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特オタ、宇宙人と商売始めます ―どうも。宇宙人と仕事をすることになった引きこもりです―  作者: ねねこ


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第10話:地球の常識、宇宙の非常識

 家に戻ってくると、家の前に知らない車が停まっていた。

 しまった、待たせちゃったか。

 

 ガレージに車を入れて慌てて玄関に向かうと、玄関の前に叶くんが立っていた。

「こんにちは」

「す、すみません、お待たせしましたか!?」

「いえ、つい先ほどついたばかりなので気になさらないでください。コハルさんとお出かけだったんですか?」

「ええ、ちょっと。それよりどうぞ入ってください」

「お邪魔します」


 この家に自分の友達を呼ぶなんて何年ぶりだろう……。


 リビングに入った叶くんは、テレビの横に置いている1/2サイズの某ニチアサヒーローのフィギュアを見て、目をキラキラさせていた。

「こ、これ……!!これ、ニチアサのストークスの限定1/2フィギュア……では!?」

「そうです。どうしても欲しくて予約して買いました」


 俺が一番好きなヒーローは赤い社長ヒーローなんだけど、同じくらい好きなのがニチアサの魔法使いヒーローなんだ。

 これはネットオンリーでの限定予約だったんだけど、どうしてもほしくて予約して買った。

 片膝をついて決めポーズをしているこの造形に一目ぼれして、お値段は6桁だったけど、迷う必要はなかった。

 幸い、うちは広いのでこんな大きさのものも置けるし、買える金はあった。

 そして今、うちのリビングにあるこの巨大フィギュアに俺は満足していた。

 だってかっこいいから!


「すごい……初めてこのシリーズの本物見た。あ、写真いいですか?」

「どうぞ」


 叶くんがあらゆる角度からフィギュアを連写する。

 分かる、凄く分かる。平面じゃ分からない角度で撮りたいんだよな。


「やっぱりこのひらひらが最高ですね……」

 魔法使いヒーローは、ストールを纏っていて、それがまたマントみたいでものすごくかっこいいのだ。

「そう、これ、凄く柔らかい素材でできているので、形も変えられるんですよ、ほら、こんなふうに」

 ぐい、とストールの角度を変えると、ちょっと風になびいているみたいでかっこいいんだ……!

「これ、めちゃくちゃかっこいいですね……!!」

「はい!!」


 楽しい、すげえ楽しい……!!

 特撮についてこれだけのテンションで話をするなんて久々だ……!!


「ちょっと二人とも」

 その時、すぐそばから呆れたようなコハルの声がした。

「仕事の話するんじゃなかったの?」


 あ……。


 俺と叶くんは顔を見合わせてテンションを下げた。

 そうだ、そのために来てもらったんだった……。


 


 反省した俺は、コハル用のコーラを出してきて、俺と叶くん用にコーヒーを淹れた。

 父さんがコーヒー好きで、割といろいろ豆はあったんだ。

 「じゃあ、一つずつ話をしよう」

 俺はノートを開いて、まずそこに「コーラ」と書く。

 コハルが最も欲しがっているものだ。

「コハル。聞いていいか?」

「何?」

「コーラに関しては、サンプルは必要ないのか?」

「コーラはいらないわね。もう売れるって分かってる商品だから、商団の上からも仕入れの許可は出ているの。だから問題ないわ」

「最初の想定仕入れ数は?」

「そうね……。いくつかの支店にそれなりに数を置きたいので、初回ロットとしては、10万本は最低欲しいわ」

「……10万、か。叶くん、まずコーラからなんだけど、仕入れルートに心あたりありますか?」

 俺の言葉に、少し叶くんは考えてから頷いた。

「当てはあります。でも一度持ち帰っていいですか?たぶん、特別ロットで注文すれば少しは安く仕入れられるはずです」

「予算はどれくらいを見れば?」

「10万本なら、約1000万というところでしょうか」


 1000万か……。

 まあ出せない額じゃない。

 だけどやっぱり少し考える。

 無駄遣いはしないと決めてる。

 じゃあ、コハルの商売の手伝いは無駄か?


 いや、無駄じゃない。

 これは地球と宇宙を繋ぐ、最初の一歩になるんだ。

 ならこれは無駄遣いじゃない。


「コハル」

「何?」

「あのダイヤモンドの原石出してくれ」

「え、うん」

 コハルが収納ブレスレットから手のひらサイズのダイヤモンドの原石を無造作に出す。

「こ、これは……!?」

「宇宙に転がってる石ころらしいです。地球で言うところのダイヤモンドの原石。コハルはこれを地球での仕入れの原資にするつもりだったらしいです」

「いや、こんなもん現金化できるはずないじゃないですか!」

「ですよねえ……。まず、こんなもんどこから持ってきたんだって話になりますよ……」

「え、売れないの?これ」

「あのですね、コハルさん……」

 叶くんが、コハルの前にタブレットを出す。

 そこには地球上で採掘できた過去最高の大きさのダイヤモンドの原石の画像があった。

「これが今までこの星で見つかった最も大きなサイズのダイヤモンドの原石です。ちょうどコハルさんが拾ってきたって言うのがこれくらいの大きさだと思います」

「ならこの星にあるものでしょ?」

「あのですね。これくらいの大きさのものは地球の長い歴史の中でも今までに2個しか見つかっていません。こんな大きさのものがぽんぽんあるわけないんです。宇宙の石ころは、地球の非常識です」


 叶くん、うまい。

 そうなんだ、最初にコハルにこれを見せられた時、こんなもん換金できるルート知らないし、仮にできたとしてもどこから持ってきたんだよって話になる。

 宇宙人に地球の常識なんて通じるわけないから、そこはこれから擦り合わせていくしかないんだろうけどさ。


「じゃあコーラの仕入れのお金はどうしたらいいの?」

「それは俺が貸すよ。仕入れの原資は協力するって約束しただろ?」

 だって、コーラ一本が車一台分くらいの価値があるのなら、10万本は天文学的な数字の売り上げになるはずだ。

 ただ、その売り上げをどう計上するかだが、俺にはそれについては考えがあった。


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