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DX変形合体トリギガス S.アルミラ

 あの光景を見たら、このアルミラさんとて驚くしかありません。


「私ね、これでもすげぇことやったと思ってるんですよ。EDAの最大サイズを遥かに超えた超大型機を実現させたんですからね。あのサイズの機体を作ったのは私が初めてです。先駆者です。……だというのに、あっちはあっちですごいことやってきやがりましたねチクショー!?」


 赤青黄色の信号機ロボが、それぞれ複雑に変形し飛行機のような形へと変わりました。そして空に飛んだ3機は、縦一列に並んだかと思えばそのまま追突! 否、結合!


 3機それぞれに形を変えて、赤い機体は上半身に、黄色い機体は下半身に、青い機体は上半身と下半身の繋ぎとなります。


 20メートル級のEDA3機があわさって完成したのは、アトラクナクアよりはひとまわり小さく、しかし一般的なEDAよりも大きな人型兵器。


「合体完了! これぞ我らの三神合体! トリギガス・ドレイク! だ――――――ッ!!」


 そう、ロボオタはそれを合体と呼ぶ。まさかLDOで合体機構なんてもんが作れるとは。


 いえ、鴉とスパイダーユニットもある意味では合体しているのです。接続用パーツをうまく使えば合体ロボを作ることは仕様上可能なのはわかっています。しかしあの機体は――トリギガス・ドレイクなるEDAの合体は、単なる合体ではありません。なんてったって変形までしていますからね。


 複雑極まる変形合体機構をまさか実現してしまうとは。凄まじい技術力です。認めたくはないけれど、敗北感。うぐっ、まずい、感情処理が追いつかなくなりそう……、


『……くそぉぉぉ! やっぱり負けた――――ッ!』


 突然のタツキの咆哮。負けた? なにが?


『た、タツキたちはLDOでいちばんでっかいEDAを作るつもりだったんだ! 複数のEDAを合体させればサイズ制限よりでっかい機体が作れるって気づいて! そんで頑張って完成させたのに! やっぱりそっちのEDAの方が大きい――――ッ!?」


「……確かにこっちのアトラクナクアは40メートルオーバー、そっちは40メートルにちょっと満たないくらいですけれどね? そっちはそっちで十二分にすげーんですけどね?」


『一番じゃなきゃ意味ないもん! くそう、やっぱりお前たちのせいでタツキたちの計画は台無しだ! だから、オトシダマだ!』


「オトシダマじゃなくて落とし前では?」


『そう、それ! オトシブタをつけさせてもらうのだ! 今日、ここで!』


 パイロットの魂からの叫び。それに応えるよう、トリギガス・ドレイクは飛龍号の装備していた大斧を肩に担ぎます。合体前の機体が装備していた時は異常なほどに大きく見えた大斧も、合体形態が装備するとちょうどいいくらいのサイズ。


「気をつけてくださいヒノワ! あちらは3機が1機になったわけです! EMOリアクターは3機分、いままでは分散していたイイネもひとまとめ! つまりはすげぇパワーを秘めているはず! あの斧で殴られたらアトラクナクアの装甲でもどうなるか!」


『ど、どうしよう!? あっちはなんだか動きがはやい! こっちは回避できるほど素早くない!』


「元より回避は想定していませんからね! つまりは防御するべきです、マニュアル通りに!」


『防御……あっ、わかった! これか、これだね!』


『作戦会議は終わったか!? 終わってなくてももう行くからな!』


 こちらが会話をシメる前に、トリギガス・ドレイクが大斧を構えて突撃開始! アトラクナクアのミサイル弾幕を回避と防御でしのぎながら一直線です。


『ちょっとタツキ! 何発か当たってる!?』


『トリギガスの装甲にそんなものが通じるものか――――ッ! 前進ッ!』


『あわわ、この形態だとエネルギーケーブルが繋がらなくてバリアフィールドが使えません……』


 ……パイロットの連携がまったく取れていないようですが。


 トリギガス・ドレイクはダメージを食らいつつも半人半蜘蛛の上半身部分、そこに収まった中枢機体”鴉”に迫り、大斧をぶんと縦一閃! 力任せに叩き切るための一撃です!


