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589/642

589話 悪行河童の作戦なのです。

基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 俺たちは陣形を作る。

 俺が前衛で女神たち3人が後衛のポジションだ。だが、そこで声がかかった。




「待って。今回は私も前衛をするわ」




 それはロキだった。

 ロキは錫杖で身構えて俺の横に立つ。




「急にどうしたんだ?」




 そうなのだ。

 ロキは魔法攻撃の専門職である。なので安全な後ろで遠距離攻撃をするのが常套手段だろう。




「私が手に入れたこの”聖女の錫杖”は打撃向上の効果があるのよ。それを試したくて、ね」




 なるほど。

 言われて思い出したが、ゲームマスターである秀子ちゃん主催の魔物討伐競争大会での優勝商品であったロキの”聖女の錫杖”は魔法の威力が上がるだけでなく、打撃の能力も向上していると説明されたのだ。




 だが、これまで一度も前衛として戦っていないので試したくなったのだろう。

 ならばそれも良しだ。

 俺は真横に並んだロキを見て右手の親指を突き上げた。もちろんサムズアップで歓迎の印だ。




 そして悪行河童たちだがすでに上陸を果たしていた。




「「「「キキキキ!」」」」




 耳障りな甲高い声を上げて、なにやら相談している。そして話し合いが終わったようで悪行河童のうちの1匹が前へと出てきたのだ。

 どうやら一対一の対決が望みのようだ。




「なら私が最初に行くわ」




 ロキがそう宣言したので俺は一歩後ろへと下がった。それは当然最初の戦闘の権利を譲る意味だ。




 そして槍のように錫杖を前に突き出して身構えるロキと徒手空拳で拳法のような構えを取る悪行河童が対峙したのであった。




 戦いの開始は突然だった。

 キキキキ! と叫びながら悪行河童がロキの間合いの外から跳躍して一気に攻め込んで来たのだ。

 だがロキに焦りや油断はなかった。




 悪行河童が着地して次のモーションに入る前に、えいっ、と一声上げると悪行河童の胴体の中央に錫杖とぶち当てたのだ。




「……ゲゲゲゲ!」




 ロキの攻撃は相当の威力があったようで命中を食らった悪行河童はくの字のなって後方へとぶっ飛ばされた。

 そして泉の中まで飛ばされて丈の高い水柱をあげて水中に沈んだのだ。




「やったのか?」




「わからないわ。……って、その台詞は悪い展開になるフラグじゃないかしら?」




 手応えはわからないようだ。

 だが、あれだけ飛ばされたのだ。俺には相当のダメージを与えたように感じられたのだ。決してフラグのつもりでこの言葉を口にした訳ではない。




 だが、どうやらロキの言う通りのようだ。

 泉の水がこんもりと盛り上がるとそこから悪行河童が首を出したからだ。そしてその悪行河童は驚くことに水の中から跳躍して一気に地面に着地したのであった。

 その様子を見るに悪行河童は相当頑丈なよう様子で深いダメージを負っているようには見えない。




「キキキキ!」




 そして始まる再度の対決。

 悪行河童は今度は飛び上がることをせずにジグザグに走り出したのだ。それはもちろんロキの錫杖による攻撃を避けるためだろう。

 しかもその速度は相当だ。どうやら悪行河童は素早さもかなりのものだとわかる。




 ロキは慎重に様子を見ている。どうやら錫杖の間合いに入るまで無駄な攻撃はしない考えのようだ。




 やがて悪行河童が錫杖の間合いに入った。

 そこでロキは悪行河童の胴体を狙い槍のように勢いよく突き出したのであった。




「……え?」




 だが、ロキが意外を感じた声を上げる。

 見ると悪行河童の姿が消えていたのだ。……いや、消えたのでない。悪行河童は一気に加速してロキの死角へと姿をくらましたのだ。




 その位置はロキの背後であった。

 そして両手を悪行河童が突き出した両手を突き出した瞬間だった。




「きゃあ~……!」




 ロキの悲鳴が辺り一帯に響き渡るのであった。

悪行河童はタフなのです。(`・ω・´)∩


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。

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