一筋
学校対抗の体育祭が終わった翌週、真央が学校へ行くなり「南おはよう!」と話しかけられた。
真央が下駄箱を開けながら後ろを振り返ると、なぜか笑顔前回の翔人がいた。
「ああ、五十嵐くん。おはよ〜」
真央はそう言って上履きに履き替えた。
翔人は「あ、あのさ!」と言いながら真央の顔を覗き込む。
「今日、放課後...暇?」
翔人の強張った表情を見ながら、登校してきた山中一哉は呆れたように笑い、必死な翔人を見た。
真央は「今日?ああ〜〜ごめん!今日はちょっと用事があるの」と手を合わせた。
翔人は「あ、そうなの.....」と明らかに落ち込んだ表情。
「ごめんね!何かあった?」と真央。
「あ、いや何かあったってほどではないんだけど...!暇だったらその、どっか行かないかなーって思っただけ!」
翔人は必死に取り繕うように言った。
「そっかあ、ごめんね五十嵐くん!また今度!」
「全然大丈夫!暇な時行こ!」
「もちろん!ねえどこ行きたかったのー?」
「えー、パフェとか?」
「ふは、かわいいね〜」
「かわいい!?ま、まあな??」
そんな会話をしながら翔人と真央は教室の方へ歩いて行った。
一哉は「あーあ」と呟き、クスッと笑った。
後ろから見ていた音も、ニンマリと微笑みながら靴を履き替えた。
******
放課後、掃除が終わり翔人が部活へ行く為着替えていると、「五十嵐」と声をかけられた。
翔人は振り返り、音を見た。
「五十嵐、ちょっと時間ある?」
音に言われ、翔人はリュックを背負いながら「あー」と呟いた。
「俺今から部活あるし、遅くなると思うから明日とかでもいい?てか電話でもいいけど」
「ううん。直接話したいから部活終わるの待っててもいい?」
「ああ、まあいいけど遅くなるよ?」
「全然大丈夫!教室で待ってるね。部活頑張って」
音はそう言うとくるりと振り返り、自分の席の方へ戻って行った。
翔人は「おう...」と呟きながら、不思議そうな表情を浮かべて首を傾げた。
******
「なあ、翔人。さっき佐原と何話してたの?」
部活の休憩中、クラスメイトが聞いてきた。
翔人は「あー、さっきのね」と呟き、不思議そうに答えた。
「さあ、分からん。俺も急に話したいとか言われてびびった」
「翔人って佐原と仲良くなかったっけ?」
「別に仲良いってわけじゃないけど。去年もクラス一緒だったしまあ話すくらい」
翔人がそう言うと、クラスメイトはニヤニヤしながら翔人を見た。
「佐原、告白じゃね?いいな〜翔人。結局佐原も普通のイケメンが好きなんだな〜〜〜」
言われ、翔人は顔をしかめた。
「...いや、あれはそんな感じじゃなかったな」
翔人はそう呟き、先ほどの音の表情を思い浮かべた。
なんとなく含みを持たせた言い方、笑ってはいたけど単純に楽しそうな感じではないような。
佐原って元々何考えてるか分かんないんだよなあ。
「まあ、翔人は1年の時から南一筋だもんなあ〜」
隣から声が聞こえ、翔人はハッとしたように彼を見てからニヤニヤ。
「まあな〜?」
「翔人がここまでアピっててんのに何で気づかないかね〜?」
「いや、本当にそれな....」
翔人はそう呟いたがっくりと肩を落とした。




