(……あのっ。妖精ってこのゲームではどういう扱いなんですかっ?)
なるほど。
大精霊が統べる世界観だからな。妖精の立場が気になるようだ。
(妖精は精霊の下位互換。精霊の部下みたいな扱いだな)
俺は説明した。
精霊と妖精に厳格な身分の違いはないが、妖精はよく精霊に頼まれてお使いなんかをしているし、精霊のことを敬っていることだ。
「……あのー。勇者様ご一行にお願いがあるのですが聞いていただけますか?」
そう、突然に妖精のフローラがふわふわと宙を舞いながら俺たちに話しかけてきた。
俺たちは顔を互いに見合わせるとひとつ大きく頷いた。
どうやら緊急イベント発生のようだ。
「俺たちに出来ることなら、請け負うぞ」
「ホントですか? 引き受けてくれたらお礼を差し上げます。……実は私を妖精の里に送ってもらいたいのです」
フローラは説明を始めた。
里の使いで”夢見の花”というアイテムを採取しに来たとのことだ。そして無事に手に入れることはできたのだが、魔物の追われて逃げ回っているうちに迷子になってしまったとのことだ。
「なるほどな。で、その妖精の里というのは遠いのか?」
「はい。向こうに見える大きな山を3つほど超えた先になります」
フローラが指さすのは遠くで霞んで見える山脈だ。あれを3つ越えるとなると相当の距離だろう。
「質問ですっ。そんな遠くから魔物がいるこの場所まで、どうしてフローラさんはひとりで来たのですかっ?」
確かにそれは疑問だ。
妖精も無力ではないのだろうが、遠くへ旅するのにひとりで派遣されるのは無理筋な話だろう。
「……面目ないのですが、仲間とははぐれてしまったのです。10人で旅を始めたのですが、”夢見の花”を探していると途中で私ひとりだけになってしまっていたのです」
テヘペロよろしく舌を出してウインクするフローラ。
要するに夢中になってひとりだけ迷子になってしまったようだ。
「なるほど。話はわかった。フローラの依頼は受けよう。ただし俺たちは今、別件の依頼をこなしている最中なんだ。それが終わってからで構わないか?」
俺たちはフローラに、ヨンバーンメの村の霊木探し、ゴバーンメの里のヒヒの魔物退治の件を伝えた。
するとフローラは納得してくれるのであった。
そして旅を再開したときである。メグミが念話を使ってきたのだ。
(……フローラにはアツメルコが大精霊メロロロンであることや、ロキが大精霊の使徒であることがわかっていないんですよねっ?)
なるほど。
確かにそうだ。精霊と妖精の立場の違いからするとアツメルコやロキは崇拝に近い対象だろう。だがフローラを見ていると2人に対して特に変わった態度を取っていない。まるで2人がただの神官だと認知している風にしか見えないのだ。
(ふぉふぉふぉ。それは認識阻害を使っているからじゃのう)
(私は使徒とわかるように設定しているけど、ただの人間の神官にしか見えないように仕向けているのよ)
なるほど。
認識阻害なら納得だ。確かに村や里に入っても俺のことを勇者だとわかる人々もアツメルコの正体には気づいたことがない。
そしてロキはわかる人には使徒だとわかるが、正体は精霊だとバレたことはなかったのを思い出す。
「それじゃフローラさんが臨時の仲間に加わりましたけど、旅を再開しますねっ」
「そうね。まずはゴバーンメの里の依頼であるヒヒの魔物討伐ね」
俺たちは草原の道を更に奥へと向かうのであった。
送り届ける依頼なのです。(`・ω・´)∩
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