577話 時間の流れが変更になったのです。
基本二日置きの更新(18時)とさせて頂きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「来たわよ」
「ふぉふぉふぉ。今日もよろしくじゃのう」
「……来た……」
扉を開けると呂姫ちゃん、集子ちゃん、臥留子ちゃんの姿があった。全員約束通りの時間に来てくれたのだ。
「いらっしゃいですっ」
「じゃあ、今日もプレイするか」
俺がそう尋ねると女神たちはみんな大きく頷くのであった。どうやら全員スピリット・クエストのハマってしまったようだ。
そんなときだった。スマホが鳴ったのだ。メールでも着信したんだろう。だが、それは俺だけじゃなくて、ここにいる全員のようだった。
その証拠に女神たちがスマホを確認していたからだ。
「……秀子ちゃんからだな」
「緊急連絡とありますねっ」
「またイベントかもね」
「ふぉふぉふぉ。いつもいつも急じゃのう」
「……秀子は……いつも……突然……」
俺たちは秀子ちゃんからのメッセージを開いた。するとそこには驚くべき内容が書かれてあったのだ。
それは現実世界とゲーム世界の時間の流れを変更する内容だった。これは重要なことなので俺たちは無言のまま文章を読み進めるのであった。
そして理解した。
「要するにゲームの中での時間の流れを現実世界の時間の流れより遅くするってことだな?」
「そうですねっ。でも具体的に何分の一遅くするような感じじゃないですねっ」
「どれどれ。……どんなにゲーム世界でプレイしても現実世界には午後7時に戻れるって書いてあるわね」
「ふぉふぉふぉ。秀子のゲーム世界へ影響させる神力は相当なものじゃのう」
「……集子に同意。……これなら……時間を気にせずにできる……」
なるほど。
つまり俺たちがスピリット・クエスト内でどれだけの時間プレイしても、こちらの現実世界に戻って来たときは午後7時に設定されているということだ。
これは俺たちとしてはとても助かる。ちょうど区切りがよいところまで長時間プレイしても、7時に帰って来られるのだ。
午後7時なら夕食の時間も臥留子ちゃんの帰宅時間にも問題ない。
「これなら後顧の憂いもなくプレイできるな」
「そうですねっ。安心ですっ」
「秀子のヤツ。なかなかにくい演出をしてくれるわね」
「ふぉふぉふぉ。まったくじゃのう」
「……帰宅時間の……心配が……いらない……」
兎にも角にも俺たちに困る条件ではない。むしろ安心材料が増える嬉しい提案だった。
そして俺はPCを立ち上げてスピリット・クエストを起動させる。すると謎の卵が光って白い靄のようなものに包まれるのであった。
■
「……イキチ。……ダイキチ。起きてくださいっ」
俺は身体を揺すられて目を開けた。するとメグミが見えた。見回すとロキもアツメルコもフセルコもいるのがわかった。
どうやら気を失っていたのは俺だけのようだ。毎回毎回俺だけが失神するということは俺にはない耐性を女神たちは持っているのかもしれない。
ここは昨夜セーブしたサンバーンメの王都の大通りであった。
停車したままの馬車の周囲には王女の帰郷を祝う大群衆が手に手に小旗を持って歓迎している最中だった。
「俺たちはログアウトして一晩経って、またここに戻ったのに人々がずっと旗を振り続けていたってのはゲーム世界だとわかっているのに不思議な感覚だな」
「そうですねっ。……なにか不憫な感じがしますっ」
「まあ、ゲーム世界と割り切っていくしかないわね」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。さあ、馬車を発車させるぞい。乗ってくれんかのう」
「……さあ、王宮へ……」
俺たちはセーブポイントの青白く光る石柱から離れ、アツメルコが御者をする馬車の中へと乗り込むのであった。
午後7時には帰れるのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。




