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1-騎士トハ-2
ヘレンに続いて席を立つ彼は
決まりが悪そうに頭を掻いた。
「ええと、分かりません。
その時にならないと・・・
でも、きっとできないと思います」
首を傾げそっと席に着く。
ふと視線を横に投げた時、彼女と
ヘレンと目があった。
冷ややかな、でもどこか安心したような
彼女が視線を外した時だった。
「当然だな。
俺も最初はそうだった」
そうだ。
今でこそ教壇を預かり本を持つその手は
かつて国境防衛師団として剣を握っていた。
「奴らの姿に怯え、奴らの咆哮に耳を塞ぎ
引き裂かれた戦友から目を背けた。
いつかは自分がこうなると、震えて眠った。
だが、あの経験があったからこそ
今俺はこうしてお前達の前に立つことができる」
左腕の義手をさすりながら彼は言う。
「命を賭して民を、だったなヘレン。
だが俺はごめんだ。
他人のために賭ける命はない。
差し伸べられた手と転がった剣。
俺は迷うことなく剣を取るだろう」
タイミングを見計らっていたのか。
彼が話し終えた直後に終業を知らせる鐘が鳴る。
「卒業までの一月、
これから自分が何をするべきか
よく考えるんだな」
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