596話 ゴバーンメの集落なのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
霧が徐々に晴れていったことで集落の様子がわかるようになった。
建物は20軒ほどで、こじんまりとした山奥の集落だ。
「あ、誰かいますっ」
まだ霧は残っているので詳しいところまではわからないが、畑で農作業をしている女性らしき人影が見えたのだ。
「すみませ~ん。話が訊きたいのですが」
俺たちは馬車を降りて歩きながら女性に近づく。
やがて顔立ちがわかるようになった。若い綺麗な女性だった。
「旅の人ですか?」
「はい。濃い霧で道に迷ってしまって……」
俺はそう切り出した。
本当の目当ては霊木探しなのだが、この集落の人たちが友好的なのかどうか不明なのだ。なので当たり障りのない尋ね方をしたのだった。
「それはお困りですね。村長の家で一休みしていかれたほうが」
そう言って女性は収穫最中のカゴや農具を地面に置いて集落の中心部へと歩き始めた。どうやら案内してくれるようだ。なので俺たちも着いて行くのであった。
「親切そうな人ですねっ」
「そうね。良かったわ」
「ふぉふぉふぉ。村長に訊けば情報も手に入りそうじゃのう」
「……そう。……霊木の情報が……欲しい……」
女性は集落の中央の通りを奥へと向かって歩いて行く。そして何人かの住民とすれ違った。皆、俺たちに一礼をしてくれる。なので俺たちも頭を下げて通り過ぎる。
どうやら俺たちに対して敵対心らしきものは感じられない。
だが、奇妙に思ったことはある。
「……なんか、女の人ばかりだな」
そうなのだ。
すれ違う人、すれ違う人、すべて女性ばかりなのだ。しかも皆若くて美人ばかりなのだ。そのことに違和感を覚えた俺は思わずメグミを見て口を開く。
「……神力、使ってないよな?」
「失礼ですねっ。私だっていつもいつも神力を使う訳じゃないですよっ」
「そうね。これは本当に若い女性ばかりの集落ってことね。これはメグミの神力ではないわ」
「ふぉふぉふぉ。間違いないのう。奇妙だが若い女性ばかりの集落ってことじゃのう」
「……これはゲーム世界のシステムが創った……世界そのもの。……強いて言えば……秀子の神力……」
なるほど。
この集落に奇妙さはメグミの神力ではなくて、秀子ちゃんが用意した世界観ってことなのは間違いないようだ。
それからも若い女性ばかりとすれ違い、俺たちを案内してくれた女性は集落の中でいちばん大きな建物の中へと入っていく。
「ここが村長の家です。詳しい話は村長に訊いてください」
そして女性は村長宅から出て去って行った。
なので俺たちは村長を捜して家の奥へと廊下を進む。
「客人のようですね。……ああ、勇者様御一行ですね。ようこそいらっしゃいました」
突き当りの扉を開けると執務机に座っている女性が話しかけてきた。
見るとこれまた若い女性だった。長い金髪を後ろでまとめており、先程の女性とは異なる高価に見える服を着ていた。
「はい。俺は勇者のダイキチ。そして――」
俺が名乗り終えるとメグミから順番に自己紹介をした。
すると女性も名乗るのであった。
「私はこのゴバーンメの集落の村長をしているマリーといいます。こんな辺鄙な集落になんの御用でしょうか」
俺たちは互いに目配せをした。話を誤魔化した方がいいのか、それとも正直に言った方がいいのか迷ったからだ。
(……念話を使いますっ。これは正直に霊木を探していると言った方がいいと思いますっ)
(そうね。どうせ誰かに霊木のありかを訊かないとわからないことだし)
(ふぉふぉふぉ。儂も賛成じゃのう。儂らは霊木の正確な位置を知らんしのう)
(……当たって砕けろ……ね……)
どうやら女神たちの総意は正直に尋ねることのようだ。ならば俺にも異論はない。
「……実は俺たちは霊木を探してここまで来たんだが」
すると村長のマリーさんの顔に笑みが浮かぶのが見えた。
村長はマリーさんなのです。(`・ω・´)∩
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