 しかしその一撃は、光の壁に阻まれました。


『な!? そっちにも!?』


『バリアフィールドですって!?』


十八番おはこを取られた感じですぅ……』


「ひひひひひ! そりゃあ回避を捨てた設計ですもの! バリアフィールドくらい搭載しています! それもそちらが積めるのより大型で高性能なフィールドジェネレーター! 堅牢さが違うんですよ!」


 バリアフィールドを叩いた態勢で固まっているトリギガス・ドレイク。その隙を穿うがつべく、ヒノワは攻撃を仕掛けます。


『アルミラちゃん! 分離機構を使うよ!』


「存分に試しなさい!」


 私が許可すると同時、アトラクナクアの上半身が――『カラス』が巨体から分離しました。黒い機体は巨大な蜘蛛の上半身ではなく、単独のEDAとなります。


『分離できるのかそいつ!? 前回はでっかいのと一緒に落ちてったのに!?』


「前回ので気づいたんですよ! 分離できないとTAUユニットがやられた時に中枢機まで道連れになってしまうと! ゆえに分離して脱出できるよう改善したのです!」


 それは脱出のための分離機構であると同時、戦術の幅を広げるための分離機構でもあります。スパイダーユニットから離れた鴉は、手首に格納していたバトンのような物体を取り出しました。


 手に取り構えたそのバトンから伸びるのは、不気味に輝く光の刃――ビームソード!


『やばーい!? ライカ、トモエ、バックブーストで離れるぞ!』


『ちょっとまって急に言われても! 合体時のブースト制御スイッチってどれだったかしら!?』


『が、合体時の推進器の操作は3番のスイッチをオンにした状態で、えーと……』


 あちらは三人で協力して操縦する機体。パイロットの連携が取れなければ、動きも鈍ってしまうようです。


「いけませんねぇ! そういうのは3つの心をひとつにしなきゃ使いこなせねーんですよ! ひひひ!」


 回避動作の遅れた三機合体、鴉はその上半身に目掛けて光の剣をドスリ。


『つらぬけ!』


『ぎゃわ――――ッ!?』


『タツキ!?』


『た、タツキちゃーん……』


 どうやらタツキのいるコクピットを直撃した様子。コクピットが吹っ飛べばパイロットは死亡判定、主を失った機体は機能停止です。


 ……ただ、あちらは三人乗りというイレギュラーなEDA。ならばこれで勝ちとはなりません。


「ヒノワ! 油断しないように!」


『ん! わかってる!』


 一方で、敵さんもやはり戦意を失ってはいない。


『タツキ……仇は取るわ。安心して草葉の陰で泣いていなさい……! トモエ! 再合体でモードチェンジするわよ!』


『わ、わかりましたぁ……』


 鴉とスパイダーユニットから距離を取るトリギガス・ドレイク。そして合体の光景を逆再生するかのように、1機は再び3機へと分離。操縦者不在の飛竜号は操縦不能、分離と同時に自由落下していきますが、他の2機がそれをカバーします。


 再び縦一列となった3機は再合体。しかし今度は並び順が違いました。上半身は青い機体、下半身は赤い機体、そして繋ぎが黄色い機体。完成した機体の姿も、先ほどとは違う形に。


『変形完了! 三神合体! トリギガス・トネール!』


 並び順によって合体時の形態も変わるとは。よくもまあ作り上げたもんです、あんな複雑な機構を持つEDAを! 敗北感を通り越し、褒めてやりたい気持ちになりました。


「やるじゃあないですか、アリスガワ三姉妹……!」


 ……ところでこの合体方式って見たことがありますね。

 若い命が真っ赤に燃えるやつとか、1万と2千年前くらいからなんとかなやつとか――、

~今日のEDA~

●トリギガス・ドレイク

HP:5800 EN:350

装甲値:1100 運動性:90 移動力:6

特殊能力:EMOリアクター(大) サブEMOリアクター(大)✕2 分離 変形

空:A 陸:B 海:不可 宇:B 機体サイズ:LL

操縦者:アリスガワ・タツキ


●武装

・ドレイクアックス

 攻撃力4000 射程1 EN消費5


開発者コメント

「飛竜号をメインに合体したトリギガス! メインドライバーはタツキだ! すっごいパワーがあってね! 斧で敵をどかーんとやっつけるの! 本当はビームとかもつけたかったんだけど今はムリだった! あとなんだっけ! そう! バクハ? と、ミョウガ! ください! おねがいしまーす!」

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