580話 託宣が降りたのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「……父上。……話がある……」
それまで無言で国王陛下の隣の席に座っていたフセルコが発言した。王は隣のフセルコを見る。
「よかろう。発言を許そう」
国王がそう言って頷くとフセルコは立ち上がり片膝をついたままの俺たちの中に混じり、自らも片膝をついたのだ。
その姿に国王陛下も宰相も驚きを浮かべる。
「……ワタクシも……魔王討伐に……加わります……」
すると国王陛下と宰相が血相を変えた。その表情には驚愕と怒りが入っているのがここからでもわかる。
「そ、それは許さぬぞ。駄目だ。認めん!」
「姫様。それはなりませぬぞ!」
これは当然の反応だろう。
魔物に誘拐されて救出されたばかりなのに、更に危険な旅に加わるというのだ。国王としても父としても認められないだろう。
そして宰相も国王陛下の判断と同じ考えに至るのは当然だ。
「……ワタクシは……もう……決めたのです……」
「ならぬ。ならぬ。ならぬ!」
「なりませぬ。なりませぬ。なりませぬ!」
どちらも譲らない堂々巡りが始まるのであった。
そして長い間同じやりとりが続いた。その間、俺たちは一言も発言せず、また身動きひとつもしないで待ち続ける。
だが、それが終わる時が来た。ロキがすっくと立ち上がったのだ。
「宣託です。大精霊メロロロン様からの宣託が今ありました」
見るとロキの全身から金色の光が溢れていた。どうやら神力。……いや、この世界的でいうと魔力を使ったのだろう。
とにかく見続けるのも眩しいくらい黄金の光で満たされていたのだ。
その姿を国王陛下と宰相は驚愕の表情で見ているのであった。
「宣託とな? ……申せ」
国王陛下からそんな発言があった。するとロキは厳かな表情でゆっくりと口を開く。
「フセルコに旅をさせよ、とのことです。勇者ダイキチ一行に参加させよとの意味です」
すると国王陛下の表情に変化が起きる。苦渋に満ちた顔になったのだ。
この世界では大精霊メロロロンの宣託は絶対のものだ。それは国王でも異を唱えることができない。
「……し、しかし、そなたはただの神官だろう? 宣託を受けることなどあり得るのか?」
動揺しながらも国王陛下はそう尋ねる。
そうなのだ。俺たちが自己紹介したときにロキは自分のことを神官と名乗ったのだ。確かに神官でも託宣を受けられるであろう。だが本来はただの神官ではなくもっと高位の教皇とか枢機卿なら納得したのであろうな。
「私の本当の身分は精霊様の御使いなのです」
「な、なんと! 御使様であられるか」
国王陛下が驚愕した。御使様は教会の身分ではない。教会に所属しているのではなく、精霊直属の使いなのだ。
なので人間側の教会所属よりも、考えようによってはもっと高位な存在になるのだ。
「うむむ。……御使様から託宣されたのであれば認めぬ訳にはいかぬのう……」
「……誠でありますな」
どうやら国王陛下も宰相も納得してくれたようだ。
ロキの機転でうまい具合に説得できた。……まあ、実はロキの隣で黙って片膝をついているアツメルコ自身が実は大精霊メロロロンそのものなのだから、嘘を言っている訳ではないしな。
「……よかろう。フセルコよ。そなたも勇者ダイキチとともに旅立つがよかろう」
「姫様。ご武運を」
国王陛下、宰相が認めてくれたことでフセルコも俺たちといっしょに魔王討伐の旅に出ることができるようになったのであった。
ロキのとっさの機転なのです。(`・ω・´)∩
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