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特オタ、宇宙人と商売始めます ―どうも。宇宙人と仕事をすることになった引きこもりです―  作者: ねねこ


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12/15

第12話:有川祐介

 リビングのドアが開く。

 まず叶くんが入ってきて、その後ろから長身の男性が入ってきた。

 うっわ、イケメン……!

 長身でイケメンってだけで勝ち組だろ……!無職でも!


「有川先輩、こちらの方が、この家の主の抛勝利さんです」

「おい、藤島、あれ……」


 有川さんが目を止めたのは、俺ではなく部屋にあるストークスの限定1/2フィギュアだった。

 分かる、存在感すげえもん、これ。


「なるほど、仲間か……」

「そうです。勝利くん、こちらが僕の先輩で、有川祐介さんです」

「はじめまして、有川です」

「はじめまして、抛です。それから、もう一人紹介したい女性がいます」

「はい、むしろこちらの方が先輩にお願いしたいことがあるんです。どうぞ」


 コハル、出番だ。

 ぶっつけ本番だが、おまえならできる!


 庭のほうを向いていた椅子からゆっくりとコハルが紫色の長い髪をかき上げるようにして立ち上がる。

 その時、片足の踵をとんとん、と二度床で慣らして振り返る。

 これはアガサの立ち上がる時の癖。

 よし、完璧だ。


 有川さんはと言えば、顎が外れたような顔をして、いきなり目の前に現れたアガサに目を白黒させている。


「あなたが有川さん?」


 ボイスチェンジャーでアガサの声にすることもできたらしいが、それはなしでと俺は却下した。

 コハルはアガサになる必要はないのだから。

 あくまでアガサのコスプレイヤーとして、そして、コハルとして有川さんを口説き落とすべきだ。


「……藤島?どういうことだ?俺の目の前にアガサがいる……」

「まず、説明しますので座ってください」

 リビングのテーブルに用意しておいたお茶を勧めて、俺たちは向かい合うように四人で座った。

「まず、先輩。これは宇宙案件です」

「は?」

「彼女はコハルさん。宇宙対策課の最重要案件のユーティ商団のバイヤーの方です」

「何だと……?」

 その瞬間、有川さんの顔が変わった。

「藤島、分かってるんだろうな?それが国家の最重要案件の一つだと言うことを」

「もちろんです。だから、まず内情を知っていて、信頼できる先輩に話をしようと思ったんです。先輩しか頼れない難問があるので」

 有川さんが背筋を伸ばして、居住まいを正す。

「……まず詳しい話を聞かせてもらう」

「いいんですか、有川さん」

 俺の問いかけに、有川さんは頷いた。

「聞く。俺も宇宙対策課で仕事をしていた人間だ。その事実の重さは分かっているつもりだ」


 おお、有川さん真面目しごできな人だ。

 これは頼りになる。


「コハルさんの話は前から聞いていたが、まさかこれほどの美女、もといアガサにそっくりだとは思っていなかった」


 ……訂正。やっぱり俺らのジャンルの人だわ、この人。

 だって、コハルを見る目がオタクだもん。

 崇拝って言うか、感動に満ちている。

 まあ気持ちはわかる。


「まず、コハルさん。コハルさんの目的を有川先輩に話してもらえますか?」

「分かったわ。改めまして、はじめまして。私はコハル。ユーティ商団のバイヤーです」

 髪をさらりとかき上げて、とびきりの笑顔をコハルが有川さんに向ける。

「はい。話は聞いています。ずっとそちらからのコンタクトを待っていました。まさかこんな形で、とは思ってませんでしたが……」

「細かいことは抜きにして、商売の話をします。私が主に仕入れたいのは、地球のコーラ、とくに日本の。それから、地球のサブカルの商品です」

「宇宙じゃ、コーラ一本が地球の車一台分くらいの値打ちがあるらしいですよ」

 俺の補完に、有川さんが驚いたように頷く。

「なるほど。それなら売れるわけだ」

「はい。で、その仕入れを叶にお願いしたんです。私が地球に来て一番最初に出会ったのが叶で、彼にもらったコーラが、私の地球に対する素晴らしい気持ちを生んでくれたんです」

「……」

「そして再び地球に来て、勝利に出会いました。彼は私の地球でしたい仕事を手伝ってくれると言ってくれました」

「コハルさんの仕入れを、ですか?彼が?」

「はい。まずはコハルの要望通り、コーラを10万本仕入れることを考えてます」

「10万!?」

「コーラの仕入れルートは叶が探してくれるそうです。勝利は仕入れの原資を貸してくれるのですが、仕入れは一回限りではないし、これから他のものも仕入れる予定です」

「それで、何をしたらいいんでしょうか?」


 きた、ここからが大事だ。


「先輩には、会社を作ってその会社の代表になってほしいんです」

「俺が?」

「はい。先輩、365日暇でしょ?」


 叶くん、言い方。


「まあ暇だけどさ」

「その若さでFIREして、暇しか誇ることがないなら、僕らと一緒に真剣に遊ぶのよくないですか?」

「……藤島、おまえ」

「はい?」

「よく俺を呼んでくれた」


 にやりと有川さんが笑った。



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